28.優しさに包まれて
短めです。
バタンッ!
ギルドの3階にある広めの会議室の扉が勢いよく開かれる。
「タカヤ! 無事だったか!」
強面のおっさん。
いやギルドマスターのスイデンが、勢いよく部屋に入ってくる。
「ええ。なんとか無事ですね。色々ありすぎて疲れましたけど」
「そうか。怪我は大丈夫か?そうだな今日はゆっくり休むといい。報告は聞いた。救助された人達は今日はギルドの仮眠室で警護つきで寝てもらう。」
救われた人達も多少は落ち着いたようだ。
本当に良かった。
「もう遅い。手続きも明日でいいから、今日は帰っていい。ホント無事で何よりだった。」
時間はすでに4鐘になろうとしていた。
さすがにこの状態での徹夜は厳しく。
言葉に甘えて帰る事にした。
「おかえり」
宿の扉を開けると夜明け前だと言うのに、ラーダさんが笑顔で迎えてくれた。
「ただいま帰りました」
あぁ本当にここは居心地がいい。
緊張の糸が完全に切れ、僕の目からは涙が自然とながれていた。
突然連れていかれスズネが攫われたと言われた。
ー心配で心が張り裂けそうだったー
突然盗賊団の仲間といわれた。
ーどうしたら良いか分からなくなったー
多くの魔力を使い新しいスキルでアジトを見つけた
ー精神をすり減らしたー
ゴーバがいた
ー逆恨みでスズネを傷付けてしまい。巻き込んでしまった事を悔やんだー
スズネがいた
ーまだ無事だったと安心したー
裏切られた
ー全てが嘘だった。全てが裏切られたー
人を殺した
ー何も感じなかったー
また裏切られた
ー全てが汚く見えたー
人が汚く見えた
ー人がの心が汚く見えたー
人を恨んだ
ー全てを消そうと思ったー
・
・
・
ふわりと温かい何かに包まれた。
あーなんて暖かいんだろう。なんて優しいんだろう。
ラーダさんの腕の中で僕は泣きじゃくる。
すべてを流しつくし。止まらない涙がラーダさんの服を濡らす。
僕を優しく癒してくれる。母親のような愛情を感じる。
がしりと背中から強く抱かれる。
力強く逞しい。守られている実感。父親のような偉大さを感じる。
コックスさんだ。
2人が僕を抱きしめてくれる。
何があったかも聞かず、只々無言で抱きしめ頭を、そして背中を撫でてくれる。
僕が泣き止むまで、2人はしっかり抱きしめてくれていた。
「ありがとうございます」
僕は、やっとちゃんとした笑顔になれた。
2人は笑顔で頷き、僕を部屋に連れていってくれた。
僕は優しさに包まれ、深い眠りについた。
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