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019

 

 ミコちゃんを落ち着かせるために、以前魔力量と適性検査を行った部屋が空いていたので使わさせてもらうことにした。


 ミコちゃんは未だに小さく震えている。


「大丈夫か?」


「あぅ、あ、だい、じょうぶじゃないですぅ……こわかったです」


 一般から見れば荒くれ者が多く集まるギルドの受付嬢がこれでいいのか心配になるが、このままホールに戻ると何を言われるかわからないから付き合うしかないようだ。


「落ち着くまで待ってるから、とりあえず深呼吸でもしよう」

「はい……すぅーーー、はぁーーーー、すぅーーー、はぁーーーー」

「ああいうのは初めて?」

「はい…あんなに怖いのは初めてです。うぅ」


 深呼吸をして落ち着いてきたのか震えは収まってきた。


「ランクアップの手続きはここでもできるの?」

「はい、ここの魔登録機でもできます」

「お願いしていいかな?」

「はい。手を、お願いします」


 右手を入れて待っていると、ミコちゃんがぎこちないながらも用紙に必要な事を記入していき、魔登録機にセットした。ほどなく刻印に干渉し始めるのがわかり、すぐに感じなくなった。


「これで完了です。確認お願いします」


 円の中にCを装飾した刻印が右手の甲に浮かび上がってきた。


「ありがとう。思ったより早くランクアップできてよかったよ」

「早いなんてもんじゃないですよ! こんなの異例中の異例ですよ、シラヌイさん!」

「そうなのか? 俺はよくわからないけど。大分落ち着いたみたいだね」

「あっ、はい。落ち着いてきました。ご迷惑おかけしてすみませんでした」

「気にしないで。俺のせいでもあるし」

「そんなこと……そうですね。そうです! シラヌイさんのせいです! シラヌイさんがサーベルドッグ4頭も倒してこなければよかったんです! もう無茶なことしないでくださいね!」


 先程も思ったが、いくら上層部の目に留まるためとは言え4頭はやりすぎだったかもしれないな。ま、釘刺される程度で顔を覚えてもらえたことだし、ミコちゃんには悪いことをしたが結果オーライだろう。


 今日も依頼を受けるつもりだったが、ランクアップをしたしサーベルドッグで懐も温まっているから休みにして武器でも買いにいくか。さすがにCランクがナイフ1本でいるわけにはいかないだろうしな。といってもナイフの他に持ってはいるんだが、折角だから変わった得物使ってみたいし、武器屋巡り決定だな。


「そういえば、そろそろ戻らなくて大丈夫?」

「っは! そうでした! シラヌイさん御迷惑おかけしました、それでは失礼しますっ!」


 早口で一気に捲くし立てて部屋を出て行ってしまった。今は丁度忙しさがピークを迎えている頃だろうから、ミコちゃんは説教コース確定だろうな。武器屋はナークでも捕まえて聴くか。


 ホールに戻ると案の定、冒険者で混みあっていた。さて、筋肉ヒゲオヤジ、筋肉ヒゲオヤジっと。丁度ホールに入ってきたとこか。タイミングがいい。


「ナーク!」

「ん? なんだ、お前か。なんか用か?」

「ああ、良い武器屋を知ってたら教えてくれないか?」

「がっはっは、さすがにナイフだけじゃきつくなったか? ん?」


 そういや俺がサーベルドッグ4頭仕留めてきたこと知らないんだったか。昨日は見かけなかったしな。


「いやいや、まだこれだけでもいけるが、Cランクがナイフだけ持ってたんじゃ格好もつかないし、ギルドとしても嫌だろうと思ってな。そんなわけで武器を求めてるんだよ」

「確かにCにもなってそれだけじゃ後進に示しがつかな……C? お前、今、Cランクっつったか?」


 その反応を待ってたんだよ。期待していたとはいえ、厳つい野郎が瞠目する様を見ても全く嬉しくない。


「昨日サーベルドッグ4頭狩ってきたんだよ。それでさっき支部長に呼ばれてCランクに上がったんだ。この分だとすぐにBになれるかもな」

「おいおい、冗談だろ!? お前はなんなんだよ一体……まぁいい。武器屋だったな。それならオーヘンのとこがいいぜ。ギルドの裏に2本入ったとこにオーヘン鍛冶店があるから、そこ行け。それとBランクにすぐなれると思うなよっ!」


 よっぽど俺に追いつかれるのが嫌らしく、言い捨てて掲示板に向かって行ってしまった。何としてもすぐに追いついてやろう。



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