第27話「教会の決断と押し付けられたシスター」
翌朝、教会では騎士団が訪れ、神父に村長が不正に貯めていた資金が正式に教会へと渡されることが伝えられた。
神父は涙を浮かべながら、
「これで子供たちも飢えることなく過ごせます。本当にありがとうございます」
と深々と頭を下げた。
しかし、そんな感動的な場面の裏で、神父と騎士団は何やらひそひそと話し込んでいた。
三好はその様子を不思議に見ながらも、カオルに向かって
「もう教会の問題は解決したんだから、お前はここに残れ」
と告げた。
本音を言えば、回復しかできず、戦闘では役に立たないマリアをこれ以上連れて行くつもりはなかったのだ。しかし、三好の言葉を聞いた瞬間、マリアは大粒の涙を流しながら
「置いていかないで!」と叫び、三好の足にしがみついてきた。
さらに、神父までもが「どうかマリアを連れて行ってください!」と懇願しながら三好の足を掴んでくる。
予想外の展開に三好は困惑したが、「俺も別れは寂しいけど、マリアはここに残ったほうが幸せになれるんだ」と必死に説得を試みた。
しばらくの押し問答の末、マリアはしぶしぶながらも納得し、三好の足を離した。神父も「ならばせめてお礼だけでも受け取ってください」と、豪華な銀の燭台を差し出してきた。
「立派な燭台だな……リビングに飾るのに良さそうだ」
特に深く考えず、三好はそれを受け取った。
すると、神父は意味ありげにニヤリと笑った。
その笑顔が何か引っかかったが、考えても仕方がないと思い、三好たちは教会を後にした。
教会のシスターや村人たちに別れを告げ、三好、カオル、グレースは村の外れに向かっていた。村の入口へ差し掛かったその時、突然、騎士団が三好たちを囲んだ。
「待て。その手に持っている銀の燭台……それは教会の大事な宝物ではないか? まさか盗んだのか?」
「はあ!? 違う! 神父がくれたんだ!」
三好は必死に否定したが、騎士たちは疑いの目を向けてくる。すると、そこへ神父が小走りでやってきた。
「いえ、それは正式に差し上げたものです。ああ、それと、銀の皿も忘れていましたね」
にっこりと微笑みながら、神父は銀の皿を差し出した。騎士団は神父の言葉を聞いて納得し、三好を開放した。
ひとまず誤解が解けてホッとした三好だったが、次の瞬間、神父の口から信じられない言葉が飛び出した。
「銀の燭台と銀の皿は三好様に差し上げたものなので、今後は三好様の所有物となります。そして、昨日の晩、マリアも三好様のものになりましたので、お忘れなく」
「……は?」
神父は満面の笑みを浮かべながら、シスターたちとともにマリアを馬車に押し込んだ。
「ちょ、待て! どういうことだ!」
「昨晩、マリアは三好様のお部屋に行きましたね? つまり、そういうことです」
まさかの展開に三好は頭を抱えた。おそらく、昨晩のマリアの突撃を目撃した神父は意図的に利用したのだ。
騎士団とこそこそ話していたのはこのことだったのかと気付いた時にはすでに遅かった。
「というわけで、マリアをどうぞよろしくお願いしますね」
神父はシスターたちと一緒に手を振りながら見送る。
マリアは三好の隣で、「やった! 三好の旅についていける!」と無邪気に喜んでいた。
こうして、意図せずして三好のパーティーにマリアが正式に加入することになったのだった。




