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26話 砕けた悪役たち[조각난 악역들]

26話 砕けた悪役たち


960年3月16日


カルセル南部、サミルとマルキオンは対峙したままの状態で、

互いに相手を分析するように睨み合っていた。

サミルはマルキオンの挑発に苛立ちを覚えたが、一方でその状況を享受していた。

サミルの部下兵士たちはサミルの様子をうかがっていたが、

マルキオンに対しては威勢の良い態度を取っていた。


「始めるか?」

「私は準備は完了した」


「急ぐ理由があるのかな~」

「理由を聞いてもいいか?」

「無駄なことをしている理由は何だ?正義か?」


サミールは、自分の相手として威勢よく現れたマルキオンに強い好奇心を抱き、

優位にあると確信し、余裕を持って尋ねた。

マルキオンは彼女の質問にゆっくりと近づきながら答えた。


「理由があるのか?お前たちにはないだろ」

「必要なら役割を決めてやろう」

「お前たちが正義を決めろ。俺が悪役になる」


「ハハハ…あ…」

「本当に惜しいな。ここで死ぬべき奴じゃないのに」


サミールは笑いの後に真剣な表情を浮かべた。

彼女は後ろの兵士たちの方へ首を回し、

攻撃するように首を振った。

彼女の合図に兵士たちは一斉にマルキオン towards 向かって突進した。


「殺せ!!!」

「行け!攻撃しろ!!!」

「ダガダガダガダガ」


馬の蹄が地面に当たり、振動が響き渡り、マルキオンに向かって突進した。

兵士たちは腰に差していた剣の鞘から剣を抜いた。

マルキオンは動かないでただ見ているだけだった。

サミールは動かないマルキオンを見て、不気味な気配を感じた。


「うっ!?」

「えっ!!?」

「待て!どこへ!?」


マルキオンに向かって突進していた兵士たちは、乗っている馬が望む方向へ、

動かないため混乱に陥り、次々とマルキオンを通り過ぎていった。

マルキオンに向かって突進していた兵士たちは、まるで紅海が割れるように裂けて広がっていった。


「ちっ…」

「頼るべきものがあったのか…」

「お前もイブが壊れたのか?」


「これをイブが壊れたと言うのか」

「やはりお前たちは何か知っているようだ」


周囲の馬たちは次第に制御不能になり、暴れ始めた。

兵士たちは次々と馬から落ち始めた。

地面を転がる兵士たちの上を馬たちが跳ね回り、彼らを踏みつけて通り過ぎていった。


「クアアアアック!」

「ウウウッ!」


「珍しいけど、時々出るんだ」


サミールは自分が乗っていた馬から降りながら言った。

周囲の兵士たちが馬に踏みつけられ、苦痛に叫ぶ声は耳に入らなかった。

彼女はマルキオンだけを見つめ、

右手を隣の馬に近づけると、轟音と共に血が四方に飛び散った。


「ポン!!!」

「パーッ…」


一瞬で馬の頭が吹き飛んでしまった。

マルキオンは初めて表情を歪めた。

兵士たちは地面に倒れ、骨折した部分を握りしめながらその光景に衝撃を受けた。


「でも何も変わらない」

「お前はここで死ぬんだ」


サミールは手に付いた血を払いながらマルキオンに近づいてきており、

周囲のすべての馬はサミールに向かって今すぐ突進しようとして後脚で地面を掻いていた。

地面にはサミールの部下たちが全員倒れて転がっていた。


「あ~違う、違う」

「お互いに3問3答はどう?」

「面白そうだけど、私はまだ君が気になる」


「拒否権1つ」

「お前が先だ」


人を自分の下に置き、卑屈な姿を楽しむことを好んでいた、

サミールはマルキオンを殺すよりも、彼の卑屈な姿を見たいがために逆提案をした。

マルキオンは情報を得る良い機会だと判断し、即座に応じた。


「君のそのイブとは何だ?」

「操っているのか?対象は言葉だけか」


彼女の質問は多く、マルキオンはそのうちの一つしか答えることができなかったが、そうしなかった。

サミールが戦いよりも提案をしたことから、何らかの意図があると判断し、

自分の答えに応じて彼女も同様に答えるだろうと予想した。


「会話はできるが、操ることはできない」

「対象は動物すべて」


「ああ、全部答えてくれたね」

「会話…」

「今まであの言葉で説得して回っていたのか!」


サミルはマルキオンの行動を当てたような気分になり、

次第に興味を惹かれていった。


「君のその爆発は?」


「私も答えないと、私の手に触れたら爆発する」

「5秒以内に私が調整できる」


マルキオンはサミルの答えに彼女の両手を見た。右の手は依然として血で染まっていた。


「私の味方になるつもりはないのか?」

「味方になれば、私がお前を助けることもできるのに。」


「ない。」


サミールは誘惑を込めた質問を投げかけ、マルキオンを試すようだった。

全力を尽くしたマルキオンが簡潔に答えると、

心は乱れながらも、簡単に屈服しない姿がより気に入ったようだった。


「お前が言っているそのイブ。」

「説明してみろ。」


「新大陸に関係はあるようだが、私も詳しくは知らない。」

「上の連中の反応を見れば答えが出るだろう。」

「知っていることは…」

「元々人間は皆持っているが、それが全て封印されている。」

「今、封印が解けて変質したり発現したりするんだ?」


サミールの説明にマルキオンは一瞬、一つの記憶がよぎったが、ある程度は理解した。

マルキオンの予想よりサミールも知っていることが多くなく、曖昧にしか理解していないようだった。

マルキオンは彼女の口調から、自分の経験と周囲で見たことを話しているのだと判断した。


「じゃあ、最初にした質問の理由は本当にないのか?」


「それは断る。」


サミールはマルキオンの拒否に残念そうなため息をつき、

すぐに力ずくで彼を無力化することに決めた。


「じゃあ、俺も最後は拒否だ。」


サミールは言葉を終えるとマルキオンに向かって突進し、

マルキオンも待っていたかのように素早く動き始めた。馬たちも一斉にサミールに向かって突進した。


「うわっ!! 待って… 」


「パン!!」


サミールは地面に倒れていた兵士をマルキオンに投げつけ、

正確に3秒後に空中で兵士が爆発した。

マルキオンの前で血と骨が破片のように飛び散ると、

腕で顔を覆ったが、マルキオンの視界は狭まった。


「くっ..」

「随分残酷だな。」


「褒め言葉として受け取るよ!」


「くっ。!!」


マルキオンは後ずさりながら視界を確保しようとしたが、サミールはその隙を逃さず手を伸ばした。

マルキオンとわずか一握りの距離まで近づいた瞬間、彼女の隣から一頭の馬が彼女を襲った。


「ちっ..」


サミールは馬に空中で一瞬浮き上がり、

地面を少し転がった後、姿勢を再び整えることができた。

彼女は立ち上がろうとした瞬間、鋭い痛みが走った。


「肋骨が折れた…」

「思ったより強く殴られたみたいだ」


「一人じゃないって言っただろ」

「上だ」


マルキオンが上を指差すと、サミールは頭を上げて空を見上げた。

空には三羽の鷲が飛んでいた。

サミールは自分が一瞬気を抜いたことに気づき、再び頭を下げた。

周囲の馬たちは自分を囲みながら駆け寄ってきていた。視界には馬たちしか見えず、マルキオンの姿はなかった。


「ポン!!」

「ポン!! ポン!」


サミールは素早く後ろのポケットから短刀を取り出し、正名に向かって投げた。

短刀は空中で破裂し、破片が四方八方に飛び散り、

馬たちはその破片に当たってよろめき、隊列が少しずつ崩れていった。


「人を連れてきても足りないだろう。”

「動物で済むか?」


サミールは突進してくる馬を避けながら、馬の間に隠れたマルキオンを探し、倒れている部下のほうへ逃げ出すように走った。


「後ろに隠れていたら全員死ぬぞ~


サミールは位置を移動することに成功し、骨折で倒れている兵士の体を一つずつ触り始めた。


「待って!」

「ダメだ!!!」

「やめて!お願い…」


「ドーン!! ドーン!! ドーン!! ドーン!!」

「ドーン!! ドーン!」

「ドーン!!」

「ドーン!! ドーン!」


部下の兵士たちの絶叫と悲痛な反応にも、正確に5秒後には全員の体が破裂し、

サミールは彼らを生きている地雷のように利用した。

馬たちは爆発に巻き込まれ、次第に数が明らかに減り、周囲の平原は血で染まっていた。

サミールは馬の数が減ったにもかかわらず、マルキオンが見当たらず、慌てて頭を動かして周囲を見回した。


「いつ出てくるつもりだ!?」


「プヨオオオ!」


サミールは頭上から聞こえる鷲の鳴き声に体が先に反応し、

手を頭上に伸ばした。


「ポン!」


「パササササ…」

「クッ…何だ!」


サミールが頭上に伸ばした手は、鷲ではなく砂袋に当たり、破裂した。

鷲は自分の体を投げたわけではなく、

鳴き声で周囲を引き付けた後、馬車にあった砂袋を爪で掴んで投げた。

砂が彼女の頭上で破裂し、視界が遮られた。

元々彼女に付着していた血が砂と混ざり合い、顔に直撃した。


「チャクチャクチャク!」


その瞬間を逃さなかったマルキオンがサミルに駆け寄り、

サミルは目が見えなかったが、音のする方向へ体を回転させた。


「プシュッ!!!」


マルキオンの短刀がサミルを腹を貫いた。

彼女は目の中に異物を感じながら目を凝らし、マルキオンの姿を見た。

マルキオンは全身が血に覆われた状態だった。

その時、彼女はマルキオンが兵士たちの死体の間に横たわっていた賭けをしたことを知った。


「グッ!… ヘッ… ヘッ…」

「パッ!!」


サミルは手を伸ばし、マルキオンの体に触ろうとした。

マルキオンは鈍くなった彼女の動きにも抵抗を感じ、

足で蹴りながら貫通した剣を引き抜いた。


「誰が…?」

「誰がこんな残酷なことを…お前が言うことじゃないだろ…?」


「言っただろ」

「俺が悪役だって」


サミールは倒れ込み、自分の腹を手に押さえて止血しながら尋ねた。

マルキオンは顔に付いた血を拭きながら答えた。

マルキオンの言葉に、サミールは苦笑いした。


「一度…負けたくないんだ…」

「ちっ…」


マルキオンは彼女を背に歩き始め、

サミールは平原に倒れ、息を切らしながら、そんなマルキオンの背中だけを見つめていた。

マルキオンは一瞬、哀悼の意を示すような動作をした。

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