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27.温かい心

「・・ヤ ・・・!」


 僕を呼ぶ声がする。

 まだステータスは戻っていない。体が重く思考能力も落ちている。


「タカヤ!大丈夫か!」

 微睡みから覚醒すると、目の前にギランさんがいた。


「よかった。目を覚ましたか。起きられるか?」


 心配そうに声を掛けてくるギランさん。

 おそらくは眠ってからそんなに経ってはいないだろう。


 最高速度で向かってきてくれたんだなこの人は。


「すみません。ちょっとしたスキルを使ってしまったので、しばらくはこんな感じです。それより、何があったか聞かないんですか?」


「すまない!」

 急に深々と頭を下げるギラン。


「どうしたんですか⁈なんで僕の事なのにギランさんが謝るんですか!」


「いや。事の顛末はお前の従魔であるポシル?から見ていた。あいつが本体側の意思と繋げて見ている内容を、リアルタイムで俺にも見せていたんだ。念話の応用だろうか声も姿も見えていたよ。」


 苦しそうな表情を浮かべ、ギランさんは言葉を続ける。


「つらい思いをさせたな……。 すまん。俺が自分のスキルで奴を見ていれば悪意に気付けたかもしれん」


 驚いた事に、ポシルは念話ならぬ念映をスキルで作り出し、お互いの状況を共有していた。それをギランの脳に届けるという離れ業を簡単にやってのけた。


「お陰ですぐに対応出来た。そろそろ衛兵が死体を回収に来るだろう」


「それにしても、スライムなんてテイムしてたんだな。こりゃあグリーンスライムか?」


「えっ?」

 ギランが指差し、グリーンスライムがいるという方を見ると、そこには透明でなくグリーンに色付いたポシルが佇んでいた。


 どうやら透明のままだと、問題があると思ったらしく咄嗟にグリーンスライムに似た色付けをし、ギランに念話を飛ばしたとの事だった。


「はい。そうですねグリーンスライムです。珍しいスキルを持っていたのでテイムしたんです。」


 苦しいかもしれないが、とりあえず誤魔化す。悪意はないし大丈夫だろう。


「まぁ無事だったんだから良かった。さすがに拷問が始まった時は焦ったけどな」


「とにかく、死体はこちらで回収する。フェイド盗賊団といったら賞金もかけられている。有名な人売りの盗賊団だ。」


「はい。それと分かれ道の右の通路の先にもおそらくですが捕まっている人がいます」


「安心しろ。そこのポシルが見張り2人を倒してくれていた。今は待って貰っているよ」


 どうやらポシルは僕が限界突破を使った時点で、牢屋に行き、残党を倒してくれていたらしい。

 重たい腕を弱々しくあげ、ポシル分裂体の上に置く。実際倒したのは本体だが、感謝は伝わっているだろう。


「さて帰りたいところだが、まだやる事がある。ここを殲滅したのはタカヤだ。だからここにある奪われたものを含め、こいつらが持っていた全ての権利は今タカヤが持っている。回収するだろ?」


 そういうと、入り口付近を親指で指差す。

 そこには軽く山積みになった物品が集められており、よく見れば手下の杖や剣などの装備も回収されていた。


「これはどういう?」


「まぁなタカヤが倒れてるのを確認したんだが、どうやらただ眠っているだけのようだったしな。緊急性もなさそうだから回収したんだ。どうする?こちらで運ぶか?」


 どこまでこの人はお人良いなんだろう。

 今、人に裏切られたばかりだけど、この人はきっと大丈夫なんだろうと思ってしまう。

 僕も甘いな。


「大丈夫です。ポシル。お願い」

 一言だけだったがきちんと了解の意思が伝わってくる。

 そのまま回収物の上に行き、一気に体を広げる。


「うぉー お? お?なんだあれ?おいタカヤなんだあれは?」

「落ち着いてください。ギランさん。本来のポシルは風と時空属性持ちなんです。今やってるのは体内の時空庫に吸収して保管しているんです。」


 時空属性だから念話も念映も出来たと、後で言えるように体裁を整えるため、今から既成事実を作っておく。


 その間にも次々と回収物が、ポシルの体内へと入っていく。いつの間にか分裂体は消え本体だけに戻っているようで、ポシルの本体自らグリーンスライムの真似を続けているようだ。


「珍しいスキル持ちっていてたから、どんだけかと思ったが、予想以上のレアスライムのようだな。」


 ギランは、目を丸くして、驚きの表情を見せながら回収する様を食い入るように見つめ、顎のヒゲをいじる。


「はい。すごい助かってます。そういえば僕が倒れてからどのくらい経ってますか?」


 自分のステータスの回復目安がつかめない。今どれくらい経ったんだろうか。


「あーあれから2鐘半といったところか。倒れてから半鐘くらいで到着して、それから回収やら事後処理やらで2鐘だ。あと半鐘もすれば、衛兵が数揃えてくるはずだ。」


 相変わらず興味津々の様子で、ポシルを見ながら答える。


 2鐘半ってことはそのまま2時間30分か。

 この世界の言葉で異世界人の翻訳でも何時何分ってならないのは不思議だ。

「ありがとうございす。半鐘もゆっくりすれば動けるようになると思います」


「そうか。丁度良かったな」


 それから半鐘。

 予定通り、衛兵がやってきた。



読んで頂きありがとうございます。


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物語の精査の合間に書いた小説を新作として公開致しました。
ぜひこちらもよろしくお願いします。

迷宮都市の料理人
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