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003

 馬車が止まってくれたので、そちらにゆっくりと歩いていく。


 馬の左側に男が、右側に女が出てくると剣と盾を構え、こちらを観察し始めた。御者台にも2人いるな。短弓を構えた1人は護衛か。椅子効果?で止まってくれた様だが、さすがに警戒されているな。当然だ。こちらも、止められるまでは歩きながら観察させてもらおう。


 左の男の方は30代前半くらいの身長180程で筋肉のついたがっしりした体をしている。髪は赤の短髪で額に一筋の傷跡がある。なかなか厳つい顔つきで無口そうな印象だ。見た目で損するタイプかな?珍しい髪色だな。装備は革製の軽そうな胸甲と籠手。金属で覆われた盾と片手剣の構えは熟練者のそれだ。そこそこかな。


 右の女は30に近いくらいか。175cm程と女性にしては大きい方だ。体格も然り。胸も、とはいかなかった様だ。触れないようにしよう。黄色っぽい長髪を無造作に後ろで一纏めにしている。肌は軽く焼け、男より少々黒い。そこそこ整った顔立ちで、まぁ美人と言ってもいいだろう。あまり気を使っている訳ではなさそうだが。装備は男と同一の物にスローイングダガー数本。構えを見るに技量も同程度か少々劣るといった感じ。


 短弓の男は25くらいか。身長は女程度で、体格はやや劣る。伸ばした茶髪と茶色の眼にややワイルドな顔。軽薄そうな感じだ。似たような格好だが、弓の腕は中の上程度か。


 最後は商人だろう、仕立ての良さそうな清潔感ある白のズボンに緑の上着を着た男だ。20代前半、170程。癖のある金髪に碧眼で整った顔立ちの線の細い、優男といった雰囲気だ。左手に持ち替えていたコーヒーカップを見て肩を震わせているように見える。仕方がない。俺だって笑う。


「そこで止まれ」


 厳つい男が低い、唸るような声で命令してきた。

 彼我の距離は10mといったところか。この距離なら対応できるってことか。大人しく止まろう。


「私たちにいったい何の御用でしょうか? 急いでおりますので、手短にお願い致します」


 口を開いたのは商人だった。主人っぽかったしな。


「停車していただき有難う御座います。 街か村に移動したいのですが、どちらに進めばいいか分からずに困っていたところなんです」


 余計な説明をすると面倒になりそうなので、聴きたいことだけを話す。一応急いでいるようだし。


「そうでしたか。 このまま草原を進めば、徒歩でも3時間ほどでシランという中規模の都市に着きますよ」


 3時間か。出来れば馬車に乗って楽したいが、しっかり警戒されているし、迷惑かけるのも申し訳ないし、3時間程度なら歩くか。もう少し早く着けるだろう。


「わかりました。 わざわざ有難う御座いました。 このまま、シランに向かうことにします」

「いえいえ。 そこで一つ提案なのですが、椅子とコーヒーカップをお持ちの理由をお聴かせ頂けるなら、馬車でシランまでお乗せしますよ? と言っても荷台の狭いスペースですが」


 多少、いや、かなり期待してはいたが、まさかそんな条件を付けてくるとは。話しても信じてはもらえないだろうが、それが真実なんだからしょうがないよな。


「それだけでよろしいのでしたら、お安い御用です。 御厚意に甘えさせていただきます」

「では、馬車の後ろにどうぞ。 私は商人をしております、テノン・カターレンと申します」

「申し遅れました。 シラヌイと申します。 シランまで、宜しくお願い致します」


 運よく足を手に入れられた。しかし、シランという街の名前は聞いたことが無い。人よりはかなり多くの土地に行ったことがあるんだが。どこかの大きな島か、かなり遠くの国か?





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