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第7話:モンスター料理会とグレースとの出会い

 ギルドの依頼をこなしながら、俺は収納バッグを活用し、倒した魔物を持ち帰るようになった。しかし、持ち帰ったはいいものの、俺には料理のスキルがないため、やはり自分で調理しても美味しく食べることができない。

「どうにかして、うまい魔物料理を食べる方法はないものか……」

 そんなことを考えながらギルドに立ち寄ると、受付嬢のミレーヌが興味深い情報を教えてくれた。

「三好さん、モンスター料理会ってご存知ですか?」

「モンスター料理会?」

「ええ。ギルド公認の団体で、魔物の肉を美味しく調理するプロの料理人たちの集まりなんです。討伐した魔物を持っていけば、適正な価格で調理してくれますよ」

 それは朗報だった! 俺はさっそくモンスター料理会に向かうことにした。


 モンスター料理会はギルドの近くにある大きな建物の中にあった。

 中へ入ると、香ばしい肉の焼ける匂いが漂い、いくつもの厨房で料理人たちが腕を振るっていた。

「すげえ……!」

 俺はさっそく受付に行き、狩った魔物を調理してもらうことに。

「ほう、ホロツノウサギの肉か。これはスパイス焼きにすると美味しいぞ」

 料理人が手際よく調理を進めていく。焼き上がった肉は、今まで俺が食べてきたものとはまるで違い、香ばしい香りを放っていた。

「では、どうぞ召し上がれ!」

 俺は焼き上がったホロツノウサギの肉を口に運んだ。

「う、うまい!!」

 柔らかくてジューシーな肉、しっかりとした旨味があり、スパイスが絶妙に効いている。今まで食べてきた無理やり焼いた肉とは比べものにならなかった。

「こんなに違うのか……やっぱりプロに頼むべきだったな」

 これからは魔物を持ち帰り、ここで料理してもらうのが良さそうだ。


 それから数日後——

 俺は珍しい魔物「スパイクボア」を討伐し、その肉を持ってモンスター料理会を訪れた。

 すると、突然、立派なヒゲを生やした大柄な男が現れた。

「おぬしがこのスパイクボアを狩ったのか?」

 風格のあるその男は、モンスター料理会の会長「テイストキング」だった。

「ぜひとも、この肉は娘のグレースに調理させてほしい!」

「え、娘さんに?」

「うむ。我が娘グレースは、魔物料理の才能を持っているのだが、人見知りであまり人前に出たがらんのだ。しかし、おぬしの狩った珍しい魔物ならば、良い修行になると思う」

 俺は少し考えたが、別に断る理由はなかった。むしろ、プロの料理人に無料で調理してもらえるなら願ったり叶ったりだ。

「わかりました、お願いします」


 厨房に案内されると、そこには三つ編みの髪をした少女がいた。

「……」

「えっと、グレースさん?」

「……うん」

 グレースは小さな声で返事をしたが、目を合わせようとはしない。どうやら本当に人見知りらしい。

 だが、料理に入ると彼女の雰囲気は一変した。素早くナイフを操り、的確な手つきでスパイクボアの肉を処理していく。

「す、すごい……」

 その技術に思わず見惚れてしまった。

 やがて料理が完成した。

 皿に盛られた肉は、絶妙な焼き加減で、香ばしい香りが漂っている。

「では、いただきます!」

 俺が肉を口に入れるよりも先に、テイストキングが試食した。

「!!!」

 その瞬間、彼は上半身裸になり、

「う、うまーーーい!!!」

 と叫んだ。

 ……え、なんで脱いだんだ?

「これは……絶品だ!! グレース、お前は天才だぞ!!!」

 俺も恐る恐る肉を口に運ぶ。

「……う、うますぎる!!」

 ジューシーで柔らかく、噛むたびに肉汁が口いっぱいに広がる。スパイスとソースの組み合わせも絶妙で、今まで食べたどの魔物料理よりも美味かった。

「グレースさん、ありがとう! すごく美味しいです!」

「……うん」

 少しだけ、グレースが嬉しそうに微笑んだ気がした。


 その後、テイストキングは俺にこう頼んできた。

「三好よ、グレースをおぬしの魔物討伐に同行させてくれぬか?」

「え?」

「グレースが実際に魔物を見ることで、さらに料理の腕を磨けると思うのだ!」

「えっと……」

 一瞬迷ったが、ふとあることに気づいた。

(待てよ……グレースがいれば、無料で魔物料理を食べられるんじゃ?)

 俺は一切の迷いを捨て、快く承諾した。

「いいですよ! ぜひ、一緒に行きましょう!」

「おお、感謝する!」

 こうして、俺はグレースと共に魔物討伐に出かけることになった。


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