6話 実技試験開始!!
job試験二日目の朝、この日は日曜日だった。
試験場に向かう前に、会場の天気予報でも見ようかと、何気なくテレビをつけてみれば何と、日朝アニメがやっているではないか!!
年甲斐もなく、釘付けになる泰弘。
「すげぇ……アニメのクオリティたけぇ……何だよこの作画……声優の演技力……BGMもクソ神曲なんですけど……」
やっていたアニメは明らかに普通の女児アニメで、ヒロインが魔法少女(和風忍者系)になって悪い奴と戦う話しなのだが、その戦闘シーンのぬるぬる動くこと、かかっているBGMがとにかくかっこよくて熱い事、そして何よりヒロイン役の女性声優の迫真の演技。どれをとっても“神クオリティ”である。
「エンディング曲は声優さんが歌っている系か? てか、ヒロインの子の声めっちゃ好みなんですけど……名前覚えとかなきゃ……て、穂邑凜華ってアルヴィアールのスマホに入ってたあの子じゃん!! やべぇ、顔もめっちゃ好みかもしれん……ファンクラブ入らなきゃ……」
「おい、オタク……遅刻するわよ……」
亡霊のようにホームページを開いて声優さんの会員登録を済ませようとする泰弘に白けた声を掛けるデジコだった。
実技の試験会場は、一日目の実技試験の大聖堂の奥にある洞窟で行われる。
支配者が変わる度に、迫害され逃げてきた人々が隠れ信仰に使われてきたとされる洞窟は、元々こっちが先にあり、後から大聖堂を被せるように建てられたとされる。
洞窟の中の光源は小さなランタンのみで太陽光がまったく外から入らないことで、この中には過去に書かれたフレスコ画などが保存状態の良いままで残されている。
試験監督に連れられて、昨日合格した受験生が洞窟の奥へと進む。
大きな扉の前で足を止め、受験生に「この扉を開ければすぐに2次試験の開始です」と説明し、あとは長くは語らずに下がっていった。
どうやら、付添の人間はいないらしい、しかし、試験なのでその様子を観測する技術はあるのだろう。
スマホがある世界だし、そこにはカメラ機能もある。監視カメラがあっても不思議ではないか。
実技試験中は、仮免状態でその志望jobとなる。一時的にそのjob職業の補正が掛かり、個人用携帯端末にステータス表示がされるようになる。
泰弘のステータスは、HPが938、SPが313と表示されていた。
「よぉし!! 張り切っていこうぜ!!」
「お~っ!!」
ここに来る途中、先に自己紹介は済ませてある。
このパーティーでは泰弘以外に唯一の男の子となる、剣士志望の少年のディル君。
元気いっぱい、楽天家タイプで泰弘と気が合いそうな男の子だ。
「兄ちゃん!! 18歳でjob試験受けるとかやばくね? 俺の2倍じゃん!! やべえ!!」
2人目は、聖職者志望の女の子イリアーナちゃん、おっとりしているが、以外にもしっかりした子で、将来何となくおっぱいが大きくなる予感がある。剣士志望のディルとは友達らしい。
「ディル、2倍じゃなくて3倍だよ、あは、3倍だぁ」
3人目は、射手志望の女の子リナちゃん、長いポニーテールがゆさゆさ揺れて可愛いが、さっきから泰弘に抱きついては上目遣いで甘えているロリビッチ系少女。
「えへへ……おにぃさん彼女いるんですかぁ~」
そして、4人目は……。
「アリサちゃんのドレスかわいいねぇ~」
「…………で?」
「え……かわいいなぁっておもったのぉ~……」
「ふ~ん」
イリアーナちゃんが、頑張って仲良くなろうとしているのにそっけない態度をするのは、泰弘と同じ魔術師志望の獅子王アリサ。
ヤクザ風の男と知り合いで、魔術師スキル“アニマレイズ”を覚えるためだけに魔術師になろうと考えている変わった子だ。
なぜ変わり者かというと、アニマレイズは、降霊術系のスキルで霊魂との通信くらいにしか使えないという。使いこなすことに癖があり取得する魔術師は殆どいないらしいからだ。
「その人形、よく見たら結構可愛いじゃん、アリサのお気に入りか?」
「う……うむ、ゲム……イチソという」
「おっ、なんだ会話できるじゃん!! へぇ、ゲムイチソね、アリサがつけたのか?」
「違う」
「あ……、そうなんだ」
会話が続きそうで続かない。
だが、人形をネタにしていけばどうやら彼女は言葉をかえしてくれるようだ。
しかし、あまり踏み込みすぎると地雷を踏みそうな嫌な気配を感じ、泰弘も慎重になる。
洞窟の中は奥に進むにつれ暗くなる。
聖職者のイリアーナちゃんが、スキルスクロール『ホーリーライト』を使用する。
周囲が一気に明るくなり、泰弘達を中心に聖なる優しい光で包まれる。
「ホーリーライトってこれでも攻撃スキルなんだってよ~」
「へぇ~、ゾンビとかそういう系専用みたいなかんじか?」
「違うよ、不死とか悪魔に効きそうじゃん? でもダメージ入んないんだってさ~ウケるよなぁ~それで攻撃スキルなんだもん。あはは」
「ほえ~……」
ディルが言うには、ホーリーライトという聖職者のスキルも、魔術師のアニマレイズ並のユニークスキルらしい。
ホーリーライトは、ディルが言うように、攻撃魔法という分類ではあるが、現在、泰弘達を照らす照明効果しかないらしい。稀にゲーム会社がデバックし忘れて攻撃力の設定をミスしたまま実装してしまい取り返しの付かないことになっているみたいな話を聞いたことがあるが、このホーリーライトもそうなのだろうか? 修正が入らないところを見ると“仕様”なのだろう。照明効果のみならば普通に照明器具で十分であり、わざわざ貴重なスキルとして取得する価値は、アニマレイズ以上に無いらしい。完璧な死にスキル。
いま、イリアーナちゃんがスクロールとして使うこと以外では表で見る機会は完全に無いと言われている。
「……超貴重な光だな」
「ん? なんだって兄ちゃん?」
「けど、私初めてみたけど、この光好き……優しい気持ちになる……」
「そうだな――「消して!!」」
泰弘が、イリアーナちゃんに同意した声を発したと同時に、「消して」と絹を裂くような声が洞窟内に虚ろに響き渡った。
全員が振り向くと、血相を変えたアリサが、『ホーリーライトスクロール』をもつイリアーナちゃんに近づき、無理やりそれを奪い取り地に投げ捨て、踏みつけた。
周囲は再び闇に沈んだ。
「お、おい、ど、どした~?」
「私、その光嫌いなの!! 2度と使わないで!!」
それまでやや無感情気味に思えたアリサが、初めて感情を露わにし、周囲は驚き沈黙が洞窟を包んだ。
イリアーナちゃんが、間を置いてびっくりして泣き始め、必死になだめることに時間を費やしたため、試験のスピードクリアの条件はもう満たされないだろう。
ホーリーライトの明るい光が消えて、目がぼやける、ランタンの明かりに慣れて、少しずつ視界が戻る。
「ひっ!?」
ホーリーライトは、意味があったのだ、あの光によってモンスターは接近できないでいた、その光が消えたことで、今、試験用に召喚されたサモンモンスターが一気に泰弘達に襲いかかろうとしていた。
「くっ……テンペストシールド!!」
テンペストシールド……魔術師のjobスキルで、対象を保護と同時に雷属性の反撃効果のある防御スキル。
これによって、モンスターの攻撃を食い止め、スキルの効果である電撃の光によって周囲の状況が広範囲で見えた。
状況は思った以上に悪い、気が付かない間にかなりの数のモンスターの接近を許していた。
魔術師のスキルでは、一気にモンスターをやっつける広範囲大魔法はあるが、試験のモンスター達は上手く対象が他のモンスターと被らない位置取りで接近している。これでは大魔法を使ったとしても当たるのは1体のみ。全くの無駄打ちで終わってしまう。
「兄ちゃん!! 任せたぜっ!! ライトニングダッシュ!!」
「おっ、わかったぜっ!!」
「ダッシュフレーム!! ホーリーフレーム!!」
ディルが身を挺して敵陣に飛び出す。それに被せるようにイリアーナがダッシュフレームとホーリーフレームを展開する。
これらのスキルは、ディルを補佐するスキルで、移動速度の増加と、バリア効果がある。
試験モンスターの攻撃をこれで幾分回避することが出来るだろう、先程まで泣いていたというのに、この切替の速さは仲間を守る聖職者として満点の動きだ。
「いけるっ!! くらえっキネティッ……ぐっ!!」
ディルがモンスターを引きつけている所に特大のスキルを放とうとした泰弘に何者かの攻撃がヒットし、詠唱を止められてしまう。
その攻撃は、予想外のところからやって来た。
「ごめんなさぁ~い。お兄さんかっこよすぎてぇ~。つい当たっちゃったっ!」
「リ……リナちゃん……」
射手志望のリナちゃん……、さっきから泰弘ばかり意識していたが、モンスターに襲われている今も、緊張感皆無で泰弘にぞっこんで甘えている。なんなんだこの子は……。
それからと言うもの、「あぶねっ、フロストのっばっ!?」「あっ、またぁたっちゃったぁ~」「ディル、そこだっ!! キネティっうげっ!!」「あははっ、やっちゃったぁ」「イリアーナちゃんあぶないっテンペすぅぅっ!?」「えへへお兄さんぎゅううっ!」…………。
事あることに泰弘を妨害する様は、むしろ試験用のお邪魔キャラである、さすがの泰弘もいよいよ我慢の限界。
「リナちゃん……だめだよ。お兄さん真剣なんだか「ぁたしもほんきぃ~」はうぅめっ……めざめちゃうぅ~」
積極的なリナちゃんがぴったりと身体をくっつけて、子供の熱い体温と少女特有の甘い匂いが漂ってきて脳が蕩けそうになる。
射手の衣装は、肌の露出度が高く、泰弘の背から覗くと丁度襟元から胸の谷間……といってもほぼ平らな胸ではあるのだが、おっぱい星人として見てしまう。
イケナイ方向に限界であった……。
「くだらな……」
死闘中ではあるが、イリアーナちゃんやディルはその様子を見てそれなりに和んでいたが、アリサだけが、冷めた目線でみていた。そして、混戦中の仲間を無視して一人奥へと向かっていく。
「おいっ、一人で行くな!! 危ないだろっ!!」
追いかけたくとも、今この場を抜けることは出来ない。
魔術師のjobはパーティーの中ではアタッカーの役割を果たす、泰弘が抜ければこのままモンスターの集団を捌ききれず圧死してしまう。その泰弘の動きをリナちゃんが止めまくっているので現在進行系でモンスターは増え続けていた。それに下手に追いかけてリナちゃんがヤンデレ化したらこの場は昼ドラ状態で修羅場と化す……、泰弘はなんとなくリナちゃんがそうなる予感がしアリサを追いかける事が出来なかった。
そして、アリサが向かった方向には、それまで戦っていたモンスターとは明らかに体格の違う迫力のある敵、この試験におけるボスモンスターが待っていた。
「アリサっ逃げろっ!!」
頑なにアニマレイズ以外のスキルを否定する彼女が、今、防御スキルを使用するとは思えない。
リナちゃんをたとえ振り払って駆けたとしてもアリサの居る位置は遠く、泰弘の防御スキルは届かない。
その場にいた皆が、アリサとボスモンスターの動きをただ見守ることしか出来ない切迫した状況で、彼女はスキルを唱える。
やはりそれは、“アニマレイズ”だった。
配布されたスキルスクロールは、全てレベル1で弱い。利点としては、普通に習得するjobスキルと違い、前提スキル無視で大魔法スキルが消費SP無視で使えることだ。本来は発動までに長い集中力と詠唱効果があるものでも、スピーディーに発動出来る。それでも、使用者がひよっこなら威力はあてにならないのだが……。
勿論、アニマレイズのレベルも1で、効果は弱い、それ以前に成功率が低すぎた。
アリサが使用した1回目のアニマレイズは不発、迷うこと無く続けざま2回目のアニマレイズを使用する……不発する……、3回めも不発……このまま成功するまで渡されたアニマレイズを使い続ける気だろう。
彼女は、迫り来るボスモンスターを全く恐れる様子もなく、ただ、黙々とアニマレイズを試みた。
泰弘がようやく周囲の雑魚モンスターの処理をし、アリサの元へ駆け出した時、ボスモンスターはその巨大な拳を小さな少女に振り落とそうとしていた。
「あぶねぇっ――!!」
「――――はっ!!」
振り落とした先……洞窟に大きな亀裂を残し、ギリギリのタイミングでアリサを庇い攻撃を回避する。
「危ないだろっ!!」と注意を投げかけようとした泰弘だが、彼女の目をみて言いかけた言葉を飲み込む。
その目は、涙を溜めていた。恐怖からではない、悔しさから来る涙。
期待し、期待し続けたアニマレイズが全く成功しない事で絶望に近い感情とそれでも、自分にはこれしかないという固い意思が、彼女の表情に現れていた。
「アニマレイズが成功すれば……勝てるんだな……?」
「くっ――……」
雑魚戦で、必要以上にスクロールを使用しすぎたため、泰弘の魔法スクロールは尽きていた。
他の仲間達も、完全に消耗している……。今、ボスモンスターを倒せる可能性があるとすれば、アリサのアニマレイズにかけるしかなかったのだ。
彼女は、泰弘の声掛けに返事はしなかったが、泰弘には伝わっていた。勝てるのだと。
「俺が壁になってやる。今のうちに全部使っちまえ!!」
「っ…………アニマレイズッ!!」
デジコとの修行で戦ったサモンモンスターのほうが、試験用のボスモンスターよりずっと凶悪だ。
巨大で迫力のある姿をしているが、戦える自信が泰弘にはあった。
それに、やはり試験用だ、動きをよく観察すれば攻略できるように一定のパターンを仕組まれている事が泰弘には見えた。もしかしたら、全力で殴り合いをすればアリサを待たなくても勝てるかもしれない、だがそれは出来ない、仲間の力を信頼し、彼女が今真剣にスキルを試みているのに、自分が倒してしまっては、彼女の面子が立たない。泰弘はダメージを受けながらもアニマレイズが成功するのを待った。その時。
「アニマレイズっ!!」
アリサが持っていた“ゲムイチソ”と名を付けられた、人形に魂が降臨したのだ。
その霊魂に、今まで見せたことのない柔らかな表情で声をかけるアリサ。
「…………ゲム……おかえり……」
「フォ……ラ……ム……ゥ……」
(ゲム……? ゲムイチソの魂は実在した?)
ゲムイチソ人形は、何かを言おうと……伝えようとしている……、が、何を伝えようとしているのかわからない。
電波状況の悪い無線機の様に、途切れ途切れで、今にも消えそうだ。
アニマレイズは成功した。しかしその精度は低い。
この状況で果たして何が出来るのか、泰弘達は完全にその端末を見守るしか無かった。
アリサの表情が変わった、先程一瞬緩んだ口角は再び下がり冷めた表情に戻る。
やがて全てを悟ったように呟いた。
「やはり……レベル1ではこの程度……でも、xxxの魂を呼び出せることはわかった……」
(今……何の魂と言った?)
『何かの魂でも呼び出せることがわかった』……そう呟いたアリサの目は鋭く、ボスモンスターを睨みつけ、勝利を確信したように力強く、接近する。
泰弘が静止する隙すら与えずに、彼女は片手を敵に向け、再びスキルを唱えた。
「――ジュ・アンテルディ――」
その刹那、アニマレイズで呼び出したゲムイチソ人形から聞き慣れない回転音の様な音が聞こえてきた。
これは……モーター音? どんどんその音は甲高く洞窟の中で反響しかなりの騒音に変わる。
ゲムイチソ人形が、コンピューターのメッセージ音声の様な事を囁き始める。
「カオ……ティ……ク……デモ……ン……スクリ……プト……ハツ……ドウ……シマ……ス……」
「いきなさい、ゲム!! 混沌の嗜虐六芒!!」
すると、突然ゲムイチソ人形の背後に巨大な輝く魔法陣が展開する。
洞窟の内部が震え、そのエネルギーに共鳴し天井からパラパラと土砂が降り始める。
紅雷の光が、六芒星を描き、全ての線が繋がった瞬間、ゲムイチソ人形の腕が上がり、その掌から甲高い悲鳴のような音と共に雷球が勢い良く飛び出し――ボスモンスターを完全消滅させた――!!!!。
「こいつはびっくりどっきりどきどきだぜ……!?」
まだ、job補正のないアリサがこれ程の極悪で、究極の魔力とも言える力によって、このダンジョンのボスを瞬殺したことに恐ろしさを感じる泰弘だった。他の子供達は、純粋なもので、アリサが普通に凄い力でボスを倒したという事実だけで歓声をあげていた。
「うわぁ、アリサちゃんつよ~い!!」
「かっけ~!! 何今の!! 今の何!! キュィィィーン!! ジュドーーーンっていったぞ!!」
周りからの祝福を受けるアリサだが、アニマレイズが成功し、ボスを倒し、合格を勝ち取った事で安堵したのか、子供たちの声を無視して、うわ言のように呟いていた。
「……ママ……マリア……お姉ちゃん……もうすぐだよ……アリサが、蘇らせてあげるから……」
(ママ……? マリアお姉ちゃん……?)
授与式は、あっさりしたものだった。と言っても、やはり感動はした。全員合格だった。実技試験の評価が、かなり良かったのだ。雑魚モンスターに手こずった所があるが、ボスをスピード討伐したことで、諦めていたトータルスピードクリア条件も満たし、仲間との協力性も評価された。協力性あったかな?と思う所はあるが、審査したスタッフにはありだったらしい。
再び大聖堂に集められた受験生は一人ひとりjob職業に就く事となる。
個人用携帯端末による簡単なスキル取得方法の説明、job職に就いたものとしての品行ある活動をすること……など、6歳の子供向けにある程度優しい言葉で伝えられ、解散となる。
剣士になったディル、聖職者になったイリアーナちゃん。それぞれの親が子供の合格を祝い祝福していた。
射手になったリナちゃんは、試験中あれだけ泰弘にべったりだったのに、迎えに来たイケメン兄にころっと向いていって、何もなかったかのように泰弘は捨てられた。女の子は怖い。
そして、魔術師になった獅子王アリサ。彼女の迎えはいなかった。それが当たり前だと、彼女の背中は語っていて、今回の合格も彼女にとっては当たり前の通過儀礼でしか無いのかもしれない。
一人で帰る彼女に一言だけ伝えたく泰弘は笑顔で声をかける。
「アリサのお陰でみんな合格出来たぜ、サンキュ!!」
アリサは、一瞬だけ泰弘を見て、特に何も言わずに去っていった。
(ちょっとは「当たり前だ」くらい言ってくれてもいいのにそれも無しかい。まぁいいか……)
大聖堂を出ると、外はもう夕暮れで一番星が輝いている。
合格の峰は、スマホでデジコに伝えることも可能だが、泰弘は直接言いたくて帰るまで黙っていることにした。
これまで、試験に協力してくれたデジコのお礼も兼ねて、彼女が好きなアイスクリームを手土産にして帰路につくことにした。
このあたりから文字数かなり増えてきます。
台詞一部修正