第24話「暴かれた正体」
騎士団の到着
朝日が村を照らし始める頃、村長の家の前には異様な緊張感が漂っていた。
グレースが騎士団を引き連れ、村長の屋敷を取り囲んでいる。
「村長、あなたに王国からの支援金横領の疑いがかかっています。帳簿の証拠もある。観念しなさい!」
騎士団の隊長が鋭い声で告げると、村長の屋敷の扉がゆっくりと開かれた。
「……とうとうバレてしまったか」
村長は静かに呟くと、ゆっくりと屋敷の外へ足を踏み出した。
その表情には、まるで観念したかのような余裕があった。
「村長、もう逃げられませんよ」
騎士の一人が手錠を取り出し、村長の両腕を拘束しようとした瞬間――
「ククク……このまま捕まると思ったか?」
村長の体が黒い煙に包まれた。
「な、なんだ!?」
騎士団が一斉に身構える。
すると、村長の姿は次第に変化していった。
体毛が生え、顔は猿のようになり、腕は異様に長く、鋭い爪を持つ異形の怪物へと変貌していった。
「モンキーデビル……!?」
グレースが驚きの声を上げる。
モンキーデビル・・・猿のような姿をした高位の魔物で、知能が高く、俊敏な動きと強靭な肉体を持つ。
「ククク……貴様ら、よくも余計なことをしてくれたな!」
モンキーデビルは鋭い牙を見せながら、不気味に笑った。
そして、次の瞬間――
「ぐあっ!?」
騎士団の一人が吹き飛ばされた。
モンキーデビルは異常な速さで騎士団の包囲網を突破し、村の中央へ向かって疾走する。
「逃がすな!」
隊長の怒号とともに、騎士たちが追いかける。
村の中央での混乱
「キャーッ!!」
村の中央へ逃げ込んだモンキーデビルの姿に、村人たちは恐怖に駆られて逃げ惑った。
「化け物だー!!」
「誰か助けてくれ!」
騎士団が次々と追いつき、モンキーデビルへ攻撃を仕掛ける。
「はぁっ!」
「これでどうだ!」
剣を振るう騎士たちだったが、モンキーデビルは素早く身をかわし、逆に鋭い爪で反撃する。
「ぐああっ!!」
「くっ……強い……」
次々と騎士たちが倒れていった。
そこへ、教会の神父とシスターたちが駆けつけた。
マリアもその中にいる。
「傷ついた者を治療するぞ!」
神父が叫ぶと、シスターたちは次々に回復魔法を詠唱した。
「ヒール!」
「リカバリー!」
魔法の光が騎士たちの傷を癒していく。
モンキーデビルの目的
モンキーデビルは舌打ちしながら、三好たちを睨みつけた。
「……質問してもいいか?」
三好が前に出る。
「お前が支援金を横領していた理由は何だ? 金が欲しかっただけか?」
モンキーデビルはニヤリと笑った。
「……聖女が誕生しては困るから、だよ」
「……何だと?」
三好は思わず聞き返す。
「魔王軍の指令だったのさ。教会を貧しくすれば、そこで育つ聖女はまともに育たない。聖女の力が目覚める前に、潰してしまおうというわけだ。」
「……なるほどな」
三好はモンキーデビルを睨みつける。
「お前みたいな奴のせいで、マリアは……!」
「フン、くだらん感傷だな」
モンキーデビルは嘲笑った。
「貴様らが何をしようと、魔王軍の計画は変わらん。……この村も、聖女も、いずれは潰れる運命なのだ」
「ふざけるな!」
カオルがウォーハンマーを構え、モンキーデビルへ突進した。
「いくぞ!」
三好とグレースもそれに続く。
激闘
カオルのハンマーがモンキーデビルへ振りかかるが、モンキーデビルは素早くかわし、逆に鋭い爪でカオルを攻撃する。
「くっ!」
カオルは間一髪で避けるが、頬にかすり傷を負う。
「こいつ、動きが速すぎる!」
「だったら、こっちも手を緩めない!」
グレースが短剣を取り出し、素早い動きでモンキーデビルの背後を狙う。
「甘い!」
モンキーデビルは振り返りざまに蹴りを放つ。
「ぐっ!」
グレースが吹き飛ばされ、地面に転がった。
「お前の相手は俺だ!」
三好が突撃し、斬りかかる。
「くらえ」
モンキーデビルは軽く跳躍して回避する。
「チッ……!」
そこへ、神父が駆けつけた。
「お前にこれを食らわせてやる!」
神父は小瓶を取り出し、それをモンキーデビルへ投げつけた。
聖水だ!
「グギャアアアアア!!!」
モンキーデビルは激しくのたうち回る。
聖水が体に触れた部分が焦げ付き、煙を上げている。
「効果がある……! よし、シスターたち! 聖水を持っている者はいるか!?」
神父が振り向いて叫ぶ。
しかし――
「すみません……もう手持ちがありません!」
シスターたちは申し訳なさそうに答える。
「チッ、困ったな……」
その時、マリアが前に出た。
「私が持ってくる!」
マリアはそう言い残し、どこかへと走り去った。
「マリア!」
三好が呼び止めるが、マリアは振り返らずに走り去っていく。
戦いの行方は、マリアが持ってくる聖水にかかっていた――。




