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 ルヴィを拾ってから二週間と少し。毎日しごきにしごいた結果、かなり強くなった。現ランクはCだが、Bランクなら十分に勝てるだろう。


 昨日Cランク昇格祝いをしたのだが、二つ重大なことに気がついた。


 一つ目はルヴィは鯨飲馬食、けっこうザル。彼女ならいつまでも俺に付き合って飲んでくれそうだ。これほど嬉しいことはないと言っても過言ではない。


 二つ目、俺はここに来た当初休みを求めていたはずだ。だが振り返ってみれば1日たりと休んでいない。

 最初のころは魔術の習熟や実験に熱中し、武器を手に入れて試し斬りに出てみればAランクの大物を倒して奴隷を拾い、七日間の謹慎を言い渡されてからはルヴィの特訓の毎日、謹慎あけても特訓の毎日。ルヴィの筋が良かったこともあって、すっかり鍛え上げることにのめり込んでいた。


 だから


「ルヴィ。今日は休みにしよう」

「は、い? や、休みなのですか!?」


 すごい驚きようだ。悪いことしたなぁ。


「そう。今日は一日ゆっくりしよう。全く休みが無かったことに今更気が付いたからね。もっと早く気付くべきだった、ごめん」

「い、いえ! ですが、今日御休みして体は鈍らないでしょうか……少し心配です」


 まずい。やりすぎてしまったようだ。毎日動きすぎて休むことに抵抗感が出てきてしまっている。


「大丈夫だよ。全く問題ないから、今日はゆっくりしよう」

「そうですか。よかったです」

「ゆっくり朝食食べて、買い物に行こうか。服とかも傷んできたし」

「はい。そうしましょう」



 朝食後、大きいが少々草臥れた外観のカターレン商会の前にやってくると、丁度よくテノンが顔を出した。今までタイミングが悪く会えていなかったが、ここにきてようやくの再会だ。


「お久し振りです。テノンさん。先だってはお世話になりました」

「おお! これはこれは、シラヌイさん! お元気そうでなによりです。いや、しかし大分活躍なさっているそうじゃないですか。そちらの方が?」

「ルヴィエールと申します」

「そう、ルヴィさんだ! うちのトンデモセーターが売れたと知って驚きましてね。いやしかし、これほどお似合いとは思いませんでした! あ、私はテノン・カターレンです。今日はいかがされました?」


 声をかける前は少し疲れていた様に見えたのだが、営業スマイルというか若干興奮しているように思える。ルヴィも押され気味だ。


「今日は衣類と日用品を買い足そうと思いまして」

「そうでしたか、では店内へどうぞ。衣類は仕入れたばかりですから、幾つか気に入られる物があると思いますよ」

「旦那。そろそろ」

「うん、そうだった。少々用事がございますのでこれで失礼させて頂きます。ごゆっくりどうぞ」


 ホーソがテノンを呼びに来た。俺が会釈すると気付いて軽く頭を下げていった。相変わらず寡黙だ。


 店の中は外見と違って綺麗な内装に変えられている。扱っているのは衣類と日用品などの雑貨で、俺の身長程の棚が幾列も並び、他店よりも豊富な品揃えだ。衣類の棚はテノンの言う通り、以前来たときよりも充実していたが、相変わらずルヴィに合う女物の服は無い。少し気落ちしている光景を見るのはこれで二度目だ。さすがに可哀想だし、折角ならルヴィに似合う服を着てもらいたいし、もう少し金を貯めたら仕立ててもらおう。


 それぞれ必要な物を揃えると店を後にする。


「そろそろ昼時だから、どこか食べに行こうか」

「はい。少しお腹が空いてきました」

「何か食べたいものはある?」

「いえ、特に御座いません。あ、あれはミコちゃんじゃないですか?」


 視線の先を見ればホットパンツにシャツを着た、ラフな格好のミコちゃんがいた。今日は休みの日なのかな。


「ホントだ。ちょっと声かけてみようか」

「そうしましょう」




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