16.パーティの実力
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初めて街へ入ってきた時の北門から、平原に向かう。
今日の門兵も4人で出入りをチェックしているようだ。
「おう!タカヤじゃねえか。無事冒険者になれたんだな」
門の前でギランさんが、声を掛けてくる。どうやら今日もこちらの担当のようだ。
「おはようございます。ギランさん。はい、無事にFランクの冒険者になれました。あと、宿屋の紹介ありがとうございます。凄くいい宿でした。」
しっかりと頭を下げお礼を言うと、一瞬驚いたような顔をしたが、直ぐに爽やかな笑顔に戻った。
「おう。なんかあればまた頼んな。それに昨日の今日で、もうFランクか!戦闘試験を受けたのか?」
「いえ。戦闘試験は受けてないんですけど、成り行きでゴーバっていう冒険者の攻撃を避け続けてたら上がっちゃいました。」
「上がっちゃいましたって……。Cランクのゴーバだろ。それの攻撃を避け続けてたら、そりゃあGランクじゃないわな。まあ気を付けて行ってきな。そっちの嬢ちゃんとパーティ組んだんだろ。怪我させるなよ!」
そう行って背中を押して出口に押し出される。本当にこの人は暖かい人だ。
「よし。じゃあ行こうか」
やり取りをただ見ていたスズネに声をかける。
「はい!すみませんぼおっとしてしまって。門兵さんと仲良いんですね。」
「うん。ここにきた最初にお世話になって、宿とか紹介してもらったんだよ。」
「そう……なんですか」
そんなたわいもない会話を続けながら、小走りで目的地に向かうこと20分。
ようやくファングウルフと、突撃猪の出現報告がある草原が見えてくる。
「スズネさん。着いたよ。この辺りがウルフ達が多いエリアだ」
資料室で調べた魔物の分布エリアではこの辺りの草原でウルフと猪の討伐件数が多い。
今回は効率&安全マージンを取って、分布エリアの浅いところで狩りをする予定だ。
「スズネでいいですよ。さんはいらないです。」
「分かった。スズネここから気配を探りながら森の方角へ歩いていこう。」
視界の開けている草原で、奇襲はないだろうが警戒は怠らない。10分程あるくと3体ほどの気配がする。
「いた。あそこの岩の陰。」
ちょうど岩の陰が日陰になっている。ファングウルフ達は日陰で休んでいるようで、まだこちらに気づいてはいない。
ファングウルフ
【Name】ー
【age】3
【Lv】 5
【HP】 30/30
【MP】 10/10
【力】 50
【体力】 50
【器用】 20
【知力】 20
【素早さ】70
【魔力】 20
【スキル】
ノーマルスキル
連携<Lv1>
爪術<Lv2>
うん。やっぱりスピードタイプだ。全体的にゴブリンよりもステータスが高めかな。
「スズネ?どうやらリーダーのいない集まりみたいだ。この距離から狙える?」
「うん大丈夫。タカヤさんは残り2匹をお願いします。」
「わかった。5秒後以降いつでもスズネのタイミングで射って。後ろの2匹は任されたよ」
そう言って魔力を込める。ファングウルフ達が寝ているのはちょうど岩陰。頭の上の岩の部分が、ちょうど影になっている。
5
4
3
2
1
0!
ちょうど5秒後。スズネが弓を射る。それと同時にこちらも魔法を発動する。
【影玉】
スズネの放った矢が、一直線に岩の上で横になっているファングウルフの頭に突き刺さる。
それとほぼ同時に、岩陰で寝ているウルフの頭上から魔法が放たれる。一瞬でファングウルフの脳を貫通させ、3匹ともに絶命した。
「どんぴしゃだよ!スズネ。さすがだね。」
ピロン!
LvUP Lv2→4
ピロン!
闇魔法 LvUP Lv1→2
【Name】 タカヤ
【age】 18歳
【職業】 (1.魔術師(転移者) 2.自由人 )3.魔物使い
【Lv】 2→4
【HP】 50/50→75/75
【MP】 560/560→820/820
【力】 40→55
【体力】 30→40
【器用】 70→75
【知力】 70
【素早さ】60→75
【魔力】 120→155
【スキル】
ノーマルスキル
剣術<Lv3> 斧術<Lv1> 気配察知<Lv4> 気配遮断<Lv2> 採取<Lv4> 回避<Lv2>
身体強化<Lv1> 魔力操作<Lv1> 魔力感知<Lv1> 魔力還元<Lv1>
水魔法<Lv1> 風魔法<Lv1> 光魔法<Lv1> 火魔法<Lv1> 土魔法<Lv1> 闇魔法<Lv2>
モンスターテイム<Lv1>
おっレベルが上がったか。
さすがにゴブリンよりも経験値があるみたいだな。
やっぱり魔力特化は変わらずか。まだLv4だしあんまり強くなった自覚がないな。
でも今回は力が結構上がったし、益々アサシンに近づいたね。
「・・・」
「どうしたの?おーい。すーずーねー」
「はっ!どうしたのじゃないです!今の魔法なんですか⁈いきなりウルフの頭を魔法が貫通しましたよ!っていうかタカヤさん前衛職ですよね?なんで魔法なんですか⁈」
どうやらスズネは混乱の魔法にかかったようだ。
まくし立てるように質問を繰り返している。
うんうんと頷いているとスズネが鋭い眼光で睨んでいた。
「タカヤさん。非常に失礼な事を考えている気がしますが、この際良いでしょう。それで、タカヤさんはなぜ魔法が使えるんですか?」
「ん〜。なぜって言われても。僕って動いて避けられる魔術師なのさ!」
歌って踊れるアイドルさって感じで答えてみたが、スズネには冗談として通じていないようだ。
相変わらず鋭い視線を感じる。
「はー。私は中後衛。タカヤさんが前衛で丁度バランスが取れてますよね。って言いましたよね。言いましたよね」
「あぁ確かに言ってたな。まぁ職業は魔術師だがしっかり前衛も出来るから安心してほしいな」
今度は茶化さずしっかりと答える。スズネは観念したようで鋭い眼光は元に戻っていた。
「わかりました。仕方ありません。現状3体のウルフに対して、全く苦労する事なく狩れていますし、この調子でいきましょう。ただ、あの魔法はなんなんですか?」
「あ〜あれは闇魔法だよ。影玉と言ってね、狙撃に向いてるんだよ。まぁ詳しい事は企業秘密って事でね。」
「そうですね。魔術師が自分のタネを明かすことは愚行でしょうし。ではよろしくお願いします。」
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