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第19話「撃ち抜かれた核」

 粉々に砕かれたはずのゴーレムが、ゆっくりと復元していく――。

 そして、その背後からさらに5体のゴーレムがこちらへ向かってきていた。

「……マジかよ」

 三好は剣を握り直し、横目でカオルを見る。

 カオルはすでに息を切らしていた。

「カオル、まだいけるか?」

「はぁ……はぁ……ギリ……いける……!」

「10トンクラッシュ!!!」

 カオルはウォーハンマーを振り下ろし、ゴーレムを粉々に砕いた。

 さらにもう一発、もう一体を吹き飛ばす。

 ズドォォォン!!

「はぁ……はぁ……っ」

 しかし、カオルの動きは明らかに鈍くなっていた。

(もう……カオルはスキルを使えねぇな)

 三好はゴーレムの修復を観察していた。

 すると、復元する際に赤い球が光っているのに気づく。

「あれか……!」

 球を中心に砂が集まり、ゴーレムが再構築されているのがはっきりと見えた。

 三好はすぐさま町の入り口にいたギルド職員に駆け寄り、叫ぶ。

「スピーカーで伝えてくれ! ゴーレムの中にある赤い球を破壊すれば、完全に倒せる!」

 ギルド職員は慌てながらもスピーカーを握り、大声で叫んだ。

『皆さん ゴーレムの中にある赤い球を狙え! それを破壊すれば、再生できない!』

「了解!」

 それを聞いた冒険者たちは、一斉に赤い球を狙い始めた。

 一体、また一体とゴーレムが倒されていく。

 しかし――


 増えるゴーレム、限界を迎えるカオル

 カオルが破壊した2体と、三好たちが最初に粉砕したゴーレムが復元してしまう。

 その場に残っていた3体と合わせて、合計6体が三好たちに向かって迫ってきた。

「マジでしつこいな、こいつら!」

「やるしかない!」

 三好たちは武器を構える。

 だが――

 ドゴォォォン!!!

「ぐぁっ!!」

 カオルが6体分の攻撃を一度に受け、吹き飛ばされた。

「カオル!!」

 三好はすぐさまカオルのもとへ駆け寄る。

 カオルの盾は歪み、体中に打撲の痕が残っていた。

(まずい……こいつを回復させないと)

 だが、マリアが回復魔法を詠唱する前に――


 突如現れた男

「カオル――――!!!」

 空から叫び声が響く。

 三好が上を見上げると、長身の男が急スピードで降下してきた。

 そして――

「よくもカオルを……!!」

 男は地面に着地すると、片手をピストルのような形にして人差し指を6体のゴーレムに向けた。

 パン! パン! パン! パン! パン! パン!

 銃声のような音が6発響く。

 次の瞬間――

 ゴーレムの中にあった赤い球がすべて撃ち抜かれる。

 バァァァァン!!!

 6体のゴーレムは粉々に砕け、砂となって消えた。


 謎の男とカオルの怒り

 三好たちは驚きを隠せなかった。

(……今の、何だ?)

 男は余裕の表情を浮かべ、指先に向かって息を吹きかける。

「フッ、これで終わりだ」

 そのままカオルのもとへ向かう。

「おい、大丈夫か? 怪我はないか?」

 カオルは痛みに耐えながら頷く。

「……なんとか」

「そうか、よかった……」

 男は安心した表情を浮かべると、急に顔を真剣にして――

「近くにいたグレースに声をかけた。」

「なぁ、子作りしないか?」

 シーン……

 グレースは目を丸くし、マリアと三好も唖然とする。

「おい……いきなり何言ってんだよ……」

 だが、次の瞬間。

「……コラァァァァァ!!」

 怒りに燃えたカオルがウォーハンマーを振り上げた。

「10トンクラッシュ!!!」

 ズドォォォォン!!!!

 男は空高く吹き飛ばされ、地平線の彼方へ消えていった。

「グッバァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァイ!!!!!」

 その声が、遠く遠くまで響いていった――。

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