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18.肉も魔石も美味しいようです。

 報酬は計59銀貨50銅貨。

 2人で分ける際、スズネが報酬が多すぎると言って受け取らなかったが、最終的に僕が30銀貨、スズネが29銀貨と50銅貨として無理やり渡した。


「じゃあスズネ。今日は有難う。」


「ううん。こちらこそおかげで依頼が達成できたし、こんなに報酬も貰えて。またパーティ組めたら嬉しい。そうだ、今日の感謝の気持ちにこれを受け取って。前のクエストの時、たまたま死体があって採取出来たの。報酬もまだまだ貰いすぎだし。」


「フォレストスパイダーの絹糸」

 ※フォレストスパイダーの糸袋の中から採取可能。絹糸の元となり肌触りがよい。


「いいの?ありがとう!有り難く貰っておくよ。初めての素材だしね。またパーティよろしくね。」


 ギルドでスズネとパーティを解散し大通りを北門に向かって歩く。


「おうにいちゃん。今日もどうだい?」

 初日に買った串焼きの店から声がかかる。


「あっおじさん。覚えてるの?僕のこと」


「あたりめぇよ。あんなに美味そうに食ってくれる奴の顔忘れるかよ。俺はスティボーってんだ。よろしくなにいちゃん」

 どうやらあの時、相当顔に出てたらしい。


「じゃあ今日も3本お願い。僕はタカヤです。一応冒険者です。」

 そう言って自己紹介しながら銅貨を30枚渡す。


「よろしくな。ほら3本だ。また買ってくれよ!」


「はい。また来ますね。ちなみにこれってなんの肉なんですか?」


 この不思議肉はなんの肉なのか。予想は魔物肉なんだけど・・・

「なんだタカヤ。知らないで食ってたのか。これはオークの肉だ。食肉として有名な豚の顔した人型の魔物だな。」


 おう。こんなところで定番豚顔モンスターが出てきたか。いや。でも旨いからいいんだけどね。

「オークなんですね。有難うございます。今度狩ったら持ってきますね。」


「おっそりゃありがたい。少し色をつけて買い取るよ」


 時間は18鐘を過ぎたところ、少し実験を兼ねて宿に帰る前に色々試してみた事がある。


「まずは気配遮断はどこまで遮断しているかだな」


 大通りを門に向かいながらスキルを発動する。瞬間一気に人の視線が感じられなくなった。

 ただすれ違う人がぶつかってくるような事はなく、障害物を避けるように直前で避けている。


「ん〜。これは完全に消えるわけじゃなく、人として、個人としての認識を阻害している感じか?しばらくは気配遮断を継続して歩いてみるか。」


 どうやら本当に認識を阻害しているようだ。何かがあるとは分かっていてもそれがなんなのか。目の前にいても生き物がそこにいるという事自体認識されていない。


 ただ獣人や高Lvの冒険者は、そこに何かが”いる”ということは認識しているようで、明らかに避けている。


 現状のLvは2。

 2では一般人や低レベルのモンスターくらいしか効かないだろう。


 恐らく高レベルになれば、今の一般人に起きているレベルくらいの、気配遮断となるのだろう。


「よし。Lv上げのために普段から発動させておくか」


 この世界にきて様々な能力を貰ったが、無条件に何もしないで強くなるようなスキルや加護はない。

 とにかく、自分で自分自身の能力を上げていくしかないのだ。


 そのままギランさんのいない、いつもと逆側の南門から気配を断って見つからずに出ていく。

 目の前を通過しても全く気にされることもなく、すんなりと門を通ることができた。


 しばらく歩くとその風景に思わず息をのむ。

 南のエリアは、どこまでも続く森林となっており、北門の草原を初心者の練習用ステージだとすれば、ここからが冒険者として独り立ちできるかの登竜門なのだろう。


 ピロン!

 気配遮断LvUP <Lv2>→<Lv3>


「おっ上手いこと上がったな。流石は実践訓練だ」

 そう今現在、まさにゴブリンたちのグループの中心に入り込み、3体のゴブリン達と一緒に歩いている。

 ゴブリン達の平均Lvは6。北側で初めて討伐したゴブ達のLvは2。


 こちらは北と比べ高レベルのようで、気配遮断のLvが3になるまで、幾度となく《あれ?グループの中に違う奴いんじゃね?》的な雰囲気になったが、そこはゴブリン。勘違いで終わってくれた。


 そして、入り込むこと30分。とうとう目的の気配遮断のレベルが上がったという訳だ。


 ちなみに

 ゴブリンA Lv7 剣ゴブ 剣術<Lv2>

 ゴブリンB Lv5 剣ゴブ 剣術<Lv1>

 ゴブリンC Lv6 棍棒ゴブ 棍術<Lv1>

 の3体で剣は恐らく拾い物であろうボロボロの長剣。棍棒は丸太の持ち手部分を細く削っただけの簡素なものである。


 気配遮断のLvが上がった瞬間から、何かいると言った気配すら全く感じている様子がない。これほどLv1の違いを実感できるなんて。


 スキルは本当に奥が深いな。これからも検証はしっかりとしていこう。


「そういえば、初日に討伐したゴブの魔石がまだBOXの中に入れっぱなしだ」

 BOXからGランクの魔石を2個取り出す。薄っすらと赤色の入った小石程の魔石。


 すっかり忘れていたが、試していないスキルがあった。

 ゴブ達のグループの中心を歩きながら、BOXから聖者の短剣を取り出す。


 とさっ

 とさっ

 とさっ


 まさに暗殺、まさにアサシン。

 ゴブリン達の後ろに回り、背中から心臓を一突く。それを素早く3回繰り返す。

 ゴブリンは、仲間が崩れていくのを気付く事なく、命を散していった。


 素早く解体し右耳と魔石を回収する。Lvは違えど魔石の色合いや大きさは変わらない。


 よし。まずは前の魔石からだな。

 確か剣ゴブと棍棒ゴブ剣術<Lv1>と棍術<Lv1>だったな。


 そう僕が試そうとしているスキルとは

 ➖ユニーク➖

 異世界言語理解※異世界の言葉や文字を理解し使用可能。


 収納BOX※生きている生物以外を収納可能 現在40種類 40個まで収納可能 時間の経過は現在選択不可(Lvにて解放)時間停止で固定中。収納できる大きさもLv依存(現在は4㎥まで)


 学ぶ者

 解析眼※魔眼 解析を使用可能。

 吸収※他者の技術の経験を吸収 魔物の魔石よりスキル経験値を吸収できる。

 取得経験値UP大※得られる経験値を増大する。


 ユニークスキル 《学ぶ者》 その中の吸収も能力である。

 今までは他者の動きを観察し、学習する事でスキル経験値を上げてきた。

 このスキルのもう一つの効果。魔石からのスキル経験値の吸収を試す。


 てのひらにLv2剣ゴブの魔石を乗せる。このゴブリンのスキルは剣術<Lv1>。

 掌に集中しスキルを意識する。《学ぶ者ー吸収ー》


 音もなく、光もなく。ただ静かに魔石から何か。いや。剣の経験が確かに掌から吸収される。

 そして経験値が吸収され終わった瞬間。静かに魔石は粉々になってしまった。


「流石に吸収後に売るって事は出来ないか。魔石の力を吸収してる訳だしな。それにしてもスキルLvは上がらないか。でも確かに経験が蓄積された気はするんだよな。とりあえず剣術魔石は全部吸収してみるか。」

 2つの魔石を1つ手に取り吸収させる。同じように剣術の経験値が自分に取り込まれる感じがするが、1個目に比べ少しだが入ってくる経験値が違う。また2個目<ゴブリンLv7>と3個目<ゴブリンLv5>も同じ<剣術Lv1>だが明らかに入ってくる経験値が違う。

 恐らく本当に魔石内に蓄積された剣術の経験がそのまま入ってくるのだろう。そう考えれば<ゴブリンLv2>の剣術と<ゴブリンLv7>の培ってきた経験はまるで違うはずであり、この経験値の違いは大いに納得できる。


 ピロン!

 剣術LvUP <Lv3>→<Lv4>


 おっ上がった。やっぱりきちんと経験値が吸収されてたか。

 剣を一切振らずにLvカンストも出来ちゃうなこれは……。


 さて次はそれこそ一切棍類を扱ったことがない人間が、どういう感覚になるか。


 てのひらに最初の棍術魔石を乗せる。そういえばなんとなく今はどの魔石がどのスキルか覚えてるけど。混じったらわかるのか?


 これは間違いなく棍術魔石だけど。

 おもむろに魔石を確認するための解析を発動させる。


 ー魔石 Gランクー

 スキル

 棍術 2


 あれっ?なんでだ?


読んで頂きありがとうございます。

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物語の精査の合間に書いた小説を新作として公開致しました。
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迷宮都市の料理人
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