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 受領証を書いてもらいホールへ戻ってみると、ミコちゃんが暇そうにしていた。


「受領証ですか?」

「そう、よろしくね。あ、騒ぐなよ?」

「……わかりました。もう慣れっこですから、そう簡単に、は……」


 受領証を渡すと見事な二度見を披露してくれた。今は口をパクパクさせながら、俺とルヴィを視線が行ったり来たりしている。良い反応だ。


「よ、よく……お二人とも無事でしたね。す、すごいですね、シラヌイさんは」

「そうなんです! ご主人様はすごいんですよ! それなのに皆さん呆れたり驚くばかりで、労いも称賛もないんですよ? おかしいと思いませんか!?」


 今まで黙っていたと思ったら、ずっとそんなこと考えてたのか。鼻息荒く巨人がカウンターにかぶりついたせいでミコちゃんが慌ててるから止めなさい。


「そ、そうですね。えっと、あの……」

「ルヴィエールだ。次からは一緒に依頼を受けるようになるから、よろしくしてやってね」

「あっ、申し遅れました、ルヴィエールです。ルヴィとお呼びください」


 申し遅れてばかりのルヴィが軽くお辞儀をする。


「ミコです。よろしくお願いします。パーティーを組まれますか?」

「そうするよ」

「パーティー名はどうしますか?」


 パーティー名か。特に考えていなかったが……烏でいいか。武器は烏羽だし、ルヴィの印も烏の羽根みたいだしな。


「烏、で頼むよ」

「わかりました。烏ですね。では魔登録機に順に手をお願いします」


 確認してみると、刻印の円の下の部分が一部切り取られ、そこに烏と表示されていた。ルヴィもしっかりと表示されていた。


 ミコちゃんの説明によると、パーティーを組むとパーティー内で一番ランクが低いものの一つ上までの依頼を受けることが出来るようになるそうだ。更に複数人、つまりパーティー限定依頼を受注できるようになる。もっともパーティー限定依頼はあまりないのだが、内容はほとんどが緊急であったり、絶対に一度で達成してほしい事だったりらしい。後は取り分で揉めたりしやすいから気をつけろと言われたが、ルヴィは奴隷なので関係ない。ミコちゃんの名誉のため言っておくと、パーティーの説明は結成時にされるものなので彼女が言い忘れていたわけではない。


「シラヌイさん、お待たせしました。こちらが討伐料の10000レルです。金貨1枚と銀貨100枚どちらでお渡しします?」


 カウンターには1枚の金貨と、1列に銀貨20枚が入る溝が5列並んだ木の板に収まった銀貨100枚が乗っている。所持金が銅貨60枚だけだから、すぐ使うことを考えると崩れていたほうがいいな。


「銀貨のほうでもらうよ」

「はい。そうだ、ルヴィさん。シラヌイさんが無茶しないように見張っていて下さいね!」

「はい。かしこまりました」

「暫くはルヴィを使い物になるように訓練しないといけないし、自然と大人しくすることになるだろうから大丈夫だよ」


 疑ってますと顔に書いてあるミコちゃんに板を返してギルドを後にする。


「さて、まずはルヴィの服やら必要な物を買いに行こうか。武器防具類は明日の朝にしよう」

「はい。ですが、よろしいのですか? 服は今着ているものがありますし、素手でも戦うことは……」

「そんな簡素で動きにくい服一つで俺の訓練を耐えきれると思うなよ? 素手での戦闘もやってもらうが、ルヴィにあった得物もちゃんと持ってもらう。それに、恩を返してくれるんだろ?」

「はい。ありがとうございます。一刻も早くご主人様のお役に立てるように全力を尽くします」


 そう言ったルヴィの顔は確固とした決意に満ちている。恐らく本人の素直な性格と俺に命を助けられた恩からの言動なんだろうが、偶然命を助けられただけの赤の他人に何故こうまでできるのか理解に苦しむ。もちろん主従関係もあるが、うわべだけ取り繕った感じはない。奴隷身分から解放して独り立ちさせる頃には分かるようになっているかな。



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