第19話:氷霜の歌と反乱(再開)
第十九章
足元でトンネルが振動していた。湿った壁の上で青い光の破片が踊る。人影が現れるよりも前に、すでに霜が這い回り、鋭い風切り音を立てながら岩を切り裂いていた。
結露の霧の中からハーヴェイが姿を現した。彼が動くたびに、凍りついた外套がきしむ音を立て、こめかみの割れた仮面からは充血した片目が覗いていた。呼吸はしておらず、追い詰められた獣のように荒い息を吐き散らしている。ヴァッサル(臣下)がその刻印を発動させており、ハーヴェイは限界寸前で暴走する、ただの兵器と化していた。
「行け!」ラスタバンは荒太を通路の奥へと激しく突き飛ばしながら叫んだ。「ハスターとエファを見つけろ!ここは俺が食い止める!」
少年は青ざめた顔で一瞬躊躇したが、やがて暗闇の中へと逃げ去った。ハーヴェイはそちらへ頭を向けようともしなかった。その不安定な眼差しは、完全にラスタバンだけに釘付けになっていた。
突如として、重く息の詰まるような寒気が舞い降りた。空気中の水粒子が結晶化し、目を刺す。言葉もなく、ハーヴェイは彼に襲いかかった。半透明で巨大な、荒々しい氷の刃が、彼の掌から直接伸びていく。
鋼鉄と氷結が激突し、歯の根が震えるほどの鋭い衝撃音が響いた。
ラスタバンは後ろへと弾き飛ばされたが、氷でガラスのように滑らかになった床を滑る代わりに、そこに両足をしっかりと踏ん張った。鞭の音のように鋭い、真紅の波動が彼の靴底の下で弾けた。ブーツの下の氷層は瞬時に砕け散り、その摩擦を拒絶することで、ラスタバンに確かな足がかりを与えた。彼は完全に滑りを止めた。
ハーヴェイは怒涛の連続突きを繰り出した。二人の腕が鈍い音を立ててぶつかり合う。それは重苦しい白兵戦だった。攻撃を防ぐたびに、彼の首の側面に刻まれた「黄の印(Signe Jaune)」が、病的な黄金の輝きを放ち、狂った心臓のように脈打った。刻印は彼の皮膚を焼き、筋肉に限界を超えた運動を強いる。シンボルによって課された機械的な負荷に、彼の関節が悲鳴を上げていたが、完全に隷属させられた彼は、ただ純粋な怪力でラスタバンの防御を打ち砕こうと殴りかかり続けた。
「王が秩序を求めている!静寂を!」ハーヴェイは叫び、言葉を発するたびに口元から泡立つような霜の破片が飛び散った。
ラスタバンは何も答えなかった。太ももに真紅の緊張を集中させ、足元の空気を歪ませると、一気に脚を蹴り出した。解放された圧力が彼を凄まじい勢いで後方へと跳ね飛ばし、霜の致命的な軌道をかわした。
ハーヴェイは容赦なく突撃し、床に氷を広げて凍らせていく。着地と同時に、ラスタバンはかかとで地面を叩いた。彼の「反逆(Rébellion)」の波動が正確な幾何学的ラインとなって伝播し、せり上がる霜の波を引き裂き、創り手へと逆流させた。
開かれた光路を利用して、ラスタバンは体をほぼ水平に保ちながら、横方向への長いスライディングで飛び出した。振り下ろされる幾度目かの刃をかわし、ハーヴェイの懐に潜り込むと、一気に体を起こして真っ直ぐな拳を叩き込んだ。彼の指の関節には、真紅のエネルギーが重く凝縮され、強固にまとわっていた。
ハーヴェイの氷の剣に衝突した瞬間、「反逆」はただ打撃を与えるだけでなく、内部へと浸透した。電気を帯びた茨のような真紅のフィラメントが、氷の内部を凄まじい速度で駆け巡る。霜の構造は瞬時に変質した。刃は自らねじれ、結晶が反転してハーヴェイの前腕を獰猛に噛み裂いた。少年は痛みに悲鳴を上げ、肉を切り裂く氷の破片をむしり取りながら、よろめいて後退した。
彼は片手で胸を押さえ、壁に激しくぶつかった。彼の周囲で空気が揺らめく。歪んだ霜の破片に光が屈折して生まれた錯視が、岩肌に苦悶する人影を躍らせた。犠牲者たちの顔……そして、一人の少女の顔。彼の妹だ。
ハーヴェイは動きを止め、自分の映し鏡を前に目を見開いた。両手が震えている。彼の首筋で「黄の印」がさらに激しく脈打ち、芽生えかけた悔恨の念をかき消すように肉を焼いた。
「彼女を見るな……」ハーヴェイは呟いた。その声は恐怖の狂気へと陥っていく。「王が……王が痛みを消し去ってくれた。俺は王のものだ!」
これがラスタバンの唯一の好機だった。たった一度の。
肩を麻痺させる激痛を無視し、ラスタバンは残されたすべてのエネルギーを振り絞った。重く、絶望的な真紅の煙が彼の両脚を包み込む。背後の空気圧を反転させ、足場を強く蹴り上げた。その爆発が、彼を砲弾のように前方へと突き動かした。
同時に、ハーヴェイは「黄の印」の焦燥に突き動かされ、純粋な氷の刃を相手の胸へと真っ直ぐ振り下ろした。
ラスタバンはかわそうともしなかった。攻撃の真っ只中へと飛び込んだ。彼は動く左手を使って、直前で剣の軌道を逸らした。氷は彼の掌を深く切り裂き、布地と皮膚を引き裂きながら肋骨に沿って滑ったが、直撃は免れた。至近距離の利を活かし、ラスタバンはその勢いのまま全体重をハーヴェイに浴びせた。彼の左手が少年の喉を容赦なく掴み、指が「黄の印」へと直接突き刺さる。
ラスタバンに残されたすべての「反逆」が、黒と真紅の稲妻の弧となって凝縮され、刻印の内部へと直接流れ込んだ。
「立ち上がれ!」
それは肉体的な惨劇だった。接触点から鈍い衝撃波が炸裂し、地下の古い劇場の黄金色に朽ちた建造物を揺らし、世界の終わりのような大音響とともに周囲が崩落し始めた。ラスタバンの指の下で、ハーヴェイ自身の生命力が、シンボルの支配に対して激しく反旗を翻した。肉体が反乱を起こす。黄色の輝きは、パチパチと音を立てる真紅の血管によって文字通り食い尽くされた。
この内部戦争の反動は凄まじく、ハーヴェイの仮面は粉々に吹き飛んだ。二人の闘士は互いに逆方向へと吹き飛ばされ、瓦礫と埃の中に激しく転がった。
---
絶対的な静寂が戻ってきた。氷の嵐は煙のように消え去っていた。残されたのは、消えゆく微光に照らされた古い劇場の廃墟だけだった。
ラスタバンは仰向けに倒れ、身動き一つできなかった。右肩は脱臼し、左脇腹は氷によって深く切り裂かれ、息を吸うたびにうめき声が漏れた。真紅のエネルギーは彼の皮膚から完全に消え去り、失血と疲弊で失神寸前だった。彼は霞む目でゆっくりと頭を巡らせ、ハーヴェイの姿を探した。もう戦う力は残されていない。もしハーヴェイが立ち上がって襲いかかれば、ラスタバンに命はなかった。
数メートル先で、ハーヴェイは埃に手を突いて跪いていた。反動で筋肉が硬直落し、全身を激しく震わせている。彼の首の「黄の印」は、すでに生命を失い、引き裂かれた黒い傷跡にすぎなかった。完全に人間らしさを取り戻したその瞳は、血に染まった己の両手を見つめていた。痛みと正気を取り戻した涙が、氷に焼かれた彼の頬を伝い、筋を作っていた。
「アンナ、すまない……お前を置いていってしまった」ハーヴェイは呟いた。その掠れた声からは、黄衣の王の傲慢さは微塵も消え失せていた。それは、ようやく自らの行いの恐ろしさを悟った兄の声だった。「この虚無感を感じないために、俺は奴らの鎖を受け入れてしまったんだ……」
ラスタバンはかすれたため息を漏らし、わずかに血を吐き出した。悪態をつくほどの超人的な努力の末、彼は歯を食いしばって体を起こし、崩れた石の塊に背中を預けた。無事な左手は、血にまみれた脇腹を押さえようとして震えていた。彼は疲れ果てた、虚ろに近い眼差しを、その打ち砕かれた男に向けた。
「お前にはもう主はいない、ハーヴェイ」ラスタバンは疲労でかすれた、感情のない声で言った。脅すような、あるいは英雄ぶるような力さえ残っていなかった。「その道に戻るのも、新しい道を選ぶのも、お前の自由だ」
ハーヴェイ:「俺は……分からない。もう、何も分からない」
突如として、ハーヴェイの耳に女性の声の残響が届いた。
???」ハーヴェイ……」
冷徹だった闘士の目から、堰を切ったように涙があふれ出た。
ハーヴェイ:「母さん……!? 俺の気のせいなのか!?」
ラスタバンはかろうじて足を一歩ずつ前に踏み出しながら、背を向けて歩き出した。
ハーヴェイは言葉もなく彼を見つめていた。
声が再び響き、ハーヴェイにしか見えていないような幻影の人影が現れ、彼を抱きしめて言った。「お行き、我が子よ」
ハーヴェイは沈黙したままだった。
???」遅すぎることはないわ。それどころか、新しい人生の始まりよ。解き放ちなさい……その憎しみから自分を解放するの。本当のあなたになりなさい。小さな妹を一人にしないで」
その言葉がハーヴェイの頭の中で響き渡った。
ラスタバンは満身創痍のまま歩みを続けた。
一瞬の静寂が支配した、その時……
ハーヴェイ:「待て!」




