第31話 「奇跡の卵と脱ぎたがる審査員」
モンスター料理大会の第一回戦を勝ち抜いたグレース。彼女のトリュフソースのカツ丼は審査員を感動させ、圧倒的な勝利を収めた。だが、まだ戦いは続く。
「第2回戦、グレース対クーガ!」
大会会場に響き渡る司会者の声とともに、会場がざわつく。クーガはこの大会の常連であり、過去の大会では準優勝の経験もある実力者だった。
「課題料理は――卵焼き!」
観客席からは驚きの声が上がる。
「卵焼きだと? なんだか普通すぎないか?」
「いや、シンプルな料理ほど奥が深いんだよ!」
卵焼きは一見簡単な料理に思えるが、火加減、食感、風味など、さまざまな要素が絡み合う。特に、使う卵の質が料理の出来を左右すると言っても過言ではない。
「また食材探しか……」
三好はため息をつきながらも、グレースの勝利のために最高の卵を手に入れることを決意する。
最高の卵を求めて
三好はカオルとともに、町の市場や食材屋を回っていた。しかし、どれも一般的な卵ばかりで、決め手に欠ける。
「もっと希少な卵が必要だな……」
そう思っていたとき、情報屋から奇妙な話を聞いた。
「今晩、町の地下オークションで、ピッコーロの卵が出品されるらしいぜ」
「ピッコーロ?」
「緑色の魔物の一種だ。口から卵を産むんだ。その卵は栄養価が異常に高く、旨味も凝縮されているらしいぜ」
その話を聞いた三好は即決した。
「よし、それを落札しに行くぞ」
王都の地下オークション
夜、三好とカオルは指定されたオークション会場へと向かった。
そこは王都の地下に広がる秘密の取引場所で、闇商人たちが珍しい品々を売りさばいていた。
オークションが進む中、ついに目当ての品が出品される。
「次の品は、ピッコーロの卵! 限定三つ!」
会場がざわつく。やはり希少な品だけあって、すぐに入札が始まった。
「5000!」
「8000!」
「1万!」
激しい競り合いが繰り広げられる中、三好は意を決して叫ぶ。
「1万5000!」
会場が静まり返る。
「他に入札は――?」
しばらくの沈黙の後、オークションの司会者が槌を振り下ろした。
「落札! ピッコーロの卵、1万5000!」
見事、三好は希少な卵を手に入れた。
第2回戦開始
翌日、ついに第2回戦が始まった。
グレースは緊張した面持ちで調理台に立つ。対戦相手のクーガは、すでに卵を割り、見事な手さばきで卵液を作り始めていた。
「さぁ、始めるか」
三好が届けたピッコーロの卵を割ると、中からは通常の卵とは違う、輝くオレンジ色の濃厚な黄身が現れた。
「すごい……!」
グレースは驚きながらも、それを慎重にかき混ぜ、独自の調味料と合わせて焼き上げる。
そして完成した卵焼きは、ふんわりとした食感ながら、濃厚な旨味と甘みが絶妙に絡み合う逸品となった。
審査員がそれを口に入れると――
「う、うまい!!!」
一人の審査員がまたもや感動のあまり涙を流しながら、テーブルに突っ伏した。
「なんという……至高の卵焼き……!」
観客席からも感嘆の声が漏れる。
「勝者、グレース・ルークス!」
歓声が上がる中、グレースはほっと胸をなでおろした。
またもや謎の黒フード
試合が終わった後、三好は他の試合も見て回っていた。
そこで目にしたのは、前回も見かけた黒いフードの料理人だった。
「またアイツか……」
彼の試合はすでに終盤に差し掛かっていたが、審査員が彼の料理を食べた瞬間――
「う、うまいッ!!!」
またもや審査員たちが次々と服を脱ぎ始める。
「いや、何で脱ぐんだよ……!」
三好は思わず頭を抱えた。
「な、なんだこの現象は……?」
黒フードの料理人は静かに勝利を収め、また姿を消していった。
謎の料理人の正体は? そして彼の料理には一体何が仕込まれているのか?
次の戦いに向け、三好は不安を感じ始めていた。




