シルヴィアの仕事
銀色の女が髪をさらりと耳にかけ、赤い眼鏡をかけた。所謂仕事モードというやつだ。
「今日も仕事頑張るぞー」
オフィスには彼女しかいないが、大きな声で言った。人がいないから大きな声を出せた方が正しいだろうか。閑散とした、だだっ広い部屋にポツンと置いてあるデスクに彼女はいた。
「シルヴィア様今日のスケジュールを報告します」
女性の機会音がデスクに置いてあるパソコンから発せられた。画面には美少女が映し出されていた。シルヴィアが勝手に改造して、デフォルト設定されていたモデルを自分好みにカスタムしたものだ。
「秘書ちゃん、いつもどーも」
シルヴィアはAI秘書に愛唱とともに礼を一言言った。
「午前10時にクライアントの玉井様の対応。午後2時に定例会議。4時には畠山常務との会談。の以上となっています。」
淡々と今日のスケジュールの流れを言われた。
「はぁ、こんな時代になっても、まだ人と出会う仕事なんて・・。」
「そう言わましても、シルヴィア様は人事部部長ですから、人と出会うのは当然かと」
「意地悪だぁ秘書ちゃん」
シルヴィアは機械相手に拗ねている自分に変な感じを抱いている。実際今のAI技術は凄く、流暢に会話でき、冗談も言い合えるレベルである。もはや機械と言うのも烏滸がましいのではないかとずっと前からシルヴィアは思っている。
「それと、シルヴィア様」
「うん」
「最近外出が多かったようで、上層部の方で噂されてるようです」
「噂?」
「はい、噂というよりスパイ容疑と言った方が正しいですが」
「はぁ、、それでどうすれば容疑は晴れるって?」
「外出目的等の報告書を提出せよとのことです」
「えぇー、面倒くさいなぁ。 逢い引きですって言ったら駄目?」
「良い訳ないです。 私としても目的自体は知らないですが、なんらかの事情があるのは察せます。こちらで適当に報告書を作成しましょうか?」
「いいの?」
「はい」
「うれしー秘書ちゃん大好き」
「・・・。すみませんよく聞き取れませんでした」
「またーパソコン熱くなっているよ?」
AI秘書は特にそれに対して回答しなかった。実際シルヴィアはこのAI秘書にモデルだけではなくシステム面にも改造を施していた。照れるプログラムなどシルヴィアぐらいしか改造しないだろう。
「やっぱ持つべきは優秀な部下だね」
少し経ってから
「AIですけどね」
とAI秘書は静かに言った。他愛のない会話だが、どこかお互いに対し冷たさもあった。
その後も少し会話してからそれぞれの仕事に戻った。




