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検索ちゃんは休みたい

作者: 仙葉康大

 仕事も終わり、家に帰ってネットサーフィンをしていたときのことである。パソコンが光ったと思ったら、目の前に女の子が現れた。カラフルなワンピースを着ているその子は、瞳をにじませて、言った。


「もう限界です。休ませてください」


 いきなり現れてそんなことを言われても困る。


「私は検索エンジンの化身です。どうか休みをください。このままでは過労死してしまいます」

「そんな妄言を信じろと?」


「嘘じゃありません。本当です」

「仮に本当だとして、私に助けを求められても困るよ。今や世界中の人が検索エンジンを日常的に使ってるんだ。私ひとりが使用をひかえたって大差ないだろうに」


「大丈夫です。あなただけでなく、みなさんにお願いしてますから」

「何だと?」


 私は急いでツイッターを確認した。タイムラインには、突然女の子が現れたというつぶやきがあふれている。トレンド一位は「#検索ちゃん」で、すでに検索ちゃんのイラストをアップしている者までいる。


 テレビもつけてみる。案の定、どの局も緊急でニュース番組を放送していた。


「現在、日本中、いや、世界中で、自らを検索エンジンの化身だと名乗る少女が現れるという謎の現象が確認されています。みなさん、まずは落ち着いて冷静に――」


「なんてことだ。こうなっては信じるしかない」

「ありがとうございます」


 そう言って、検索ちゃんは目じりに浮かぶ涙をぬぐった。


「では、できるだけ検索をひかえてくださいね」

「もちろんだ。いや、待て。みんながみんな私のように親切じゃないかもしれない。君がちゃんと休めるように私がもっといい方法を教えてあげよう」

「え? そんな方法が?」


「あるはずさ。今、『検索 控える 方法』で検索してるから、少し待ってくれ」

「えーん」

 



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