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第34話 ― 宇宙的共鳴(コズミック・レゾナンス)


※ハストゥールとの対峙より少し前――





バンは、ベンケイの強烈な一撃によって再び意識を取り戻した。




上半身を起こし、頭を押さえながら不満げに叫ぶ。




「これで二回目ですよ、ベンケイ!


ちょっとは加減してくださいよ!」




ベンケイは静かに彼を見下ろした。




「橋を渡る覚悟があると言ったのは、お前だろう。


今のお前は、ただ地面に転がっているだけだ。」




バンは拳を握りしめた。




「……その通りです。


なら、戦います。」




次の瞬間、彼は一直線に巨人へと駆け出した。




(さっきより三倍は速いな……)


ベンケイはそう思いながらも、表情を変えず構えた。




刀が正面から振り抜かれる。


その速度は、バンの動きすら上回っていた。




刃は彼の顔をかすめ――本来なら、そこで終わっていたはずだった。




だがバンは、まるで第六感に導かれるように、紙一重で回避する。




彼のオーラが、再び紫色に染まり始めた。




跳躍。


拳を握り、ベンケイの顔面を狙う。




しかしベンケイは、一瞬で動きを反転させた。




バンは脚に紫のエネルギーを凝縮し、二段跳びで完全に頭上を越える。




(そうですよ、ベンケイ……


俺の狙いは“上”から逃げることです)




――だが、その進路を巨大な腕が塞いだ。




(ありえない……まさか、ここまで……)




次の瞬間、巨人の手がバンの顔を掴み、凄まじい力で投げ飛ばす。




衝撃で木々の葉が舞い散った。




それでも――バンは倒れなかった。




「なら……効いて――」




言葉は途中で途切れた。




紫のオーラが暴走し、彼の全身を飲み込む。


骨が軋む音が響く。




「うああああああ!!」




ベンケイは眉をひそめた。




「……何だ?


俺の攻撃が原因ではないはずだ。


まさか――」





---




現在 ― ハストゥール側




「……第二ラウンドだ。」




ハストゥールは、地面へと落下し続けていた。




下では、ゴリラたちが獲物の帰還を待ち構え、不気味な笑みを浮かべている。


中央に立つ長は、両腕を天へ掲げ、贈り物を迎えるかのようだった。




落下の最中、ハストゥールは一枚の葉に目を留めた。




危機的状況にもかかわらず、彼はそれを見つめ続ける。


風に乗り、ゆっくりと舞い落ちる葉。




地面に触れた瞬間、彼の黄玉色のアニマが強く輝いた。




地面は、もうすぐそこだ。


ゴリラたちは攻撃態勢に入る。




――そして。




ハストゥールは身を委ねた。




葉のように。




衝撃は、なかった。




ゴリラたちは後ずさる。




(……ここまで“模倣”できるのか?)




長が笑みを浮かべ、胸を激しく叩き始める。


仲間たちも同調した。




やがて、長が天に向かって両腕を上げる。




次の瞬間、すべてのゴリラが彼へと飛びかかり、融合していく。




肉塊は膨張し、粘土のように形を変え――




四足歩行の巨大な怪物が姿を現した。


無数の尾を持つ存在。




ハストゥールは動じなかった。




「我はゴオキ。


この地を統べる絶対者。


人間の雄が、ここに留まることは許されぬ!」




「……だから女だけが通れる森だったのか。」




「我らは美しき存在を害さぬ。


だが、お前は違う。」




ゴオキの拳が振り下ろされる。




ハストゥールは――別のものを見ていた。




一枚の葉。




風に運ばれる、その動き。




拳が迫る――


だが衝突寸前、風圧が彼を葉と同じ軌道へと運んだ。




ゴオキが驚愕する。




次の拳、さらに次。




だが振り下ろされる前に、ハストゥールは腕を伸ばした。




(ベンケイの、無慈悲な刃のように……)




斬る。




速度は、あの巨人と同等。




ゴオキは直撃を受けた。




「俺の腕は……容赦しない。」





---




バン側




莫大で破壊的なエネルギーが、ラスタバンを包み込む。




悲鳴が響く。




「……これが、彼の力か。


使えば使うほど、己を蝕む……」




反逆リベリオン……!」




紫のエネルギーが形を成す。




六つの龍の首が、彼の背から現れた。




ベンケイは即座に危険を察知する。




「……八岐大蛇ヤマタノオロチか。」




斬る。


二つ目。


三つ目。




連続する猛攻。




バンは、そのすべてを認識できていなかった。




血が、ベンケイの腕を伝う。




彼は微笑んだ。




「……俺は、どれほどの時をこの橋で過ごしたのだったか。」





---




回想




夜。


冷たい風。


軋む橋。




「どけ、僧。命が惜しくないのか。」




「この橋は、俺のものではない。」




地を打つ。




「だが――俺が立つ限り、誰も通さぬ。」




戦い。


血。


沈黙。




ベンケイは、立っていた。




――作者コメント――


ここまで読んでいただきありがとうございます。

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---




現在




「……橋は、最後まで守る。」





---




再びハストゥール




ゴオキの猛攻。




連打。




ハストゥールは地に伏す。




「まだ終わりだ。」




蹴り上げられる。




その瞬間――空に何かが走った。




見えない。


だが、音が砕ける。




宇宙的存在。




「……コピーする。」




絶対速度。




ゴオキは貫かれ、崩れ落ちた。




ハストゥールの身体は粉砕される。




最後に叫ぶ。




「ラスタバン!!」





---




ラスタバン




龍は止まった。




エネルギーは収束する。




「……兄さんを助けなきゃ。」




「目的は目前だぞ。」




「俺は勝つために戦わない。


守るために戦う。」




ベンケイは涙を流し、笑った。




「……立派だ。」




「十二年後、ペレリアで――」




ラスタバンは走り出す。




そして――


壊れたハストゥールを背負い、誓う。




「……死なせない。絶対に。」

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