第22話「マリアの秘密」
ギルドでの依頼選び
翌朝、三好、カオル、グレース、マリアの四人はギルドに向かった。
依頼掲示板の前には、すでに多くの冒険者が集まっており、次々と依頼書を手に取っては吟味している。
「さて、今日はどんな依頼があるかな……」
三好が適当な依頼書を眺めていると、マリアが意気揚々と一枚の紙を持ってきた。
「見て! これ、報酬がめちゃくちゃ高いわよ!」
「どれどれ……?」
三好がその依頼書に目を通すと、そこにはこう書かれていた。
《Aランク依頼:魔獣ベルゼルグ討伐》
報酬額:500000ゴールド
「……いや、こんなの無理だろ!」
三好が即座に却下すると、カオルも苦笑しながら頷いた。
「ベルゼルグって、たしか城壁すら破壊する凶暴な魔獣だよな。俺たちだけで勝てるとは思えないぞ」
「えー? せっかく大金が手に入るのに……」
「死んだら意味ねえだろ」
三好がため息をついていると、グレースが別の依頼書を手に取った。
「こっちの方が良さそうよ」
彼女が選んだのは、《コケコッコ鳥討伐》の依頼だった。
「コケコッコ鳥……?」
「うん。肉が美味しくて、焼き鳥や空揚げにぴったりなのよ!」
「ほう……」
グレースの言葉に三好は少し興味を持った。
「鳥肉か……久しく食べてないな」
「でしょ? ね、受けようよ!」
グレースの目は期待に満ちていた。
「まあ、戦闘もそこまで大変じゃなさそうだし、いいか」
三好は依頼を受けることに決めた。
コケコッコ鳥討伐
三好たちは指定された森に向かい、コケコッコ鳥の群れを発見した。
「よし、いくぞ!」
三好が号令をかけると、グレースは素早く弓を構え、次々とコケコッコ鳥を射抜いていく。
カオルは斧を振りかざし、一撃で仕留める。
「ふんっ!」
ズバァッ!!
羽を舞い散らせながら、コケコッコ鳥が次々と倒れていった。
マリアは魔法を使うが、攻撃が当たらない。しかたないので自力で捕まえる。
「ははは、これは食糧確保には最高の依頼だな!」
最終的に、魔法のバッグがいっぱいになるほどの数を討伐し、大満足の結果となった。
マリアの秘密
ギルドへ戻り、報酬を受け取った三好たちは、それを山分けした。
「よし、今日も儲かったな」
「これでしばらく美味しいご飯が食べられるわね」
みんなが喜ぶ中、マリアは相変わらず淡々と自分の分を受け取ると、そのままギルドを出ていこうとした。
「……?」
三好はその様子に違和感を覚えた。
(そういえば、マリアっていつも報酬をもらったらすぐにどこかへ行くよな)
一体、彼女はどこへ行くのか?
そして、報酬を何に使っているのか?
「気になるな……よし、尾行するか」
三好はカオルとグレースに目配せし、三人でマリアの後を追うことにした。
隣村への追跡
マリアは馬車乗り場へ向かい、隣村行きの馬車に乗り込んだ。
「隣村に行くつもりか……」
「どうする?」
「俺たちも乗るぞ」
三好たちはもう一台の馬車に乗り、マリアの後を追った。
約1時間後、馬車は隣村に到着した。
マリアは馬車を降りると、しばらく歩き、ある建物の前で足を止めた。
それは教会だった。
マリアの正体
三好たちは物陰から様子をうかがった。
マリアが教会の中に入ると、子供たちが彼女のもとへ駆け寄る。
「お姉ちゃん!」
「マリアお姉ちゃん、来てくれたんだ!」
マリアは優しく微笑みながら、子供たちの頭を撫でている。
やがて、奥から神父が現れた。
「マリアさん、いつもすまないね……」
「いいえ、少しでも助けになればと思って」
彼女はギルドで得た報酬を神父に渡した。
「ありがとう、本当に助かるよ」
神父は深々と頭を下げた。
(……マリアは報酬を全部ここに入れてたのか?)
三好は驚きながら、それを見守っていた。
すると、突然。
「お兄ちゃんたち、何してるの?」
背後から子供の声が聞こえた。
「……!!」
三好たちはビクッとしながら振り向いた。
小さな女の子が不思議そうにこちらを見ている。
「もしかして……マリアお姉ちゃんのお友達?」
「あ、いや、それは……」
「だったら、入ってきて!」
子供たちに手を引かれ、三好たちは強制的に教会の中へ連行された。
マリアの真意
マリアは驚いた表情で三好たちを見つめた。
「……何でここにいるの?」
グレースが少し申し訳なさそうに答える。
「マリアが報酬をどこに使っているのか気になって……心配でついてきたの」
「心配……?」
マリアは少し困った顔をしたが、神父が優しく微笑んだ。
「君たちはマリアさんの仲間かね?」
「ええ、一緒に冒険しているんです」
神父は頷くと、ゆっくりと話し始めた。
「実は、私たちの教会は国からの援助が滞っていて……食料にも困っている状態でね」
「だから、マリアが自分の報酬を全部ここに……?」
三好は、最初にマリアと出会った時のことを思い出していた。
(あの時も募金活動をしてたよな……)
「でも、なぜ国の援助が止まってるんだ?」
神父は今日、泊まっていくように勧めてくれた。
三好は疑問を抱えながら、眠りについた――。




