第32話 「光の誘いと謎の料理人」
モンスター料理大会もいよいよ佳境に入ってきた。グレースは1回戦、2回戦を順調に勝ち抜き、ついに第3回戦へと進出する。対戦相手はネーネ。彼女は水属性の料理を得意とし、特に魚料理に関しては王国でも指折りの実力者だった。
「第3回戦、グレース対ネーネ!」
司会者の声が響くと、観客から歓声が上がる。
「課題料理は――魚料理!」
会場がざわつく。
「魚料理か……さすがに難しいな」
三好は腕を組みながら考え込む。魚料理は素材の鮮度が命。並の魚ではネーネに対抗するのは難しいだろう。
そこで、三好はある作戦を考えた。
最高の魚を求めて
三好はカオル、マリアと共に、町の外にある大きな湖へとやってきた。
この湖には「ルミナフィッシュ」という光魔法に引き寄せられる希少な魚が生息している。だが、その捕獲は非常に難しく、普通に釣り糸を垂らしても簡単には釣れない。
「そこでだ……」
三好はマリアをじっと見つめる。
「お前に光魔法を使ってもらう」
「えっ!?」
マリアは目を丸くする。
「ほら、お前は神父から銀の燭台と一緒に俺の物ってことになっただろ? だったら、俺の言うことを聞く義務がある」
「そ、そんな……!」
「それに、これはグレースのためでもあるんだ。我慢しろ」
マリアは涙目になりながらも、しぶしぶ頷いた。
湖の橋の上で
湖に架かる古びた橋の上にマリアを連れてくると、三好とカオルはロープを取り出した。
「ちょ、ちょっと待って! 何そのロープ!?」
「お前を吊るすんだよ」
「ええええええ!?」
マリアは慌てて後ずさるが、カオルがガシッと腕を掴む。
「安心しろ。落としはしない」
「いや、そういう問題じゃ……!」
しかし、マリアの抵抗も虚しく、彼女は湖の上に吊るされることになった。
「さぁ、光魔法を発動しろ」
マリアは震えながらも仕方なく光魔法を発動する。
湖の水面が淡く光り、その光に引き寄せられるように、魚たちが次々と集まってくる。
「よし、来たぞ!」
三好はすかさず網を構え、湖から飛び出してきたルミナフィッシュを次々と捕獲していく。
数分後――
「やった! これで十分だ!」
三好が歓喜の声を上げると、マリアはぐったりと力尽きた様子でぶら下がっていた。
「……私、これ以上扱いひどくなったら本当に泣くからね」
「まぁまぁ、いい仕事したぞ。ほら、もう降ろしてやるから」
こうして、最高の食材を手に入れた三好たちは、大会会場へと戻った。
第3回戦開始
会場では、すでに対戦相手のネーネが調理を開始していた。彼女は独自の技法で魚をさばき、美しい盛り付けを施している。
「さぁ、私も始めるか」
グレースは三好が持ち帰ったルミナフィッシュを慎重に扱いながら、特製のソースと合わせた。
彼女の作った料理は、ふんわりとした食感の白身に、光魔法のエネルギーを含んだ独特の甘みと旨味が加わった一品だった。
審査員がそれを口に運ぶと――
「う、うまい!!!」
審査員たちは料理を味わい続けた。
「こ、これが……新たなる境地……!」
「魚料理でここまでの感動を……!」
こうして、グレースは見事に勝利を収めた。
再び現れる黒フードの料理人
試合が終わった後、三好は他の試合も見て回った。
そして、またしても黒いフードの料理人が登場していた。
「またアイツか……」
彼の試合が始まり、審査員が料理を口に運ぶと――
「う、うまいッ!!!」
審査員たちが次々と服を脱ぎ始める。
「おいおい、またかよ!」
三好は思わず頭を抱えた。
「何なんだアイツの料理は……?」
黒フードの料理人はまたしても勝利を収め、静かに立ち去っていった。
「こりゃあ、何か裏があるな……」
三好は黒フードの料理人の正体を突き止める決意を固めるのだった。




