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76.解析眼と嘘付き狐

アーグラ&イーグラ兄弟との戦闘場所から数百mポシルの分裂体が《念映》により岩陰から覗く人影を映し出す。

商人風のその男は、小柄ではあるが護衛も付けずアーグラ&イーグラにも気付かれることなくここ迄来れる力量はあるのだろう。

角度的には倒れたイーグラと僕の背中しか見えずイーグラがどう言う状態かまでは確認できないのだろう。

望遠鏡の様な道具を一切目から話すことなく監視えを続けている。

真後ろに潜むポシルに気付く事なく…

透明化の状態から背後に回ったポシルの触手が監視の男の首元に軽く触れる。


「がっ!」


一瞬にして、触手が打ち込まれた場所よりポシルお手製の麻痺毒が体内にうち込まれていく。


《ゲート》


ゲートが目的地に繋がったと同時にゲートよりポシルと男が姿を現わす。

ビクンビクンと小刻みに震え横たわる男は腰に短剣を備え、小柄な体格も合わせ斥候職を想像させた。


【Name】 ネイル

【age】 24歳

【職業】 1.罠師

【Lv】 28

【HP】 160/160

【MP】 32/32

【力】 125

【体力】 120

【器用】 190

【知力】 100

【素早さ】140

【魔力】30



【スキル】

ノーマルスキル

短剣術<Lv4> 罠設置<Lv3>罠回避<Lv2> 投擲<Lv1>


「ぐぉ がぁぁ ぐ ぐ」


必死で何かを言っている様だが流石に全身が麻痺した状態では、まともに話すことも出来ず言葉にもならない音を発している。

そしてその男に対し更に解析眼に魔力を込めてステータスの名前部分を解析する。


【Name】ネイル

【所属】ダイナム商会 暗部

【関係】 敵意 


そう僕はこれまでの経験である程度その人の表情や雰囲気、気や魔力を総合しオーラとして相手の敵意を読み取れる様にはなった。

そして解析眼で街の人を見ていた時に、ふとそれぞれの項目を更に解析出来ないかと考え【Name】の部分に魔力を込めて再解析したとき、いつもと違った表示がでたのだ。


【Name】その人の本名(偽名などを使って生活している人もその本名が表示される)

【所属】働き先や所属先、拠点としている村や街の名前が出てくる。

【関係】 好意 中立 敵意の3つが表示され、関係のない人は全て中立表示になっている。


この表示が出たことのにより、オーラでの判断だけでなく解析眼により好意的か敵意があるかよりはっきり分かる様になった。


『フィーネ様にも使うなんて、マスターの人間不信っぷりも極まってますね』


「えっ!? ポシルさん?あまり心読まないでくれる……。」


念には念を、同じ過ちを繰り返さないためにも確かに僕は、フィーネに敵意があるかを調べた。その結果は『好意』彼女は何の打算もなく僕に接してくれていることがわかった。

ただ僕はあまりステータスを見ない様にしている。ステータスだけでその人を判断するのが嫌だからと言うのもあり、普段はこの3つの表示が出る様にし、敵と判断した場合ステータスを見るようにしている。

だから決してフィーネの全てを覗いたわけではない!


『マスター?誰に言い訳しているのです?』


触手ををほっぺに伸ばしつつきながら話しかけてくるポシルはきっと物凄いいやらしい笑顔に違いない。

ホントこの感情や行動は誰がベースなんだか……。


「さて。ポシル彼の麻痺を解除してくれるかい?」

『はいマスター』


ポシルが横たわるネイルの首に触手を触れさせると、一瞬にして麻痺が消え男の痙攣が治る。


「あっ。あんたどう言う事だ!俺が何をした!それになんだこいつらは!」


「少し黙ってくれるかな?じゃあ聞くけど何をしていたんだい?遠見の眼鏡迄使って此方を伺ってたみたいだけど?盗賊の残党かい?」


正体はわかっているが男の反応がみたい。少し遠回しに尋問を開始する。


「違っ 違う盗賊ではない!私はサイモン。冒険者ギルド所属の冒険者だ。峠を越える前に戦闘が行われているのが見えたから少し後退して見守っていただけだ!早くこの拘束を解いてくれ!」


まくしたてる様に弁解を始めるが、最早正体もバレているし、滑稽でしかない。


「サイモンさん?」


「なんだ!」


「カード見せてください」


首にかかっているギルドカードを確認させてもらうと、確かにサイモンの名前が記載されている。

Cランクの冒険者カード。そしてスキルは 短剣術<Lv4> 木工<Lv2> 採取<Lv1>

つまり短剣術以外全くのデタラメ。そもそも名前は別としてスキルは個人が自由に表示できる。斧術がなくても斧術と表示させる事が可能なのだ。全ては自己責任。ギルドカード自体は更新したときに自分の本当のスキルと<Lv>が分かるから鑑定の能力がなくても自分のスキルが確認できる便利なカードの様だが、馬鹿正直に自分のスキルを表示させる危険の方が冒険者にとってマイナスになる。だからこそデタラメな表示が認められている。

今回は別人のギルドカードをわざわざ用意する徹底ぶりだ。


「サイモンさん?」


「だからなんだ。これでわかっただろう!早く…。ガッ!」


拘束具の上から、大声で喚くネイルを蹴り上げる。そして大きな溜息を一つし足元のネイルを見下ろす。


「もういいです。もういいですよネイルさん」


いつまでも見下した態度にいい加減腹がたつ。さぁこの嘘つき狐をどうしようか。

読んで頂きありがとうございます。

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物語の精査の合間に書いた小説を新作として公開致しました。
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迷宮都市の料理人
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