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スギボウの大冒険  作者: うああじた
2章 目指せ魔術師!!
14/32

3話 俺は魔術師になるッ!!

 アルヴィアールの言ったとおり、ここは和風の名前が多い地域って聞いていたが、ここ迄日本人風の名前が多いとは……役所もまんま日本の役所! って感じで普通だった。

 ちょっと、異世界ファンタジーから現実に戻された気分である。


「まぁ、姫奏ちゃんの存在のファンタジー感には心底驚いたがな~」


 待ち合わせの公園に一足先に到着し、ベンチに座って一休みをする。

 空を見上げると、2つの大きな丸い雲が浮いていた。

 それを、よだれを垂らしながら見上げる。


「ふふふ、姫奏ちゃんのおっぱい最高だったぜ……」

「おかあさーん、あのひと雲みておっぱいとか言ってるー!!」「こらっ目を合わせちゃいけません、あれは病んでる人よ、いきましょ」

「…………」


 自分でもアホ丸出しのことを口走ってしまい、危うく道行く親子に不審者として通報されそうだった。


(そういや、姫奏ちゃんもお母さんなんだもんなぁ……)


 念願のスマホ登録を済ませ、次の目的は自然と最難関であろうjob職業試験になるとわかっていて、わかっているからこそ、もうやる気が起きない病になり、白い大きな雲を見てはおっぱい……などと現実逃避する。


「RPG進めているときもさ、ラスボスの手前とかで、「コイツ倒したらこのゲームも終わりかぁ~」って気分になって、急にやる気が失せて積みゲー(遊ばなくなって放置して積み重ねてしまったゲームの意味)にしちゃうんだよなぁ~」


 やがて風に流され、雲の形は変わっていく。


「あぁ……おっぱいが……崩れていく……俺のおっぱいが……あぁぁ……」


「なぁに、だらしない顔してるのよ……」

「おっぱいが……消えた……」

「……あ、ふ~ん……そ~……消えたか~」

「あ……やべ」


 タイミング悪く無乳少女、でなくデジコが帰ってきてしまい。目線が胸の位置でとまると、やはりオッパイは消えたのだと、落胆する。

 そんな俺を、喝入れと八つ当たりを兼ねて、買い物してきたであろう袋でバシバシと叩き始めるデジコであった。


「いてっ、いたいって、な、何買ってきたんだよっ!!」

「あんたに買ってきてやったんだから、感謝しなさいよね!」

「俺に?まじで!?」


 袋をあけてみると、そこには新しい衣類が入っていた。

 あまりにも臭い俺を思って、着替えを買ってきてくれたのだった。


「デジコぉ~……おまえほんと良いやつだなぁ……」

「な……汚っ……やめなさいよっ!! くすぐったいわねっ!!」


 感涙して胸にしがみついて涙を拭うが、思った以上に無い胸でなんだか顔を付けただけで硬くて痛かった、残念な表情で見上げると、その感情を見抜いて怒り心頭になるデジコ。


「あんたって男はぁ……いっぺんしねっ!! クリムゾンボルト!」


 公園のベンチが爆風で吹き飛んだ。



 *・*・*・*・*・*・*・*・*・*・*



「え、本気で魔術師になりたいの!?」


 暫くして、公園に植えられた木漏れ日から差し込む夕日の橙色に砂場は染められ、家へ帰る子供たちの影が伸びてゆく。

 静かになった園内のベンチで二人並んで座り、俺は自分のこれからの事を話した。

 これまでずっと親切にしてくれた、デジコを恩師とし、彼女に教えを請うと言うことを。

 だが、俺の意思とは裏腹に、デジコは魔術師になることに対して、そこまで乗り気でないようだった。


「おう、だからデジコに魔術師の事これからも教えてもらいたいんだ。いいだろ先生!」

「あんたの頭じゃなれっこ無いんだから、適当に剣士とかなっちゃいなさいよ……」


 たしなめるように言うが、俺の意志は固い。


「うむ、たしかに、剣士もカッコイイな、ちゅきも剣士らしいしライトニングダッシュはカッコよかった。だが、俺は魔術師になりたいんだ。デジコみたいなカッコイイ魔術師にな!!」

「カッコイイ……って、私そんなにあんたに魔法みせてなくない? 何にそんな感化されてんのよ」

「う~ん……マジでなんでだろうな? 自分でもわからん」


「あんたねぇ……」と続けようとしたデジコだが、job職業が一度就けば転職出来ないことなど十分承知の上であることは伝わっている様子、彼女も気付く、切迫している俺の年齢に。


 job職業は年齢が若いうちに就くほど、多くの恩恵があると前に聞いた、現在18になる俺にとって、この年齢は遅すぎるスタートになるだろう。

 たとえ、苦労して就職したとしても、この世界の誰よりも弱い魔術師になるということは火を見るよりも明らかだと思う。

 それでも、ならなければならない、この世界で生きていく覚悟があるから。


「ま、受けるだけ受けてみれば良いんじゃない?」

「まじか!! やったぜ!」

「でも、私が教えるって意味わかって言ってる?」


 生まれつきjob職業の魔術師として育てられ、おそらくはこの世界最強の魔術師である彼女を師匠に選ぶということは、彼女の顔を立てる意味でも絶対に合格しなければならない。


「ああ、もし不合格なら、俺のこと殺したって良いぜ、それくらいの覚悟でなきゃ駄目なんだ。よろしく頼むぜ!! 先生!」

「まったくもぉ……しょうがないわねぇ~ビシバシ行くから、覚悟しなさいよ!」

「おうっ!」


 強い意思と覚悟を携え、二人は師弟関係となり手を繋いだ。

 その手は夕焼けで黄金に輝いていた。


「あの~……公園管理者のモノなのですけどぉ~……公園の備品破損の弁償で100万ほど頂きたいのですがぁ~」

「…………」


 魔術師の修行……それはお金稼ぎから始まりそうだ……。

修正版と同期しました。

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