~悪魔~
続けて投稿!
ガキャキャキャキャ!!
アルクは何度も人型を模した鉄の塊に斬りつけるも金属同士がぶつかる音が響きアルクの攻撃は弾かれ体制が崩れる。
其処に放たれる鉄の拳、アルクはその拳に合わせるように崩れた体制のまま長剣を振るった。
ガキン!ギャリギャリギャリ!!
振るわれた拳とぶつかり鉄の拳はアルクの長剣を滑るように振るわれ強引にアルクを弾き飛ばした。
アルクの体は宙に浮き勢いよく後ろへと飛ばされる。空中で体制を立て直し長剣を地面に突き刺し制動をかけた。
ゴボ!
制動を掛け止まったと同時に胸にこみ上げてきたモノを地面へとぶちまける。
赤いそれはビチャビチャと音をたてアルクに死を予感させた。
「クハハハハ…」
だらだらと口から血を流しながらもアルクは笑った。
笑うしかなかった。既に体はいうことを聞かず、剣を支えにしていなければ倒れてしまいそうだった。
死ぬのか、ここで…
アルクが動かないとみると周りを取り囲んでいた者達もジリジリと近づき始め徐々にその距離が縮まってきている。
「じいじ…」
聞こえる小さな呟き、ふと前を見るといつの間にかアルクの背から降りたアリスがアルクを見詰めていた。
…まだ、死ねない!
アルクはニヤリと笑うと動かないはずの体を動かしアリスに近づいた。
「俺の後ろに付いて来い…」
それだけ言うと走り出した真っ直ぐに、目の前には機動兵器が立ちふさがり先程と同じように鉄の拳が振るわれる。
振るわれた鉄の拳に先程と同じように長剣を叩きつけた。
スパン!
何かを切り離したような音が響き鉄の腕が両断される
アルクはそのまま機動兵器に近づき突きの構えをとって一気に突き出す。
ゴス!、殆ど抵抗も無く機動兵器の装甲を貫き深々とアルクの長剣が突き刺さり反対側から長剣が突き出した。
それを引き抜き開いた穴からは真っ赤な血がドロドロと溢れ出し機動兵器は動きを止めた。
機動兵器と部隊長を失った部隊は恐怖に支配されていた。普通なら死んでいる筈の傷を負いながらも機動兵器を破壊し今だに凶悪な笑みを貼り付けているアルクは残った兵士達にとって悪魔にしか見えなかった。
アルクが走り出し取り囲んでいた兵士に近ずくと兵士は恐怖のあまり声を上げて逃げ出し、それにつられるように周りの兵士も逃げ出し始めた。
アルクはもう目が見えていなかった。ただ進む方向に邪魔な物があるなら斬りつけ、只真っ直ぐに進む。
気ずけば周りには人の気配が無くなりアルクはそこでようやく足を止めた。
もう、大丈夫だろう。
アルクは糸が切れた人形のようにその場に崩れ落ちた、傷口からは殆ど血は出ていない、傷口が塞がった訳ではない、流す血がアルクの体に残っていないのだ。
「じいじ…」
その声をアルクは遠ざかる意識の中で確かに聞いた。
ああ…良かった。
アルクは最後にアリスの声を聞いて安心してその意識を飛ばした。
アルクさんボロボロ…