悪意の同盟
チェグソンの背後から現れ、一斉に銃口をジンに向けているのは兵庫県警の警察官たちだ。軽く十人は超えている。
「ヒャハハハ! こんだけのポリに囲まれりゃ、テメエでも逃げられねえ! 死ぬな、死ぬぜ、死ねや!」
「組織のトップがそんなに下品だと組織の品位も底が知れるってモンだな。こんな猿の下で働く人間が可哀想だな」
ジンのあからさまな挑発にのってしまったチェグソン。ジンにとって、これは時間稼ぎだ。
「この日本猿が……! 誰に口利いてるか分かってんのか、コラ!」
「大陸産の単細胞生物に決まってるだろ。話しかけるな、バカがうつる」
さらに激高するチェグソン。
この男は組織の長に必要なものが決定的に欠けている。それは状況を俯瞰する冷静さだ。この時点でもう既に彼はジンに良いように操られている。
「オラ! ポリ! テメエら何してる! とっととこのクソ野郎をぶち殺さねえか!」
チェグソンの怒声に反応した警察官たちは発砲するが、その弾丸は明後日の方向に飛んでいくばかりだ。
「大した警察官だな。大陸マフィアから流されたとはいえ、銃すらまともに扱えないとは。さすがは日本が誇る世界一優秀な警察官様だ。恐れ入る。しかも、税金で飯を食っている人間がチンピラの手先とは感動的過ぎて涙が出るぜ」
「誰がチンピラだゴルァ!」
「自覚しろよ、雑魚」
「テメエも! あの葉村も! 人を見る目がねえ。この俺はこの三宮のフィクサーなんだぜ? 俺に盾突くってことはここでは生きていけねえってことだ!」
「既にクスリでもヤってるのか? 現実と幻覚の区別がつかないとは、もうそろそろ終わりだな」
その間にも警察官たちは一生懸命発砲しているが、ジンにかすりすらしない。
「暇つぶしにちょっと推理でもしてやろうか。こいつらの拳銃を誰が調達したのか? 簡単だ。占領軍だろう? 占領軍はお前ら大陸マフィアと裏で繋がっていたことになる。もちろん、日本警察はお前らの操り人形だ。くくく……中々安っぽい芝居だったぜ?」
「……テメエ……どうやってそれを?」
「推論にすぎない。日本では自衛隊すら銃の携行に規制がかかってるんだ。そんな中で堂々と拳銃を扱えるのは誰だ? 外国勢力しかいない。だから、出来損ないの日本警察と占領軍が裏で手を結んでいるというのは容易に想像できた」
チェグソンが歯ぎしりする音が聞こえた。それがジンにとっては何よりの欲しかった答えだ。
「……ガキが。テメエ一人で何ができる? 今、“先生”が竜胆会に襲撃をぶちかましているところだ。竜胆会はこれで終わりだぜ?」
「へえ……“先生”か。テメエの他にもロクデナシがいるようだな。そのゴリラ顔が変形してスクラップになる前に吐いてもらおうか?」
こんにちは、星見です。
最近体重の増加がひそかな悩みです。夏と比べて3キロ増えました。もっと増えるとメタボ街道に入ります。
さて、”先生”って誰でしょうね? チェグソン小物キャラになったなぁ(苦笑)
ではまた次回お会いできることを祈りつつ……




