Asher-アシェル(2)
「いちいち指図するな」
望月は怒りながら、色葉を抱き抱え、森の奥へと走っていった。
「大丈夫? あのメガネの子たち逃げちゃったみたいだけど。」
「関係ない。 お前の相手はこの俺だ 」
宗平は怒っているが、同時にどの部位から攻撃するかを冷静に考えていた。
「ふぅー、かっこいい!! あなたあの小娘の恋人とかだったのぉ?そうだったらごめんねぇ うふふふ」
宗平は何も答えず、立ち、深呼吸をした。頭の中で三数え動いた。
「やっときたわね」
巨樹は相変わらず構える気配はない。
舐めやがって
宗平は近くの木に跳び乗り、そこから巨樹の顔の目の前まで跳んだ。そして両手のダガーナイフを目あたりと思しき辺りに投げた。あの獅子と同じように目を使えないようにしたい根端だ。投げたナイフはしっかりと巨樹に当たり、カツンとナイフが刺さる音が響いた。
「いたーいっ・・・なんてね」
巨樹は茶化すように言い、宗平の攻撃をものともしなかった。
「確実に当てたはずなんだけどなぁ・・・・」
「随分と驚いてるようね。 よくわからないけど木はね、目なんてないのよ、木全体で感じるものよ」
「目のように見えた部分はただの見かけってことか」
「えぇ、無駄なことだったのよ」
宗平はひらりと地面に降りた。
「目潰しは効かないっと」
「そっちが仕掛けてきたんだから次は私の番ね」
「いちいち攻撃するたびに教えてくれるなんて、親切な木だこと」
「生意気な小僧め」
巨樹は低い声と共に、2本の枝をしならせた。威力のある先端を丁度宗平に当たるようになっている。
巨樹の枝によって宗平のいた辺りに砂埃がたちこめた。
「うふふ、少しやりすぎちゃったわ」
巨樹が枝を元の位置に戻そうとした時であった。
シュ
枝をきる鋭い音がした。宗平は巨樹の攻撃をギリギリでかわし、枝の部分を切ったのだ。
「あら、当たったと思ったんだけど。 ちょっとはやるじゃない坊や」
巨樹は特に当たらなかったことに対して驚きもせず、ただ目の前にいる蟻のような存在に賞賛を送っていた。
「強者の余裕っていいもんだね」
「強者だなて、坊やお世辞うまいわねぇ。。まっ事実だけれども」
再び巨樹は枝をしならせ宗平を襲った。今度は一撃に込めるのではなく、何度も何度も攻撃した。辺りにあった草木はすっかりなくなり、ここ周辺だけ荒野のようになってしまった。
「いてて」
宗平は何回かは躱していたが、直実に当てらていた。宗平は膝まずき、負傷部である左腕を抑えた。
一本でしか攻撃できないか
「数うちゃ当たるってこのことねぇ。。うふふふ」
「まだまだ・・・・」
「坊や無理しなくていいのよ、抵抗しなければ。 痛みなくシステムの塵にしてあげる」
巨樹は相変わらずのオネエ言葉で交渉してきた。その時であった。頭痛がした。
やっと来たか<<システムグリッター>>
宗平は上を見上げると巨樹の額の宝石から光が眩しく輝いていた
そこか
「生憎・・・・妹の為にもそう簡単には死ねないんでね」
「あらぁ、妹想いの良いお兄さんじゃない。 でも、恨まないでね」
巨樹は再び、弱っている宗平めがけてムチのような枝を振った。宗平はそのムチをジャンプして避け、枝に乗りそれをつたって、眩く光めがけ走った。
「うっ、すばしっこいわね・・・・・。まさかあなたっ」
巨樹も宗平の狙いが自分の額であるとわかり同様した。宗平はここで初めて巨樹を同様させた。
「おりゃぁあ」
一本のダガーナイフで宝石を壊すにも、投げるだけではできないと思った宗平は、身を投げ出して攻撃をした。システムグリッターさえ狙えば巨樹を構成しているシステムは崩壊する。宗平は力を込めた。
ガッ
硬いものと硬いものとが当たる音が響いた。
「これで終わりだぁあああ」
宗平はその手を止めず、力を込め押し込んだ。宗平は雄叫びあげた。そして全部の力を使い果たし地面へと落ちていった。
これで終わりだ・・・・そう思ったが、現実はそう甘くはないのだ。夢の中ではあるが。




