Judhaーユダ(3)
「それじゃさっき私が言ったので動くよ」
宇佐美の掛け声で皆動いた。
「あの再生能力はどうするのかしら?」
色葉は全体に聞こえるように言った。
「私の予想だと、頭か心臓的な何かを壊すのが濃厚と踏んでいます」
望月は色葉にかしこまった言葉で言った。
「ありがとう、でもどちらも容易にできるとは思えないわね」
「それなんだけど、僕に任せてもいいかな」
宗平は提案した。
「お前に何かできるとは思えないが」
望月は相変わらず嫌そうな顔をして言い捨てた。
「一回だけチャンスが欲しい、もしダメだったらあとはみんなに任せる」
「ここは無名くんにチャンスあげよう、どっちにしろ他にやるあてもないし」
宇佐美は宋平の意見に同意した。
「そうね、任せるわ」
色葉も同意し、望月もなにも言わず走っていった。
「ありがとう、宇佐美さん、近衛さん」
「いえいえ、後 凛でいいよ。私苗字で呼ばれるの嫌いだから」
「私も色葉でいいわ、その助けてもらったし貴方だけは特別に・・」
「あれ?色葉ちゃんなんか顔赤くない?それにらしくないことまで言って」
「宇佐美さんうるさいですよ?」
「相変わらず凛ちゃんって呼んでくれないのね」
「じゃ、、、、って今は目の前のことの方が大事よ」
色葉は言いかけた言葉を止め、話題を変えた。
「また逃げたー」
宇佐美のおかげか少なくともここ3人の緊張は和らいだ。ムードメーカーとはこのことなのかと宋平は感心していた。
「望月はあの化け物の目を狙撃してほしい」
宋平は望月に指示をした。
「この野郎呼び捨てしやがって。後いちいち指図するな」
そうは言いつつも望月は獅子の目めがけて狙撃していた。一対一ではできなかった戦術、望月はこの時連携の大切さに気づいたであろう。いつも一人で戦っていた彼にとっては気持ち悪いが、清々しい変な気持ちにかられているようだ。もちろん顔には見せないが。
「凛さんと色葉さんは化け物の足をお願いします」
「りょうかーい」
宇佐美の軽い応答に対照的に色葉は静かに頷き行動に移った。流石の二人は個人個人のポテンシャルが高い為、すぐ獅子の脚は切られた。獅子は二人の素早い行動には対処することが出来ずただなすがままにされ、切られるたびに吠えた。また望月の目への集中攻撃が更に獅子の動きを封じ、完全封殺することに成功した。
「こいつの再生能力がいくら高くても常に攻撃し続れば攻撃されることはないから続けてほしい」
宋平は班員に指示を出した。
「言われなくてもそうするさ」
望月はそう叫んだ。
「相変わらず素直じゃないなぁ」
宇佐美はふふふと静かに笑った。
「宋平くん、この攻撃をいつまで続けれ良い?」
色葉は再生し続ける獅子の脚を斬りながら宋平に聞いた。
「も、もう少しだけ続けて欲しい」
突然宋平の名前を呼ばれて少し動揺したが、すぐに返した。 なにか再生する時に弱点がでるはず。。 宋平は観察を続けるうちに頭に激痛が走った。うっと低い声を出し膝をついてしまった。
「どうした?」
望月は射撃しながら聞いた。
「大丈夫な、、はず」
激しい頭痛はすぐにひいていった。それと同時に獅子の額に光が放っていることに気づいた。かなりの輝きで他の班員が気づかないわけがない。つまりその光は自分にしか見えていないようだ。
「まさかな・・」
宗平は怪しく思ったが、今の状況はそれに打撃を当てることくらいしか最善がないのもわかった。宗平は四肢と目を集中攻撃され、もがき倒れている獅子の鼻のところへ跳び、ダガーナイフを構えた。
まぶしい
そのまぶしさに目が眩みそうであったが、そこへ思い切りダガーナイフを投げた。
「ユダのコアの破壊が確認されました」
今まで聞いたことのないような獅子の唸り声が聞こえた。それと同時に部屋全体にアナウンスがされた。
「コアの破壊?」
宇佐美は首を傾げていたが、それがなんの意味なのかはすぐに皆わかった。獅子は青い小さなブロックの集合体になっていた。その集合体はまだかろうじて獅子の形はしばらくは保っていたが、すぐに崩れ消えた。
「終わったのか」
望月はホッとした顔をし、腰を落とし銃を床に置いた。




