~死神~
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馬車を覆っていた反魔の膜が消え去り、そこを狙い済ましたかのようにまるで炎の隕石のような雨が馬車へと降り注いだ。
それを見上げながらしっかりと手を繋いだダビデとリリィはまるで恋人同士が流れ星を見て感動しているように目を輝かせていた。
「ダビデ…」
「リリィ…」
二人は見つめ合い繋いだ手をそっと馬車に触れさせ、そして二人の目が更に青く輝いた。
その瞬間馬車を中心に広がる透明な膜は飛来する隕石群を押し返し、更にその膜は広がり隕石群のみならず機動兵器や魔法隊すらも押し返し始めた。
「「アハハハ!」」
そして一方的な虐殺が始まった
*
隕石群が馬車に向かい飛来するのを見送りつつ確実に仕留める為にも機動隊に後詰めの準備をさせてその行方を見届ける。
魔法隊の一部が中和を続け反魔の膜は既に取り払われている。
再び張られるとしても恐らく媒介であり、目標でもあるあの馬車さえ破壊してしまえばどうとでもなる
ボンド・セーチェクは高笑いをするならばそこしかないと密かに心の準備をしながらそのタイミングを見計らっていた。
しかし、全ての期待が裏切られる。
飛来していた隕石群は新たに発生した膜に押し返され、更には機動兵器と魔法隊すらもその膜は押し返し始めていた。
なんなんだ…これは…
目の前には膜に押し返され瓦礫のように積み重なった人の山が出来ており、そこからは痛みと苦しみを訴える呻き声が上がっていた。
「「アははは!」」
膜の内側には押し返された者に巻き込まれなかった一般兵士のみが取り残され死神の鎌は容赦なく彼等の命を刈り取っていった。
「逃げろおぉ!!」
誰かが叫ぶ声が響き渡りこのままでは軍の統制が崩れてしまうと慌てて纏めようと声を張り上げようとして
周りにいた士官が空を見上げて青ざめているのを怪訝に思いボンドも空へと目を向ける、そして
「全軍!退却!!」
咄嗟に叫んでいた。
ボンドさん御退場です。