アウトサイダー
「さて、不良くん。我が神聖なる居城を侵した罪は重い! 裁定を始めようではないか」
薬物によって落ち着きを取り戻した校長は鷹揚に宣言する。
「そのよく回る舌を叩き潰して、二度と喋れねえようにしてやる」
ジンは得物を力任せに振るったが、それは相手を両断しなかった。否、出来なかった。
「どうかしたのかね? 私はここだぞ。よく狙って斬るといい」
まるで空気を斬っているみたいだ。
修羅場をいくつかくぐったジンのカンは一瞬でそう判断した。これは“斬れない”敵なのだ、と。
「神に反逆した罪だよ、不良くん! 君たちのような人間のクズを処分するために我々教師は存在する。そう、大人になって良い人間を選別することが教師の務めなのだ! そうは思わないかね?」
偉そうに演説を始めた校長に
「ふん、それでテメエらがその腐った物差しで人を品定めして、合格した奴がアウトサイダーとやらではないってわけだ」
ジンは皮肉たっぷりに応じた。
「その通り! アウトサイダーは大人として生きることを許されざる者! 君の飼い主の神崎とかいうチンピラもそうだ。この世界にはアウトサイダーが多すぎる。大人として生きるに値する者が少なすぎる。そう思わないかね?」
「似非宗教家のゲス理論に付き合う気はない。とっとと殺し合おうぜ?」
「人生最後の授業だ。受けていきたまえ。葉村くんもだ。私に歯向かうような愚をなぜ犯したのか分からない。君ももういらない」
葉村は黙ったままだ。
ジンは彼女の表情を横目で見る。
緊張しているようにも見えるが、その真意は分からない。
「では、授業を始めよう。君たち人間のクズは晶具というものの存在を知っているかね? 大いなる存在が世界の救済のために作り出した究極の兵器のことだ。世界に恒久的な平和をもたらすそれらはこれまで秘匿され続けてきた。秘密を知るのは私のように選ばれし者だけだ。そして、彼の意志を継ぐ者だけだ。ここまでは理解できたかね?」
「説明が下手すぎて眠たくなるぜ。教師ならもっとマシな講釈の仕方はできねえのか、このクズ教師!」
「それは君の頭が悪いからだ。頭の悪い人間は大抵、分からない理由を人のせいにするものだ」
「ギャグのつもりで言っているのなら漫才師としてはそこそこだな。何故俺たちがここにいるか、あんたには分からないはずだ」
「私を殺すつもりだからだろう。この新しい世界で愚民どもを教導する、この私を!」
「ボケ! だからテメエは三流なんだよ!」
ジンはもう一度大剣を構えた。刀身は赤黒く変色している。
「私に剣は効かないと言ったはずだが。何度でも試すがいい。我が晶具の力を舐めないでもらいたい。この力はあの方より授かった力だ。いち不良如きに破れるものではないぞ」
「めでたいのはそのツラだけにしとけよ、三下が!」
葉村はただ、ジンの様子を見守っているだけだった。
こんばんは、星見です。
しばらく見ないうちに、お気に入り件数が増えていてうれしい限りです。
さて、この2週間何を落ち込んでいたのかといいますと、婚活がうまく行きません!
寝言はここまでにして、明日からしばらく余裕が出来るので、その間に書き上げたいところです。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




