日常の終わり
「う〜寒っ」
今は3月というのになんだこの寒さは
俺がマフラーに顔をうずめていると
「おはよー契太、相変わらずテンション低いね〜」
「そういうお前は朝からテンション高いな」
髪を肩らへんでバッサリ切りこのクソ寒い中、元気いっぱいなこいつは同じクラスの日向華純で、俺が唯一、クラスで話をする女子である。(まぁ、男子の友達もほとんど…いや全くもっていないのだが)しかもこいつの家は俺の2つ隣で、かなりの頻度でうちに遊びに来る。正直とっても鬱陶しい。
俺は中学3年生の夏に、この街に引っ越して来た。
俺はこのとっつきにくい性格と夜更かしの連続による暗い顔つき(主に目元)により誰も話しかけてはこなかった。そんな中こいつだけ俺にちょくちょく話しかけてきた。「どこから来たの?」「なんかスポーツやってんの?」「ねぇこれみて! うちの犬(犬種ドーベルマン)なんだけどさ、めちゃくちゃ可愛くない?」などと幾度となく話しかけてきた。その度俺は素っ気なくかえした。その後、俺は転入して来てから初めてのテストでぶっちぎりで1位をとったため、さらに話しかけられなくなってしまった。俺も最初は「え、こいつ俺に気があるんじゃね」などというバカなことを考えたりもしたがこいつはただ単に遊び相手が欲しかっただけだった。こいつはなんか知らんがソフトボールがめちゃくちゃうまいらしく強豪校にスカウトされたらしいなので全く受験勉強などはしていなかった。そのため周りの子は受験勉強で忙しく退屈していたところに俺が転入してきたってわけ。俺も早めに高校が決まっていたのでさぞ嬉しかった事でしょういい遊び相手が見つかって。 こっちは大迷惑だ!
あ、ちなみにこいつの成績は見るも無残なことになっている。
「今日も寒いね〜」
「そ〜だね」
「てかお前、前に貸した120円返してもらってないよ。あと、冬休みの時の700円も!」
「う〜……あっそういえばさ、この前契太の家に遊びに行った時にさ、こんなの見つけたんだけど」
「ごまかそうとしても無駄だぞおとなしくしろ」
そう言うと華純はこっちを向き不敵な笑みを浮かべたのちバックの中からゆっくりと雑誌の様なものを取りだし…
「ぎゃあああああああああああ!」
「契太ってこういう子が好みなのかな〜? 」
「ちが…てかなんでお前がそれ持ってんだよ! 」
華純がバックから出したのは俺が2週間前にこうえんの空き倉庫似てないわ発見したエロ本⁉︎ 確かそれはベットの下のダンボールの中の大量のマンガや、ゲームの攻略本の下の伊勢丹の紙袋の中に厳重に保管してあったはずだが。
「いや〜だって契太この前下でずっとカップ麺ズルズル食べてて全然遊んでくれなかったじゃん。仕方ないから契太の部屋を物色してたらこんな物が見つかりましてな、これはいかんという事で回収したというわけです」
「なんでそうなるんだよ! これ窃盗罪だからね! 犯罪だからね! 」
「ま〜ま〜、そう熱くならないで」
「いや、誰のせいだと思ってんの!
ねぇ! 」
「あれ〜そんな口の利き方でいいのかな〜? これがどうなってもいいのかな〜? 」
ヤバい! この事が妹にでもバレたらただでさえ無いに等しい俺の兄としての威厳が完全に消滅する!
俺の頭の中では警報が鳴り響いていた。背中はこんなに寒いっていうのに汗が止まらない。
「分かった。あのことは忘れろ! そしてそれを渡せ、そしてこの事は綺麗さっぱり忘れろ、な、」
「しょうが無いそこまで言うなら忘れてやる」
まだこの前妹に借りた金返してないのに。あ〜どんどん俺の財布が干からびていく。
そうこうしてるうちにもう学校が見えてきた。俺が通っている相馬中学校は4階建てになっていて、1階は主に職員室と下駄箱、2階から順に1年生、2年生、3年生の教室がある。なので俺らは4階まで上がらなくてはいけないのだ。俺ら3年は32人×7クラスの計224人と結構多い。
俺らが教室に入るともう大半の生徒は居て、みんな昨日のテレビ番組の話やら、最近流行りの新曲の話で盛り上がっていた。俺は席に着きいつも通り静かに読書を始める。
…あれ? いつもの時間になっても何故かチャイムが鳴らない、それにいつまで経っても担任の江森が来ない。他のクラスも先生が来た様子は無い。
「どーなってんだよ! なんであいつ来ないんだよ!」
「先生わすれてんじゃね。あいつ結構ぬけてるし」
「私、職員室見てくる」
そう言って立ち上がったのは学級委員の清水香奈だ。成績優秀で黒い髪を腰の上らへんまで伸ばし、メガネをかけて、いつもみんなを仕切っている。ザ・委員長みたいな奴だ。
清水はドアに手をかけ開けようとしたがドアはビクともしなかった。
「開かない」
「んなわけ無いだろ。おれが開け…
「キーンコーンカーンコーン」
「えー 3年生の諸君、おはようございます。今からある場所に向かいます。詳しい話は後ほど。ではでは」
すると突然スピーカーから白色の煙が吹き出してきた。そして一瞬でその煙は教室全体に充満した。
「なんだよこ…れ…」
すぐに強烈な睡魔に襲われた。意識が遠のいていった…




