12.初パーティ
2017.7.27 防具購入を加筆しました。
どうやら納品担当を直接呼ぶ道具のようで、すぐにドアがノックされる。
「失礼します。御呼びでしょうか」
男性職員がギルマスに用件を聞く。
「おうこれからランク上げるからな。その前に依頼の薬草を査定、納入してやってくれ。」
「はい。かしこまりました。タカヤ様、薬草をこちらにお出しください。」
そういって職員が、大きめのトレイをテーブルにおく。
こちらも鞄から採取した薬草を全てトレイに出していった。
「はい。確かに薬草99束納入確認致しました。しばらくお待ちください。報酬と更新されたギルドカードをお持ちいたします。」
男性は軽く会釈をし、足早に部屋を出ていった。
「99束って群生地でもみつけたのか?薬草は確かに常時依頼だがな、それだけを探しに行くのは実は非効率なんだ。何かの依頼のついでに見つけたら依頼を受ける類のもんだ。」
「田舎で薬草ばっかり採取してましたからね。採取のスキルもありますし、僕向けだったんですよ」
ど田舎で暮らしてました設定を思い出し、とりあえずの言い訳をする。
「そうかい。まあいいけどな。採取が得意なら高ランクの採取もよろしく頼むわ。」
そんなやりとりをしていると、再びノックされ男性職員が戻ってきた。
「お待たせいたしました。こちらが報酬でございます。」
そう言って小袋をテーブルにだす。
「薬草99束全て高品質での納入ありがとうございます。薬師が大変喜んでおりました。報酬は銅貨990枚相当に色をつけて銅貨1500枚分。なので銀貨15枚を入れておきました。」
ついでの作業で15000円相当。宿泊3日分+αくらいにはなったな。ランクがあがれば報酬も上がるし、これで見習い卒業かな。
「有難うございます。たしかに頂きました。」
「はい。続きましてギルドカードでございます。タカヤ様は今回GからFへの昇格となります。おめでとうございます」
トレイに載ったギルドカードを受け取る。変更点はGの表記がFになったぐらいであまり代わり映えがしない。
「ギルドカードのデザインが変わるのは、EからDの中ランク入りのタイミングとCからBの上位ランクした際。あとはAになったタイミングとSになったタイミングでございます。Sは虹。Aは金。上位は銀。中位は青。そして下位は黒色でございます。是非ともSランク目指して頂ければと思います。」
どうやら顔に出ていたらしく。職員さんが丁寧にカードの説明をしてくれた。
「ありがとうございます。参考になりました。これで終わりですか?」
「おう。終わりだ!ご苦労だったな。まあいきなりだったが若いんだ。冒険者として楽しんでくれ!
そう言って背中をバンバン叩き大笑いするギルマスを鬱陶しく思いながら、EランクとFランクの掲示板を見るためにマスタールームを後にした。
1階へ戻り、Fランクの依頼表を確認する。
討伐依頼が出ているのは、ゴブリン・突撃猪・グリーンウルフとGよりも多くなっている。
そんな感じで依頼を探していると、ゴブリンの依頼書の前に、少女が一人立っていた。
身長は150cm弱くらいだろうか、斥候系なのか背中に弓矢を背負っている。
髪の毛は薄いオレンジ色のショートカット。少しタレ目の目は非常に愛くるしく、瞳の色も髪の色に近く、7月の誕生石をイメージさせる。
スタイルは大きくはないが出るところが出ている発育途上の素晴らしいスタイルだ。
そんな美少女が真剣な目で討伐依頼を探している。
「なにか真剣に探しているね。どれを受けるか決まったの?」
僕の問いかけに、一瞬視線を向けすぐに掲示板に視線を戻す。
「ないです。あなたさっきの騒ぎの人でしょ?あなたに頼みがあります。」
興味を持たれていないと思っていたが、どうやら向こうはすでにこっちの事を知っているらしい。
すでに悪目立ちしていたようで、内心がっかりする。
「私はスズネと言います。職業盗賊のレンジャータイプで、武器は短剣と弓矢を使います。」
いきなりの情報漏洩!
「よろしくスズネさん。知っていると思うけど、僕はタカヤ。というか他人にいきなり教えちゃダメでしょ!」
一応情報の件は窘めるが、どうやら本人は気にしていないようだ。
「いえ、大丈夫です。こちらからお願い事をするんです。これくらいは提示させて下さい。」
【Name】 スズネ
【age】 16歳
【職業】 1.盗賊
【Lv】 3
【HP】 40/40
【MP】 20/20
【力】 45
【体力】 30
【器用】 60
【知力】 50
【素早さ】55
【魔力】30
【スキル】
ノーマルスキル
短剣術<Lv2> 弓術<Lv2> 罠発見<Lv1>
うん。間違いないね。
完全な斥候タイプ。ステータス配分は僕と似てるな。
「それで頼みって?ここじゃなんだから席に着く?」
こちらから聞き返し、すぐに断られないと分かったからか。少しホッとした表情をする。
ホールの席に座り改めて頼みの内容を確認する。
「はい。単刀直入に言います。私とパーティを組んで討伐依頼を一緒に受けてくれないでしょうか」
テーブルすれすれに頭を下げるスズネに、慌てて顔を上げさせる。
「ちょっとちょっと。そこまでしなくても。でも何で僕なのかな?僕は昨日登録したての新人冒険者だよ?」
「いえ。先程のいざこざの際の身のこなしは、間違いなくただの低ランクの動きではありません。私は斥候型の弓矢メインなので、近づかれれば非常に危険となります。前衛に敵を引きつけてもらいながら急所を射抜く事が出来れば、今より非常に討伐が楽になります。最近Fに上がったものの討伐依頼が達成できず悩んでいました。そこで先程の回避技術を目の当たりにして、是非お願いしたいと。。。」
あ〜なるほど。
ランクが上がったものの、討伐依頼がうまくいかず、Lvも上げられず停滞してしまったのか。
それなら藁にもすがりたい気分なんだろうな。
「了解しました。一緒にパーティを組みましょう。たしかに2人で役割分担をすれば効率も良さそうですしね。」
OKを出すと不安な表情が一気に明るくなり、さっきまでは見られなかった可愛い笑顔を向けてくれた。
「ありがとうございます!これでやっと停滞から抜け出せます!今日はもう日が落ちるので、明日から。明日から是非よろしくお願いします!」
そう言って手を掴みブンブンと上下に振り、喜びを全面に表す。
「分かった。じゃあ明日の7鐘にギルドホールでいいかな」
「はい。よろしくお願いします!それじゃタカヤさん失礼します!」
そう言って彼女は、軽い動きでギルドを後にした。
どっと疲れを感じる。
結局紹介された防具屋にも行けず。これから行く元気もない。
防具がない状態は流石にまずいので、ギルド内の3階にある冒険者専用のショップにて革製の胴廻りとグリーブが低ランク冒険者用にセットになっていた為購入した。
今回のように紹介されたケースでもない限り、通常はここで装備を整えていく事が多く、今回のセットも駆け出しの冒険者が一番最初に買っていくセットとの事だった。
「さて帰ろうかな」
こうして駆け出しの冒険者防具セットを手にし、ギルドを後にした。
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