第37章 — サイクロンの目
天からの轟音
嵐が叫んでいた。
砂が巨大な柱となって空を切り裂き、目に見えない刃のように吹きつけた。
ラクダは足を踏ん張るのもやっとで、一本一本の歩みが風との戦いだった。
アラタは目を細めた。
— …言っておくが、ここで夢を見ているわけじゃないよな。
この砂漠、明らかに俺たちを殺す気だ。
リィンは前方でしっかりと掴まりながら、渦巻く竜巻を見つめた。
— 分析中…
音源は異常なほど強力です。
通常の武器でも気象現象でもありません。
鋭い音が空を裂いた。
バンッ。
衝撃音は砲撃のように空気を震わせた。
ラクダは激しく蹴り上がる。
— な、何だあれ!?
とアラタが叫ぶ。
— 音源確認済みです。
生物由来の骨格音です。
— …はあ?
竜巻が突然裂けた。
中心に巨大な影が現れる。
巨大な鳥が静かにこちらを見下ろしていた。
その巨大な嘴がゆっくりと開く。
バンッ。
音は空気そのものを震わせた。
アラタは胃がキュッと締まるのを感じた。
— 夢だと言ってくれ。
— 否。
完全に目覚めています。
— サイアクだ。
その生き物が動く。
翼一振りで空を裂き、恐ろしい速度で襲いかかる。
— リィン!!
緊急回避!!
— 計算完了。
逃走確率:0.3%
— そんなパーセンテージ、嫌だ!!
鳥は大きく嘴を開けた。
無限に広がる暗闇が彼らを包む。
— …食べられるのか、俺たち。
— 確認済みです。
巨大な風が彼らを飲み込む。
ラクダは影の中に消えた。
世界が傾いた。
完全な暗闇。
—
衝撃。
そして静寂。
アラタはゆっくりと起き上がった。
— …死んだか?
— 生命体情報:安定。
結論:いいえ。
— 残念。
奇妙な光が周囲に脈打つ。
壁は…生きているかのように収縮していた。
— リィン…
ここは、まさか…
— もしあなたが考えていることが正しいなら…
はい、そうです。
— …正直、何の中にいるって言ってるんだ?
応える前に、声が響いた。
— えっと。
アラタは固まった。
— 新入りか?
振り向くと、壁際に男が座っていた。
あごひげをたくわえ、ゆったりと腰かけ、何かをかじっている。
全く動じない。
— なんだって…
また漂流者か。
男はため息をつきながら立ち上がった。
— まあいい。
ここまで生き残ったのは上出来だ。
— …え、何を?
答える前に、別の影が彼の後ろで動いた。
座っている若者が、ぼんやりと頭を上げる。
その目がアラタと合った。
沈黙。
そして突然—
— 青き船長!!
跳び上がり、姿勢を正すハスタル。
— 直ちに報告を!
制御不能の漂流!
状況は危険だが、管理下にあります!
アラタの心臓が止まる。
— …ハスタル。
リィンがすぐに分析した。
— 身元確認完了。
しかし…
認知機能に異常あり。
— 船長!
熱心に続けるハスタル。
僕たちは今どこにいるのですか?
あごひげの男は笑った。
— いやー、面白いな!
名前は忘れたが、演劇センスは残ってる!
— な、何!?
アラタが叫ぶ。
ここ、一体どこだ!?
男は肩をすくめる。
— 内側だ。
— …またか。
— ええ。
しばらくここでの生活を楽しめ。
低いうなり声が響いた。
壁が振動する。
— おや、彼女は眠るか。
— 彼女!?
アラタとリィンが同時に驚く。
ハスタルは真剣な顔でうなずいた。
— 船長。
僕、ここ好きです。
— そりゃそうだろ、とアラタ、絶望的に答える。
あごひげの男は腕を組む。
— しっかりしろ、子供たち。
ここから脱出するのは…
一大冒険になるぞ。
――作者コメント――
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