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観る者の視点

 ダンジョン管理局、監視室。


 複数のモニターが並ぶ部屋で、男は腕を組んでいた。


 試験官。


 その役職は単純だ。


 選別すること。


 生き残れる者と、死ぬ者を。


「……また来てるな」


 一つの画面を見つめる。


 そこに映っているのは——


 神代蓮。


 ソロで潜る新人。


 ランクE。


 ステータスは平凡以下。


「普通なら三日で死ぬ」


 それが、この世界の現実だ。


 だが。


「……死なない」


 むしろ——


 勝っている。


 しかも、異様な勝ち方で。


「賭け、か」


 あの戦闘は見ていた。


 ゴブリンの群れ。


 通常なら、連携で処理する状況。


 だが、あの男は違った。


 単独で。


 しかも——


「一手に全てを乗せる」


 普通の探索者ならやらない。


 いや、できない。


 外せば終わり。


 それを前提に動いている。


「……まともじゃない」


 だが。


「理にはかなっている」


 矛盾した評価だった。


 そして——


 もう一つ。


 モニターを切り替える。


 そこに映るのは。


 記録映像。


 イレギュラーとの接触。


「……観測者オブザーバー


 低く呟く。


 それは、危険度の高い個体だった。


 “読む”タイプ。


 攻撃を予測し。


 最適解を選択する。


 多くの探索者が、これに殺されてきた。


「普通なら——」


「逃げる」


 それが正解だ。


 だが。


「……あいつは違う」


 映像の中の蓮。


 倒されながらも。


 もう一度、踏み込んでいる。


「……2%か」


 成功率。


 通常なら選ばない数値。


 それでも——


 成立させた。


 試験官は、わずかに目を細める。


「確率を、ねじ曲げてるな」


 それがどういう意味か。


 理解している。


 あの力は——


「危険すぎる」


 使い方を間違えれば、確実に死ぬ。


 いや——


「いずれ死ぬ」


 確信に近かった。


 だが。


 視線を戻す。


 現在の映像。


 管理局を出ていく背中。


 迷いはない。


 理解している。


 危険も。


 限界も。


 それでも。


「……踏み込むか」


 小さく呟く。


 試験官は、わずかに笑った。


「面白い」


 久しく感じていなかった感覚。


「どこまで行く」


 興味だった。


 ただの観察ではない。


「……死ぬなよ」


 小さく呟く。


 だがその言葉は、誰にも届かない。


 モニターの中。


 神代蓮は、再びダンジョンへ向かっていた。


 止まらずに。

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