表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

23/32

第23話「村の闇」

 朝の食卓

 翌朝、教会には香ばしい匂いが立ち込めていた。

 グレースが早朝から厨房に立ち、コケコッコ鳥を調理していたのだ。

 焼き鳥、から揚げ、スープ――どれも美味しそうな料理ばかりだ。

「お姉ちゃん、いい匂い!」

「早く食べたい!」

 子供たちは目を輝かせながら、待ちきれない様子で席に座っていた。

「ほら、順番にね。熱いから気をつけて」

 グレースは一皿ずつ子供たちに配る。

「いただきまーす!」

 子供たちは一斉に手を合わせると、勢いよく食べ始めた。

「んまっ!」

「おいしいー!」

 口いっぱいに頬張る子供たちを見て、グレースは満足そうに微笑んだ。

「グレース、ありがとう」

「これくらい当然よ」

 マリアも嬉しそうに微笑み、隣のシスターと談笑している。

 そのシスターはマリアと同年代らしく、二人で親しげに話していた。


 村の調査

 朝食を終えた後、三好は村の様子を調べることにした。

(教会だけが貧しいってのは、どう考えてもおかしいよな)

 教会の周囲を歩き回りながら、村全体の様子を観察する。

 道は整備されており、家々も綺麗に手入れされていた。

 特に困窮している様子はない。

 しかし、教会だけが異常なほど貧しい。

「……これは怪しいな」

 三好はさらに村を歩き、村長の家の前へとやってきた。

 そこには驚くほど豪華な屋敷が建っていた。

「うわ、なんだこれ……?」

 教会とは正反対に、まるで貴族の館のような造りだった。

 立派な門構え、大理石の壁、高級そうな庭園……まるで金持ちの邸宅だ。

(村のリーダーの家としては明らかに異常だな)

「……やっぱり、ここが怪しいか」

 三好は静かにその場を後にし、教会へ戻った。


 密談

「やっぱり、教会の資金がどこかで止まってるとしか思えない」

 三好はカオルとグレースと共に話し合った。

「村を見て回ったけど、他の場所は普通に裕福そうだった。でも、教会だけが貧しい」

「つまり、支援金が村長のところで止まっている可能性が高いわね」

 グレースが腕を組みながら言う。

「確かに、あの村長の家は普通じゃなかった。明らかに支援金を横領してる可能性が高い」

 カオルも頷く。

「証拠を掴めば、騎士団に訴えることができるな」

「でも、その証拠はどこにある?」

「……村長の家に忍び込めば、帳簿があるかもしれない」

 グレースの提案に三好は少し驚いた。

「……本気で言ってるのか?」

「ええ。本気よ」

 グレースは鋭い眼差しで三好を見つめた。

「証拠がなければ、ただの疑惑で終わるわ。だから、今夜、村長の家に侵入しましょう」

 三好はため息をつきながらも、その提案に頷いた。


 夜の潜入

 深夜、村長の屋敷の前。

「本当にやるのか……」

「やるしかないでしょ」

 三好とグレースは闇に紛れながら、屋敷の裏手へと回り込んだ。

(こういう時、泥棒スキルでもあれば楽なのに……)

 屋敷の裏口には簡単な鍵がかかっていたが、グレースは器用にそれを開けた。

「……よし、入るわよ」

 二人は慎重に屋敷の中へと忍び込んだ。

 屋敷の中は静まり返っている。

 廊下を歩きながら、村長の部屋を探す。

 すると、奥の部屋からかすかに光が漏れていた。

(ここか?)

 そっと扉を開けると、そこには大きな机があり、本棚には大量の帳簿が並んでいた。

「三好、こっちを見て」

 グレースが手に取った帳簿をめくる。

 すると――

「……やっぱり、支援金が村長のものになってる!」

 帳簿には、国から送られた支援金がすべて村長の個人財産に流れている証拠が記されていた。

「こりゃあ決定的だな……」

「よし、この帳簿を持っていきましょう」

 グレースは帳簿を抱え、慎重に部屋を出た。


 決断

 屋敷を出た二人は、再び物陰に身を潜めた。

「この帳簿を騎士団に持っていく」

 グレースは真剣な表情で言った。

「そうすれば、村長は捕まるわ」

「なるほどな」

 三好は頷いた。

「じゃあ、俺はマリアに報告してくる」

「お願いね」

 そう言って、二人はそれぞれの役目を果たすために動き出した。


 カオルへの報告

 教会へ戻った三好は、カオルが寝ている部屋の扉を軽くノックした。

「ん……? なに、こんな夜中に・・・まさか夜這いか!!!」

 カオルは勢いよく、扉を開けた。

「支援金の件、証拠を掴んだ」

「……マジか?」

 カオルの眠気は一瞬で吹き飛んだ。

「やっぱり、村長が?」

「ああ。支援金は全部村長の私財になってた」

 カオルは目を見開いた。

「クソ野郎じゃねえか……」

「グレースが騎士団に報告しに行った。明日には騎士団が来るはずだ」

「なるほど……。じゃあ、明日は騎士団の到着を待つしかねえな」

「そういうことだ」

 三好は軽く笑ってみせた。

 そして、翌日――。

 ついに、騎士団が村に到着することとなる……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ