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夢の調停人 アビル  作者: ぽこ助
35/41

療養(1)


宋平は目を覚ました。どうやらどこかのベットに寝ているようだ。


「ここは……」


宋平は周りを見渡そうとしたが、左腕から激痛が走り、苦い顔をした。


「起きたか……」


ベットの横にいたのは望月であった。相変わらずの嫌そうにこちらを見ている。


「取り敢えずお前が起きたから俺はもう帰る」


望月はずっと横にいたのだろうか、机には何冊も本が置いてあった。


今時、本なんて読むやついたんだ。


「看病してくれて、ありがとう……」


宋平は望月に気恥ずかしそうに言った。


「仕事だ」


望月は冷たく言って、部屋を出て行った。


入れ違うように五十嵐が入ってきた。


「おう、おう起きたか」


五十嵐はベット横にある椅子に腰かけた。


「まだ痛むか」


五十嵐は宋平の左腕を見て言った。宋平は小さく頷いた。


「今は現実ですよね……」

「あぁ、紛れもなく現実だ」


そう言って五十嵐は宋平の頬をつねった。宋平は痛みが現実まで継承することをここで実感した。


「あの、望月は?」


五十嵐につねられた頬を右手で抑えながら言った。


「あいつはお前が起きる3日間ずっと横にいた。 まぁ命令したのは俺だが」

「3日も!?」


宋平は3日も寝ていることに衝撃を受けた。日付の書いてある電子時計の日にちを見ると確かに3日過ぎていることがわかった。


「その間仕事は?」

「勿論休止だ。他2班がその穴埋めして対応してる」


他の班は特に問題が起きず、順調に仕事が遂行されているようだ。


「色葉さんは?」

「あぁ、まだ起きてないな。 お前よりかなり重症でな」


無理もない。あの巨樹のムチで受けた損傷はかなりのもであったはずだ。


「しばらく3班は活動できんな」


五十嵐は落ち着いた声で言った。顔から察するになにか上層部から注意を受けたのだろうか。


「まっそう言うことだ。 しばらく療養してくれ」


らしくない五十嵐は妙に気持ち悪いが、特に言及せずただ部屋をでるのを見送った。


「あの…… 」


宗平は五十嵐を呼び止めた。


「なんだ? 」


五十嵐は宗平の顔をまっすぐに見て、言った。


「あの木は一体なんだったんですか? 」

「あぁ守護者だ」

「守護者? 何を守るのですか? 」

「簡単に言えば、DDNヨーロッパ支部」

「ヨーロッパにもDDNってあるんですね」

「世界に12の支部があるからな」


世界中でDDNが普及し、それらを管理しやすくするために12に支部を分けたのだ。


「まぁそこらへんの詳しい話は皆で集まった時に説明する」


そう言って五十嵐はそれ以上何も言わずに部屋を出て行った。


しばらく外の風景を眺めていると、不意にドアを叩く音がした。


「どうぞ」


宗平はドアの向こうにいる来客に聞こえる声で言った。


「はーい」


聞き慣れた声であった。


「シルヴィア!?」


宗平の目の前にいたのは、シルヴィアであった。銀色の髪が病室に流れた風で少しなびき、女性らしい香りが病室中に漂った。


「ごめんね……こんな目に合わせてしまって」


悲しそうな顔で宗平の頬に手をあて言った。


「いや、シルヴィアの所為じゃないし」

「でも、私がちゃんと説明してればこんなこと起きなかったわけだし……」

「大丈夫だって」


宗平は心配しているシルヴィアの手をどけ言った。


「でも無事でよかった。 もしあーちゃんが死んじゃったら……」

「だからあーちゃんってなんだよ」


宗平の質問にシルヴィアは黙ったが、私がそう呼びたいだけと言った。


「変なの」


何か色々考えているシルヴィアの顔を宗平は見ていた。


何を考えているんだろ


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