表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/66

017

 side ミコ


 ど、どうしましょう。いや、どうしてなんでしょう。いやいや、なんなのでしょうか……この人は。


 今、受付に座る私の前に立っている男の人が、私の困惑の原因なのですが……思い返せば初めて会ったときから戸惑わされてばかりです。


 あれは5日前のこと、ギルドが混み始める夕暮れ前の比較的静かな時間、昼間から飲んでいる数人の冒険者さん達が騒ぎ始めました。いつもは仕事をしているため気にもしないのですが、ちょうど一仕事終えたタイミングだったのでついそちらに気を向けてしまったのです。


 そこには身長が高くて黒い髪の男の人が立っていました。右手に椅子を持って。冒険者さん達もその椅子のことで騒いでいるようです。なんで椅子なんか持ってるんだろうなぁ、なんて呑気に眺めていたら眼が合ってしまいました。どうしようって思った瞬間、目の前にその人がすぐ近くに立っていて、私のことを凄く見つめてる!? 突然のことに声もなく、ただただ固まるしかありません。動けはしないのですが、その人の黒い眼が私の顔よりも上を、耳のあたりをじっと見ていることに気付きました。耳のケアは欠かしていないのですが、珍しくもないし毛色も普通なので恥ずかしいです。しかも、その人がかなりカッコいいことに気付いてしまったんです! は、恥ずかしいのでもうやめてくれないかな。頑張って声出さなきゃ!


「あ、あのっ!な、何か。何か御用でしょうか?」


 声を出すと体も動かせるようになったので、咄嗟に耳を両手で隠してしまいました。


「? あ、ああ。その耳は本物だよね? どうなってるの? もう少し近くで見ていい? 触っていい?」

「え? ええっ?!」


 やっぱり耳を見ていたんですね! じゃなくて、え? こ、これ以上近くで見るんですか? さ、触られちゃうんですか?! 冗談であることを期待しましたが、いたって真剣な表情と眼差しです。は、恥ずかしい。誰か助けてくださいーどうすればいいかわかんないですよぉー!


 私の心の叫びが聞こえたのか、ベテランのナークさんがこっちに来てくれています。ちょっと外見は怖いですけど、すごく面倒見がいい人なので穏便に解決してくれるは、ず。そのはずでした。


 カウンターに隠れて見えませんが、今、ナークさんは床に倒れています。声を掛けたと思ったら目の前の人が動いて床の上です。何が起こったのでしょうか?


 その後、驚いた私は声をあげ、黒い人と会話して、憧れの先輩受付嬢のカティさんに助けてもらって、そしたら急に椅子の人が冷静に謝ってきて。このあたりから先の記憶が曖昧になっています。さすがに名前は覚えましたが、その他は26歳で思ったよりも年上とか、魔力量が黒レベルだったとか、魔術適性が珍しい雷系統と更に珍しい空間系統だったとか、家が消えたとか、驚くことの連続で自分が何を言ったのかわかりません。その日は疲れからか、なかなか眠れませんでした。




 翌日も前日に劣らず疲れました。依頼に出発するのを見送ろうとしたら、眼鏡をかけた金髪ロング美人受付嬢でもう一人の私の憧れエストさんに怒られてしまいました。しかも説明不足も次々に見つかって……ここまでミスしたのは初めてでした。さらには薬草採取に行ったはずなのにサーベルドッグ倒して帰ってくる新人。なかなか寝付けませんでした。




 そして今日です。ここ2、3日は大人しく薬草採取とホーンラビット討伐をしていたのに、なんで、なんで


「なんでサーベルドッグ4頭も倒してるんですかーー!! シラヌイさーーーーん!!!」

「襲われたから」


 そういうことじゃないでんですよぉぉーーーーーー!!!




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ