~少女~
僅かに聞こえる声を聞いたのは廃屋を物色している時だった。
お願い、お願い、誰か。
消え入りそうな助けを求める声。
半壊した建物の中から聞こえるその声、探索ついでに死に際でもみてやろうと中へと入る。
中は瓦礫でメチャクチャで屋根を突き破って砲弾が炸裂したのだろう。いつ崩れてもおかしくないくらいにボロボロだった。
その瓦礫の下敷きになっている、弱々しい声をだす女を見つけた。
女はアルクを見ると希望の光を目に灯しお願い、お願い!と助けを求めてきた。
顔を見れば痩せこけてはいるが結構な美人だ。
「お願い!この子だけでも!」
近寄って見てみれば女に庇われる形で小さな少女がいた。
「あんたの子供か?」
アルクは問いかけながら値踏みする。この女の子供なら少し経てばそれなりの女にはなるかもしれない。
「違うわ、でも、私の子供のような愛弟子よ。」
そういう女の顔は優しげだ。
ふむ、弟子か。少し聞けば神聖術などと言う傷などを直せる術が使えるらしい。
使えるな。女の下から少女を引きずり出し担ぐ。
女はありがとう。ありがとう。と泣きながらお礼を言って力尽きた。
*
ようやく生活が落ち着いてきた。
追っ手に追われ。町を転々としながら移動していたが、ある時を境に追っ手が来なくなり少し経って国が隣国に攻め落とされたと情報が流れた。
疲弊した状態で俺などに手を回すからだ。と心でぼやきながら猪の肉を火に掛ける。
「じじい!飯!飯!」
俺の隣りで涎を垂らしながらポカポカ叩いてくる少女の襟首を猫を掴む要領で持ち上げる。
「じじい!飯!」
目をキラキラさせる少女の目は俺と肉とを行ったり来たりしている。
騙されたな。弱っていた少女を介抱していざ話しを聞いてみれば神聖術など知らないといい、師匠や弟子など知らないといい、更には親も知らないと言う。
孤児なのだろう。
目が覚めてからしばらく怯えていたが、追ってに殺され掛かった所を助けてやってからはこの様だ。
何でじじいなんだ?と聞けば、じじいだから!と元気に返された。
そんなに老けて見えるのか?