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あかりの出会い
午後7時を過ぎる頃
白石あかりは学校へと向かっていた。
「あ〜もう!明日提出のプリント忘れるなんて最悪。もうすぐ番組始めるのに…」
そう不満げに呟いていると、目の前にある公園からバスケットボールが弾むあの独特な音が聞こえてきた。
あかりはその独特な音がとても好きだった。それと同時にとても怖れてもいた。だから、一生懸命本当は好きなバスケから離れてかかわらないようにしていた。
それなのに、なぜかこの時はつい公園の中にあるバスケコートに目を向けてしまった。
そこには、一人の少年がいた。その少年はとても楽しそうに自由にのびのびとひたすら練習していた。
その様子についあかりは魅入ってしまっていた。しかし、ハッと我にかえったあかりの脳裏にある男の姿が浮かんだ。
(これはあの男のスポーツだ。かかわったりなんてしちゃいけない。)
そんなことを思いながら、その場から立ち去ろうとしたその時、
「何か僕に用かな?それとも一緒にバスケやる?」
その少年がそう言って近づいてきた。