19話 空の下の豚たち [19화 하늘 아래 돼지들]
19話 空の下の豚たち
960年3月12日
エリアンは数日間の悩み 끝에アストルレルから故郷のノエマに戻ることを決めた。
そして現在、ノエマに到着したエリアンは、両親のいる家よりも先にレンの元を訪れた。
「何から説明すればいいか……」
マゼランの日記を読んだエリアンは、まだ複雑な頭の中を整理できず、逃げ出すように戻ってきたのだ。
単純に疑問を解き、真実を知りたいと思った少年は、再び現実の壁に直面していた。
「トントン」
エリアンはレンの家の前で、慎重にドアをノックした。
理由もわからない緊張状態で、ドアが開くのを待っていた。
短い旅で得た収穫が、まだ幼いエリアンには恐ろしく感じられた。
待っていた時間が経たないうちに、ドアがガタガタと音を立てて少しずつ開いた。
「エリアン??」
「無事でいたのか!?」
「レン… あ、あ、来たよ…」
ドアが完全に開くと、レンはエリアンを見て明るい表情を浮かべた。
そんなレンの姿に、エリアンは少しの安堵感がよぎった。
レンは不安そうなエリアンの表情を見て、一瞬ためらった。
「何があったの?」
「あなたの両親がすごく心配していたよ。」
「出発する前には、私がずっと連絡していたのに…」
「ちょっと用事があって…」
「あ…ご両親…」
レンは玄関の前で身を引いてそう言った。
エリアンは、どこか寂しそうな表情でゆっくりと家の中に入った。
エリアンが家出してレンの家にいる間、レンはエリアンの両親に代わりに連絡をしていましたが、彼女が去った後は、さまざまな言い訳でごまかすしかありませんでした。
「一体何なの?何があったの?」
「見つけた、私が…」
階段を上がり、レンは自分の部屋に到着するとすぐに尋ねた。
エリアンは背中に背負っていたリュックを前に抱きしめながら言った。
レンはリュックに視線を向け、
意味深なエリアンの言葉に表情を固め、エリアンの次の言葉を待った。
「マゼランさんの日記…見つけたんだ…」
「これがその…日記か…」
「え…?」
エリアンはリュックを開けて本を一冊取り出し、レンの視線は本に固定された。
エリアンは手に持った本をレンの方へ差し出し、
手は少しずつ震えていた。
「読んでみろ…」
「お前が目で…」
「おい、これが今どれだけ危険なのか分かってるのか??」
「今さらに悪化してるんだ…」
「私たちの親も昨夜、松明を持って外に出たんだ…」
レンは本から視線を外すことができず、彼もまた目の前の真実と向き合いたいと思った。
ゆっくりとエリアンの手から本を受け取った。
レンはマゼランの日誌を開き、ゆっくりと読み始めた。エリアンは黙ってその様子を見守っていた。
やがて日誌を全て読み終えたのか、レンは本を閉じ、エリアンを見つめて口を開いた。
「エリアン… これを燃やそう…」
「これで十分じゃないか。新大陸は存在し、別の文明があるはずだ」
「これで真実が分かったじゃないか…」
「何?
「それはダメだ!」
レンは、航海日誌に残された疑問よりも、現実の危険の方がより大きく迫ってきた。
エリアンも、自分自身がどのような決断を下すこともできず戻ってきたため、彼の言葉を理解できた。
しかし、マゼランの航海日誌だけは燃やしたくなかった。
「エリアン、正気になれ。」
「今、週に一度は人を縛り上げて悪魔や魔女だと叫びながら火刑に処されているのに、今私たちが行って歓声を上げても疑われるかもしれない状況なのに、これはあまりにも危険だ。」
「お前も見ただろ、これが真実だ。」
「皆が騙されていることをお前は見ただろ。」
「でも、私たちの手で真実を魔女狩りしようって?」
レンとエリアンは互いを理解していないわけではなかった。あまりにも理解しすぎて、現実と真実をあまりにもよく知っていたため、彼らは選択できなかった。
「それでも、このままでは本当に死ぬんだぞ…」
「私も知っている、私もアストレルで見た。」
「魔女狩りされること。」
二人は狭い部屋の中に立ち尽くし、何の行動も言葉も交わすことができなかった。
静けさだけが部屋を満たしていた。まるで真実が閉じ込められているかのように、彼らもまた閉じ込められているかのように感じられた。
豚は頭を上げることができたが、
空を見ることができたが、
飼育される過程でその機会は次第に制限されていった。
その時、窓の外から歓声交じりの叫び声が聞こえてきた。
「キャアアアアアアアアアアアアアア
レンは呆然とした目で街を見下ろし、隣のエリアンに尋ねた。
「あれを見てまだ諦められないのか?」
「わかってる、俺も。でも諦められないものがある。」
「チャンスがある時に顔を上げなきゃ。」
二人はむしろ街から目を離せず、淡々と語った。
頭を上げて空を見上げる気すらなかった豚たちもいた。
エリアンは今、自分の命を賭けなければならなかった。18歳の少年の反抗的な家出は好奇心の旅となり、
旅の中の真実と現実は、生死を分ける方向を定めた。
960年3月12日
カナトゥ平原でカイルは先頭に立って道を案内していた。
ノバクと家族のアレベレットとエルノールはその後を追っていた。
カルレプは馬車を引いており、馬車の中にはユリとリセタが安全にいた。
「あの…でも、あとどれくらい行けばいいの?」
「もうすぐ着くよ。」
アルベレットはカイルアに慎重に尋ね、カイルアは歩きながら答えた。
「でも、強くなる理由は何なの??」
エルノールはカイルアの隣に近づき、明るく尋ねた。
彼女の言葉に、カイルアは歩みを止め、ノヴァクとエルノールを交互に見た。
「部族の伝統だと思えば楽だろう。」
「でも、私が弱すぎて役に立たないから助けを頼んだんだ。」
「そうか~。」
「カナトゥ族が外部の力を借りるほど重要なことなのかね。」
カイルアは話題をそらして言った。
彼らは一時止まっていた足を再び動かし、会話を続けた。
アルベレットはエルノルのためらいのない質問に様子をうかがっていた。
ノバクは家族がちゃんとついてきているか、後ろを何度も確認した。
「じゃあ、お前たちは?」
「なぜ私たちを探していたんだ?」
「あそこにノバクと家族たちは守るべき仲間が必要で、私とアルベレットはあなたたちを助けるために!」
エルノールは言葉を濁さず、率直に答えた。
自分たちの目的とノバック一家の状況を一度に説明し、
カイルは頭を振り、馬車の中のカルレブを見た。
視線は少し前方のノバックに向けられた。
「あの家族はそうだとするにせよ、お前たちは何を守ろうとしているんだ?」
「ああ、大丈夫だ。村に着いたらちゃんと説明するから。」
エルノールはたいしたことはないように話したが、
アルベレットは少し緊張した様子で二人の間を交互に見た。カイラは足を止め、口を開いた。
「お前たち二人は何の計画だ?」
「いや… あの… 誤解しないでくれ。俺たちは、お前たちの部族を避難させるために来たんだ。」
カイルアは警戒するように後ずさりながら尋ね、
アルベレットが仲介するように近づき、代弁した。
「避難? 突然の避難って何?」
「今… あなたがたが言っている… 私たち外部の者同士で紛争が起こりそうだから…」
「要するに、戦争がここにも被害を及ぼすかもしれないから、事前に避難させようと思って…」
アルベレットはできるだけ簡潔に国間の状況を説明し、
「戦争」という言葉はカイルアにも説得力があった。
「それを知らせるために来たのか?」
「でも私たちの部族は逃げない、それが伝統だから。」
「だから私たちが説得しようとしているんだ…」
カイルラはアルベレットとエルノールに悪意がないことを感じ、警戒を解いた。
アルベレットの言葉に警戒心はあったが、部族の伝統を理解させるのは難しそうだった。
「到着したら族長に話してみろ。無駄かもしれないが。」
「カナトゥの血を継いだ者は、また別のカナトゥの血を継いだ者が戻ってくるのが我々の運命だ。」
部族の信条はカイルラの深い内面に刻み込まれているようだった。
馬車を引いて遠くから聞いていたカルレプだけが、彼女を少しだけ理解していた。
エリックと離れることになった父親としての無力感、
それがどれほど胸を締め付けてきたかを理解していたからこそ、理解できた。
「それでもチャンスは与えてくれるんだ!」
「説得はアルベレットがやれるだろう。」
「私が…?」
突然のエルノルの責任転嫁に、アルベレットは確信がないように反問した。
カイルアは二人を少し観察するように見守り、
思ったよりまともな連中だと判断したのか、完全に警戒を解いて前へ進んだ。
「俺は説得なんて向いてない。」
「お前が向いてるだろ、神父だろ、そうだろう?」
「これは元々エルノルの任務だし…」
「それに、前から私の信仰を利用していること、それは反則だよ。」
アルベレットとエルノルの賑やかな雑談で雰囲気は和らぎ、
カイルアは後ろをちらりと見ながら二人を見守り、
少し異なる世界を見ているような感覚が彼女に訪れた。
やがて時間が少し経ち、日が傾き始めた頃、
彼らはカナトゥ族の住処に到着した。
「ここだよ、私たちの集落。」
「木しか見えないけど?」
エルノールはカイルアの到着を告げる言葉に首を傾げて言った。
彼らの前には鬱蒼とした森しか見えず、
ノバクの家族たちは馬車から降りて確認しようとして近づいてきた。
カイルアは先に森の中に入り、
その後エルノールから一人ずつ続いて入った。
「当然、隠れて暮らすんだ。」
次第に彼らの視界が明るくなった。
森を完全に抜け出すと、数多くの部族の民たちと、
木の上には無数に連なる梯子と家々が目に入った。
木の下の地面には小さな小屋が点在し、
その姿はまるで自然につながった村のように見えた。
「だから見つからなかったんだ…」
「本当にすごい!」
アルベレットは木の上の家々とつながる橋を見ながら、
平地や川辺を探していた自分たちが気づかなかった理由を理解し、
エルノールはただ不思議な風景に感嘆の言葉を繰り返した。
ユリはリセタの腕から離れ、エルノールと同じような反応を示した。
ノバクの家族たちは、わずかな安堵感が漂った。