第39話 カルコサのパンテオン
群島の外、カルコサの中心にて。
白く広い部屋の中、一人の青年が緊張と期待に胸を躍らせながら身支度を整えていた。そこへ、涙ぐんだ老人が入ってくる。
「誇らしいぞ、ネプチューン……わしの孫よ」
「祖父さん、そんなに泣かないでくれ」
「無理だ……お前は一族の誇りだ。副ヴァッサルだぞ? しかもアンナ・ラピスラズリの下だ!」
「祖父さん……」
「馬車が来たぞ」
「もう!? 髪は? 服は? まだ心の準備が……」
「完璧だ。大丈夫だ、行ってこい」
ネプチューンは深く息を吸った。
「ありがとう」
外には、青い宝石で飾られた白い馬車が待っていた。中には扇で顔を隠した女性が座っていた。だが、その青い瞳は宝石のように輝いていた。
馬車の中、沈黙が続く。
「ネプチューン?」
「は、はい。アンナ様」
「緊張している?」
「少し……ですが問題ありません」
「それでいい」
(信じられない……アンナ・ラピスラズリが俺の名前を……。そして、なんて美しい……)
馬車が止まる。
「到着しました、パンテオンです」
巨大な建造物が目の前に広がる。
その時、空から炎の翼を持つ男が降り立った。
「君がアンネットの新しい相棒か?」
「え……はい!」
「その呼び方は禁止よ、ヘリオス。私はあなたの上官です」
「退屈なんだ。父上が式に出るなと言うからさ」
(父……煉獄劇場のヴァッサルか)
地面から半身の男が現れる。
「おやおや、ゴリラ姫じゃないか」
殴ろうとした瞬間、声が響く。
「ご機嫌よう」
「……ドクター」
「ヨリンが迷惑をかけたようだ。処理しよう」
ヨリンは地面に引きずり込まれた。
「行きましょう、ネプチューン。式が始まるわ」
パンテオン内部は白く、荘厳で、異様な絵画に満ちていた。
扉が開かれ、円卓の間が現れる。中央には回転する完全な球体。五つの玉座。
声が響く。
「ネプチューン、中央へ進め」
「名を名乗れ」
「我が名はネプチューン。中央劇場の副ヴァッサルとしての任命を受けるため、ここに立っています」
「承認するか」
「承認する」アンナ。
「承認する」ニュートン。
「承認する」イカール。
「承認する」ドクター。
「王よ」
光が溢れ、黄色の衣を纏った王が現れる。
「ネプチューン。我が印を授けよう」
瞳に紋章が刻まれる。
「汝、今より海の支配者なり」
王は消え去った。
ドクターは静かに去り、廊下で呟く。
「アビサエル」
「ドリームデザートの駒が破壊されました」
「砂の商人ではない。排除しろ。邪魔になるものは全てだ」
「了解」
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