第27章 — 罪を背負っていると信じた男
エファ:
―― な、なにぃぃぃぃ!?
彼女の絶叫は市場全体にこだまし、ざわめきが一瞬止んだ。
リンがすぐに冷静な声で返す。
リン:
―― もぉおおおっと静かにぃ……目立つと、とても面倒なことになりますよ。
エファは声を落としつつ、眉をひそめた。
エファ:
―― つまり…あの夢の砂がなければ、誰も眠れないってこと?
リンは機械的ながらはっきりとした口調で言った。
―― その通りです。例外はありません。
深く、深くため息をついた後、エファは自分の両頬をぺちんと叩いた。
エファ:
―― よし……気を取り直して、捜索再開よ。
二人は歩き続け、行く先々の商人に片っ端から質問した。
そして、辿り着いたのは――
豪華絢爛で、目が眩むほど大きなレストランだった。
黄金のシャンデリアが天井に輝き、壁には美しい細工が施されている。
リン:
―― 今までの証言はすべて、こぉおおの店に繋がっています……
疲労でふらつきながらも、エファは重たい扉を押し開けた。
中に入った瞬間、彼女は言葉を失った。
眩い装飾、純白のテーブルクロス、そして――
“ウエイトレス姿の男たち”。
全員がメイド服を身にまとい、優雅に料理を運んでいた。
異様なのに美しく、笑うべきか驚くべきか分からない空気。
客席には裕福そうな女性たちが並び、優雅に食事を楽しんでいた。
そのとき──耳元で声が聞こえた。
???:
―― お待たせいたしました、お嬢様。
???:
―― あらぁ……なんて素敵な男性なの!
エファは反射的に横を向いた。
そして叫んだ。
エファ:
―― ハ、ハーヴィー!?
ハーヴィーは完全に動揺し、手にしていたトレイを落とした。
ハーヴィー:
―― 見ないでぇぇぇぇぇ!!
彼は半泣きでキッチンへ逃げ込もうとしたが、エファは素早く追いついて腕をつかんだ。
エファ:
―― どうして逃げるの!?
客たちがざわつき始めたのを見て、ハーヴィーはエファの手をぐっと握った。
ハーヴィー:
―― 店長! ちょっと休憩行ってきます!
返事を待つ余裕もなく、彼はエファを連れて外へ走り出し、薄暗い路地に入った。
エファはニヤッと笑って言った。
エファ:
―― 似合ってたよ。驚くほど、ね。
ハーヴィーは軽くデコピンをした。
ハーヴィー:
―― うるさい!
だが、その直後、深刻な表情で続けた。
ハーヴィー:
―― まさか……俺たち以外の生存者がいるとは思わなかった。
エファ:
―― ……俺たち?
ハーヴィー:
―― ああ。“俺”と“アラタ”。
身体は無事……だったんだ。
エファの心臓が、強く締め付けられるように痛んだ。
ハーヴィーはさらに続ける。
―― 説明するよ。爆発のあと、真っ暗で、何も見えなかった。
気づいたら、このレストランのど真ん中にいたんだ。
天井は崩れ、俺が乗ってた車両がここに落ちたらしい。
“あの店長が怒鳴ったんだ。
『お前、俺の店をどうしてくれるんだぁッ!!』ってよ。”
彼は空を見上げ、肩を落とす。
―― そして今……俺はその“修理費”を返すために働かされてる。
エファ:
―― じゃあ、サクライは? 彼はどうなったの!?
その瞬間、ハーヴィーの表情が暗く沈んだ。
影が落ちたように、目の奥が曇る。
彼は無言でエファの手を取り、歩き出した。
リンも静かにあとをついていく。
しばらくして、エファは震える声で言った。
エファ:
―― 答えてよ……お願い……
そして彼らは、周囲から離れた小さなテントの前に立った。
中からは弱い光が漏れていた。
ハーヴィーは深く息を吸い込んだ。
―― サクライは……あの瞬間、俺のすぐそばにいた。
二人とも無傷だった。
本当に奇跡のようにな。
だが──
―― 心が……もう元には戻らないかもしれない。
エファ:
―― サ、サクライ!!
突然、彼女は涙を浮かべて名前を叫んだ。
テントの中。
そこには、膝を抱えて震える男がいた。
かつて鮮やかだった赤髪は、影のように暗く沈み、
眼鏡は割れ、
瞳の光は消え失せていた。
そして彼は、壊れた声でひたすら繰り返していた。
―― 僕だ……僕が殺した……
僕のせいだ……全部……僕が……
エファは口元を押さえ、言葉を失った。
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その頃、ドリーム・デザートのどこか遠くで。
ひとりの男が“夢を見る”。
それは夢か、あるいは忘れ去られた記憶か。
???:
―― もう何年経つ? 十二年だったか……?




