第26話「聖水の真実と夜の訪問者」
モンキーデビルの討伐を終え、村には安堵の空気が広がっていた。長らく教会を苦しめていた元凶が消え去り、村人たちは歓喜の声を上げた。
騎士団の隊長は三好たちに深々と頭を下げ、
「あなた方の助力がなければ、この村は今も悪の手に支配されていたでしょう。本当に感謝します」と礼を述べた。
三好は少し気恥ずかしそうに
「まぁ、俺たちは報酬がもらえればそれでいいからな」
と応じたが、村人たちは口々に感謝の言葉を述べ、英雄のように扱ってくれた。
騎士団の数名はこの村にしばらく残り、村の護衛を担当することになった。
村長が消えたことで、統治の問題はあったが、騎士団の指揮のもと、村人たちは新たな村の在り方を考え始めていた。
一方、グレースはモンキーデビルの遺体を魔法の収納バッグに入れようとしていたが、突如として顔をしかめた。
「……なんか、アンモニア臭くない?」
三好も鼻をひくつかせ、
「確かに妙な臭いがするな……」
と同意した。
そこで、三好はふとある疑問を抱いた。
「そういえば、マリア。さっきモンキーデビルにかけたの、本当に聖水だったのか?」
マリアは無邪気な笑顔を浮かべて、「うん、聖水だよ」と答えた。
しかし、三好の顔は疑念に満ちていた。「前回もお前、聖水とか言って変なことしてたよな?」
マリアはきょとんとした顔で首をかしげた。「え? だって聖水って小便のことじゃないの?」
その場にいた全員が一瞬、時が止まったように沈黙した。
「……は?」
「え?」
グレースとカオルが同時に声を上げた。
三好は呆れ果てた表情で額を押さえた。
「つまり、お前……さっきの聖水も、もしかして……」
マリアは「うん!」と誇らしげに頷いた。
「だって、神父様のベットの下にあった本に『聖なる水は女性の恵みから生まれる』って書いてあったし……」
三好は一瞬頭を抱えたが、あることに気づいて顔色を変えた。
「待て……ってことは……俺、モンキーデビルの腕、食ったよな?」
その瞬間、全員の目が三好に向いた。
「……うっそ……」
「最悪……」
三好の顔は真っ青になり、マリアの頬を思い切りつねった。
「お前ええええ! 俺に何食わせてんだ!!!」
マリアは「痛い痛い!」と叫びながらも、「でも、三好が食べたらすごく強くなったじゃん?」と笑顔で言う。
「そういう問題じゃねぇ!!!」
その場にいた全員が深いため息をついた。
その夜——。
三好は自室で横になりながら、今日の出来事を思い返していた。怒涛のような戦い、そしてまさかの真相。ようやく一息つけると思った矢先、部屋の扉がそっと開いた。
「ん?」
ふと目を開けると、そこには薄暗い光の中、下着姿のマリアが立っていた。
「お、おい……何してんだ?」
マリアはゆっくりと三好の上にまたがり、三好の服を脱がそうとする。
「恩人には体でお礼をするっていう本を読んだことがあるの」と言った。
三好の目が点になった。
「は……?」
「神父のベッドの下に隠されてた本に書いてあったんだよ!」
三好は頭を抱えた。
「いや、それ絶対そういう本だから! お前の体に興味はないから帰れ!」
マリアは不思議そうな顔をしたが、結局、しぶしぶ部屋を出て行った。
三好は深くため息をつきながら、
「あの神父も結構ヤバいやつなのかもしれねぇな……」
と天井を見上げた。
こうして、騒がしくも平和な夜が更けていった——。




