エピローグ
あなたには夢がありますか?
若い女性の声は再びその毒牙を男たちにかけていた。その声はこの世の男たちをすべからく魅了するほど艶やかで、妖しい。
男たちは何のためらいもなく、その声に頷くだけだ。
どうしても叶えたい願いがありますか?
若い女性の声は再び問う。彼女は知っていた。もう問うまでもないことを。何故ならば、彼らはもう既に彼女の作った檻の中にいるのだから。彼らはもう彼女の操り人形なのだから。
首肯する彼らを見て、彼女はつまらなさそうにため息をついた。
「やはり……彼しかいない、のですね」
口元が少し緩む。その表情は明らかに希望を見出した少女のようだ。自らを絶望の淵から救い出してくれる人をようやく見つけた。そのためには、誰をどれだけ利用しようと構うものか。
「来てください。この場所に」
空からはちらほらと雪が降ってきた。
「そして、私を見つけてください。ここで、私を見つけることが出来たなら……」
続きの声は激しい風によって吹き消された。
明けない夜のように連綿と続く永久凍土の世界。
コートも羽織らずに、彼女はそこで小一時間祈りを捧げていた。
また、彼と出会えるように。
こんばんは、星見です。
第一部【汚染都市編】はこれにて終幕となります。
これまでお読みいただいた皆様、ありがとうございました。
まだまだ未熟な作家でございます。コメントやアドバイスを頂けると飛び上がって喜びますので、もしお時間がありましたら、よろしくお願いいたします。
第二部【哭冷凍土戦線 北海道】はまもなくこちらに掲載したいと思っております。
続編もお楽しみいただけると幸いです。
ではまた第二部でお会いできることを祈りつつ……
追伸:あとがき等は別のところで書かせていただきます。よろしくお願いします。




