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~足掻く者~


久々の更新です。



観て頂ける方が居ればいいんですが…


「目標の街から我が隊に単騎で向かったくる者を確認!その数、一!」



隊員が双眼鏡を覗きながら報告をしてくる


街を囲む軍団の一部隊が接近してくるアルクを発見した。




(…一人か…自棄になった住民か?…)


「今は作戦行動中だ!障害になるものは排除しろ!」


報告を受けた部隊長は部隊に指示を飛ばし事態を静観する。


先程の炎の雨と同じ物が街に降り注いだものより量は少ないものの人一人を焼くには十分過ぎる程の雨がアルクに向かって放たれた。





アルクは炎の雨に晒されながら背筋を這う感覚を感じていた。

この感覚を知っている、戦場で何度も感じた。死の臭い。

自分のすぐ後ろに自分の命を喰らおうと今か今かと待ち構えている亡者共がピッタリと張り付いているのを感じ、貼り付けた笑みをますます歪にさせる。



「ククク、ハハハ!」



口から自然に声が漏れ出る。自分にはこれくらいがちょうどいい。



アリスはそんなアルクの背中でただギュッとアルクの服を強く掴むことしか出来なかった。



アルクは迫りくる炎を避け、それでも避けきれずに所々身体を焼かれながらも雨を抜け歪な笑いを上げながら軍団に猛然と斬り掛かった。





アルクが軍団に接敵した頃、街から軍団に向け進む一団があった。


中央に全体に異苦難学模様が施された大きな馬がいない馬車があり、引くものの居ない馬車は、しかし、何かに引かれるように軍団に向け進んでいる。周りには煌びやかな鎧を着た騎士が数人併走しており、騎士とは別に一団の中に明らかに騎士ではない者が2人いた。


勿論彼等にも炎の雨が降り注いでいるがその一団に飛んでくる炎は彼等を避けるように逸れて、彼等に当たる事なく地面に着弾していた。


「何か不思議な眺めだね?こうやって見ると中々綺麗だよ」


馬のない馬車の前


御者席の所に二人の子供が座っていた。


その内の一人、呑気にそんな事を喋る神官服を着た金髪の少女は空を見上げて呟いた。


「ホントだ!でもリリイの方がもっと綺麗だよ!」


少女の呟きに答えたのは、こちらも神官服を着た金髪の少年がリリイと言う隣りに座る少女に笑いかけた。



「神官様、本当にこのまま進まれるのですか?」



周りを併走していた騎士の一人がその顔を不安で滲ませながら二人の神官に尋ねた。

目の前には自分達を狩る為に押し寄せた軍が飛び道具が効かないと見るや、隊列を整え正面から迎え討つべく武器を構え待ち構えている。このまま何もしないのならば、ただ死にに行くようなモノだ。


「何も問題ないよ?僕とリリイが居るんだから!」



ダビデは騎士を見向きもせず、リリイを見つめ、その頬はやや赤みが差して恍惚な表情を浮かべている


「しかし、コレでは例え此処を突破出来ても直ぐに追っ手を向けられてしまいます」



ダビデの答えに満足いかない騎士は尚も食い下がる、騎士自身にこの状況を打開する考えも力もないがそれでも言わずにはいられ無かった。

「…君、何?、僕とリリイの言う事が聞けないの?」


ダビデは初めて騎士に目を向けた、その目は憎悪に染まっており殺意の色が凛々と輝いていた、騎士はその目を見て恐怖で口ごもる。



殺される…



騎士は本能が遅い警鐘を鳴らし始めたのを感じたがその場から一歩も動く事も瞬き一つする事も出来ず恐怖に体が震え始めた


「おやめください!」


御者席の直ぐ後ろにある小さな窓が開き、そこから男の制止の声が掛かる。



「このような所で争っている場合ではありますまい、今は此処を突破することが第一のはず。」



目的を再認識させるべく掛けられた言葉に幾分か殺気が弱まりクルリとダビデは窓に視線を向けた



「それもそうだね…だけど」




「今度僕に意見したら、殺すよ?」


その場の全員がその場から動く事が出来なくなる程の絶対的な威圧感を撒き散らしながらもダビデは可愛いらしく小首を傾げながら笑った。

「…肝に銘じておきます…」



馬車の中の男もなんとかそうこぼすのがやっとだった。



「ダビデ、そろそろぶつかるよ?」


その声にすぐさま振り返り先ほどまでの威圧感を引っ込め嬉しそうに微笑んだ。



「ありがとうリリイ!じゃあ行こうか!」



周りの騎士達を置き去りにして二人は仲良く手を繋いで間近まで迫っていた軍団に向け駆け出した。


二人の繋いでいる反対の手には超大な斧がいつの間にか握られており、軍団に接敵した瞬間。

爆発が起こった。





超大な斧から放たれる一撃は一瞬で人の壁を破壊し、その予破で切り裂かれ、肉塊が宙に舞った。



「アハハハ!楽しいわダビデ!」



「アハハハ!楽しいねリリイ!」



二人の小さな神官は血の噴水の中で楽しそうに踊っていた。


黒い神官服を更に黒く染め、無邪気な笑顔を貼り付けて殺しを楽しむ様は、まさに小さな死に神。




目の前で繰り返される常軌を逸した光景に騎士の一団はただただ恐怖を感じていた。



化け物…




騎士の一人が零した言葉はその場の全員の思いを現したものだった


次回からは最終話間近までストックを貯めてから更新しようかと思ってます。




気ずいた時にでも読んで頂けたら嬉しいです

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