悪意の王
二人が校長のいる部屋にたどり着くまでにそう時間はかからなかった。そして、校長自身もいずれは発見されるものだと思っていたらしい。
「来たか……アウトサイダーめが」
ジンと葉村が目にしたのは余裕で満ち溢れた校長ではなかった。
目は血走り、その顔に焦燥を浮かべている。
何かのアクシデントがあったのだ、とジンに気付かせるには十分だった。
「随分なツラだな。そんなツラで出迎えられる身にもなれよ、クソジジイ」
「おのれおのれおのれおのれ! このガキどもが! 私を、この神戸の王たる私を! 貴様らさえいなければ! 貴様らが私の前に現れなければ! あの計画は成功していたものを!」
「妄想なら他所でやってくんない? 俺らには時間がないんだよ。それとも、その腐った脳みそに風穴空けられないと妄想止まらないってんなら、望みどおりに殺してやるよ」
「邪魔だ邪魔だ……いなくなれ、この世界からいなくなれ」
苦しみながら呪詛をまき散らすその姿に、葉村はかつての知人の面影を見た。
「せめて苦痛から解放してあげます。それが私にできるただ一つのこと」
「貴様らも! あの女も! 皆殺しだ! 死ねばいい! 死んでしまえ! 殺してやる! 滅ぼしてやる! 私に逆らう者は!」
校長はスーツのポケットから小さな注射器を取り出し、それを躊躇なく自らの首筋に突き立てた。
頭蓋を砕くようなおぞましい叫び声を上げながら、その身体は徐々に変化していく。
「ボス猿が一匹増えたところで、大したことない。とっとと始末するぜ」
ジンは得物を抜いたが、それが誤りだということにすぐに気づいた。
こんばんは、星見です。
やっぱり色々アクシデントがありました。
主に自分が要因ですが(涙)
さて、頑張って書きましょう!
春までには完成させたいです。もう春ですがというツッコミはなしで。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




