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 side ルヴィエール


 ~1日目~


 突然の魔獣の襲撃に遭い、一人生き残った私を助けて下さった方がいました。ただ、その時は契約をしてもらう事に必死で何を話していたのかあまり覚えていません。

 その後もお夕飯を頂くまで落ち着かず、お腹が満たされてからやっと、ご主人様がどんな方なのかと考えられるようになりました。しかし、それと同時に部屋にはベッド1つしかないと言っていたことを思い出し、抱かれるのかなと考え、冷静な思考は吹き飛びました。

 気付けば私はベッドの上で、隣にはご主人様が御休みになっています。


 何もありませんでした。


 その日初めて会った人に抱かれたいとは全く思いませんが、何故か釈然としません。私の背が高すぎて、でしょうか?

 確かに、ご主人様は顔立ちも整われていて美男ですし、背も私ほどではありませんが高めでスタイルも良いですし、冒険者の腕もかなりのようですし、奴隷の私にも優しくして下さいますし、ご飯も沢山食べさせて下さいますし、服も買って下さいましたし、近くにいると少し良い匂いがしますし、女性なんて選び放題なのでしょう。

 何故あんなことを考えたのでしょうか。少し考えれば、そうならないことぐらい直ぐに分かるじゃないですか……。


 そんなことより、ここのベッドは私でも足が出ないんです! 嬉しいなぁ……。




 ~7日目~


 私は毎日寝る前に、その日一日を振り返るのですが……今日までそんな余裕はありませんでした。いえ、今でも気を抜けばダウンしてしまいそうです。


 ええと、二日目の朝はオーヘンさんの鍛冶屋さんに行って武器と防具を買ってもらいました。

 防具は革鎧で武器はハンマーとポールアックスです。ハンマーは150cm程の長さで大きな鉄の塊が先端についています。ポールアックスのほうは、なんと刻印がはいっていて2mの長柄形態と30cmの手斧形態に切り替えられるのです! それにご主人様の烏羽と一緒で刀が黒いんです! 銘は烏扇だそうです。刃が扇っぽいからでしょうか?


 私は非常に遠慮したのですが、じっと見詰められて押し切られてしまいました。恥ずかしいです。


 その結果、この買い物で所持金を全て使ったとおっしゃっていました。なんとお答えしていいか分からずにいるとまた「気にするな」と……無理ですよ!


 ギルドに行くと支部長からご主人様の依頼受注停止7日間とBランクへのランクアップを告げられました。あんまりだと思ったのですが、ご主人様は全く気にしていないようです。少し悪い顔をしながら「ルヴィが全部やれば問題ない」と仰っていました。


 そのあとは地獄でした。人よりは体力に自信はありました。いえ、あっただけでした。


 時折ホーンラビットやゴブリンを狩りながら組手や武器を使った鍛錬をひたすらに繰り返しつづけました。帰りは身体強化をして全力ダッシュです。私は汗まみれ土まみれ草まみれ。同じことを為さっていたご主人様は余裕の表情。お役に立てる日は遠そうです。


 そしてお夕飯を初日の倍ほどご主人様と頂き、体を拭いてベッドに横になったと思ったら朝、という毎日の繰り返しです。あ、三日目からは朝も鍛錬が加わりました……。


 思い返せば私凄いです。よくやっています。ホントに……



 ~14日目~


 早くも二週間が経ちました。こんなにも濃密な時間を過ごすのは初めてです。


 やっていることは変わりありませんが、確実に厳しくなってきています。

 サーベルドッグを素手で仕留めろと言われた時は泣きそうになってしまいました。しかも、手本を見せると言ってご主人様は無手無強化で仕留めてしまわれました……。少しずつついてきた自信は砕け散りました。


 もう寝ます。



 ~16日目~


 少しだけ怪我をしてしまいましたが、意地で無手無強化でサーベルドッグを仕留めました!

 更にCランクにも昇格です!


 目標達成のご褒美に、今日はいつもより沢山食べました! お酒もジョッキ8杯も頂きました!

 少し気分が良いです。シスカさんもコービットさんもお祝いしてくれました。ただ、祝っている理由を聞いた途端にご主人様へのお説教が始まりました。私が止めても聞いてくれませんでした。


 ご主人様がお煙草をお吸いになられているところを度々お見掛けしますが、その時の考えに耽る表情にはドキドキさせられます。でも、折角のご主人様の良い匂いが消えてしまうので残念です。

 あと、ご主人様はもっと寝相が悪くていいと思います。こんなにも同じベッドで寝ているのに、一度も、手すら触れたことがありません。でも、自分からは触れられません。とっても遠いです。


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