抵抗する者たち
会社員に暴走族、極道組織に警察官に囚人たち。何の統一性も見られない混成軍は三宮市街で怪異たちに必死に抗っていた。
その指揮を執っているのは、表向きは軍馬である。
警官隊は対戦車ライフルを持ち出し、自分自身は大経口の軍用拳銃をぶっ放し、怪異を血の海に沈めている。
「ふん、数が多いだけというのも厄介だ」
怪異たちの死体は増えているが、一向に彼らの軍勢が減る様子はない。
たまらず軍馬は神崎に電話をかけた。
「おい、神崎! これはどうなっている。これでは一方的な消耗戦に持ち込まれるだけだ。貴様に何か策はないのか?」
『あるに決まってるやろ。もうちっと辛抱せえや。ワシの手駒が敵の本丸に突入しとるさかい』
「まさか単騎突入させたとでも?」
『そのまさかや』
「死なせるつもりか? いや……あの少年か?」
『せや。あいつならやれるで。いや、あいつにしかでけへん』
「彼は何者だ?」
『そうさな。まだ何とも言われへんわ。……史上最悪の殺戮者になり果てるか、それとも……』
「それとも? なんだ、救世主にでもなるとでも?」
『そうかもしれへん。何より救われるのはあいつ自身かもしれへんけど』
「とにかく勝算はあるんだな?」
『それは間違いない。こちらにはまだ後詰があるさかい』
「ならいい。あと何時間持ち堪えればいい?」
『三時間、は欲しいところやな』
「貴様のところの、あの金髪箒頭を貸せ。『武装戦線』の兵力があれば事足りる。だが、それ以上は保証できんぞ」
『かまへん。頼むから死人は出来るだけ出さんといてや。カタギには手を出さへんのがワシら侠客の流儀やさかい』
「ふん、貴様に言われなくてもその程度のこと分かっている。切るぞ」
通話を無理やり止めた軍馬はため息をついた。
それは呆れたあの男の発想のせいでもあり、頼もしい援軍を得ることが出来たからでもある。
混沌は止まず、災厄の雨は降り続ける。
これはまだ序章に過ぎない。そのことを一部の人間以外は誰も知らない。ジンや葉村、神崎と軍馬でさえも。
こんばんは、星見です。
実家なうです。
実家ってやっぱりいいなと思う今日この頃。
何度でも思います。
さて、今年2017年も明日でおしまい。
色々ありました。
読者の皆様にはお世話になりました。
おかげで電子書籍化も出来ました。
これからも書き続けていきたいと思います。その物語を『終える』まで書くのは筆者のキャラクタへの責任だと思うからです。
三文作家が偉そうに言いましたが、来年もどうぞよろしくお願いいたします。
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




