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竜胆会

 小さいころの記憶がない。だから、俺の居場所はここしかない。

 少年はそう思っていた。

 少年は神戸市を本拠地とする極道組織である竜胆会りんどうかいに引き取られてから、黒崎ジンという名前を与えられ、義務教育を終えた。その後は、組の仕事を手伝うことになり、今に至る。

 眠りから醒めると昼前になっていた。春の温かい陽気が身体に少しずつ染み込んでいく感覚が心地よい。昨日の深夜の仕事の疲れがきれいになくなっている。

 組の事務所はジンが住むアパートから徒歩一分という利便性の高い場所にある。ジンが組の事務所に入ると、何やら騒ぎが起きていた。その中心にいるのは組長、神崎秀人かんざきひでとだ。元々武闘派ヤクザの代表格だった男である。その力を見込まれて、今は先代組長からその座を譲られた。

「テメエら……少しは落ち着けや。まだ確定事項ってわけやあらへん。それに、雑魚ごときに兵隊割くわけにもいかんやろ」

「組長! 我らの名前が汚されたんです! きっちり落とし前つけなあかんでしょう?」

「そうです。我らは麻薬密売などしてへんのですから。警察は間違っとるんです!」

 部下たちの言い分を飲み込んだ神崎は苦い顔をする。彼らの言い分はもっともだと思うのである。だが、現実的には彼らの要求を実現することはかなり難しい。

「考えとくわ。おい、ジン。ちょっとこっち来い」

 格好の逃げ場であるジンを見つけた神崎は、専用の机から立ち上がって小走りでジンに近づく。思わず笑ってしまったジンを睨み付けて

「ジン。テメエには確か兵隊の武器調達を指示しとったな。どや? 準備は整ったか?」

 と聞く。あまりにも不自然すぎてジンは吹き出した。

「……はい、抜かりなく。オヤジ、今日の仕事は?」

 オヤジといつも呼んでいるが、神崎はまだ四十になっていない。かといって、兄貴と呼ぶには年を取りすぎている。

「そうやな……とりあえず、この甲南山手周辺をぶらぶらしてこいや。あの鋼鉄警視総監の動きを探れればええけど、まあそれは後日にするわ」

「いいんですか? 俺を遊ばせておいて。あのサイボーグ警視総監、殺るのが遅くなりますよ?」

「ええんや。以前は煮え湯を飲まされたからな。慎重すぎるくらいでええ」

 いつもと違ったぬるい指示に違和感を覚えつつも、ジンは首肯した。

こんにちは、星見です。

これが載るころは私は自宅にいませんが、諸事情によりこの時間で掲載させていただきます。


大幅な設定変更をしました。


ではまた次回お会いできることを祈りつつ……

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