表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

12/18

第12話:新たな仲間、カオル登場!

 ギルドのカウンターに肘をつき、ため息をつく三好食。昨日の鋼鉄スライム討伐で得た教訓は、パーティーにタンク役が必要だということだった。

 グレースとマリアの二人では前衛を任せられず、自分が攻撃に集中するためには、敵の攻撃を受け止める盾役が不可欠だった。

「どうしたらいいかな……」

 考え込んでいると、受付嬢のエリーナが微笑みながら助言をくれた。

「パーティー募集の掲示板に『ABC』と書いてみてください」

「ABC?」三好は首をかしげる。

「ええ。それを書くと、男性なら女性冒険者が、女性なら男性冒険者が現れるっていうちょっとしたおまじないみたいなものなんです。実際、過去に試した人たちは相性の良いパートナーを見つけてますよ」

「そんな都合のいい話があるのか?」

「試してみる価値はあるんじゃないですか?」

 半信半疑のまま、三好は掲示板に『ABC』と大きく書いた。そして数分待つと、鎧姿の長身の女性が現れた。

「お前がパーティーを探してるのか?」

 低めの声で話しかけてきたのは、身長が170センチはありそうなボーイッシュな女性だった。短く切りそろえた黒髪に鋭い目つき、肩には巨大なウォーハンマーを担いでいる。

「え、えっと……そうだけど」

「私はカオル。ウォーハンマーを扱えるタンク役だ。お前のパーティーに入れてくれ」

 突然の申し出に驚く三好だったが、まさに自分たちが求めていた役割を持つ人物だった。迷う理由はなかった。

「助かる! よろしく頼む!」

「ふふ、よろしくな」

 こうして、新たな仲間カオルが加わり、鋼鉄スライム討伐へと再挑戦することになった。


 再び鋼鉄スライムが出現する草原へ向かった三好たち。昨日と同じ場所で鋼鉄スライムを発見した。

「よし、奇襲を仕掛ける!」

 三好とグレースが駆け出した。しかし、前回と同じく鋼鉄スライムは俊敏な動きで攻撃をかわし、逆に体当たりを仕掛けてくる。

「くっ……!」

「今度は逃がさない!」

 カオルが前に出て、ウォーハンマーを振りかぶる。そして、鋼鉄スライムの突進を正面から受け止めた。

「ふんっ!!」

 大地を踏みしめながら、カオルは鋼鉄スライムの突進を耐え抜き、そのまま反撃の一撃を叩き込んだ。しかし、スライムの体は鉄のように硬く、ハンマーの衝撃を吸収してしまった。

「くそっ、やっぱり硬いな……!」

「ならば!」

 三好が飛び出し、渾身の力で剣を振り下ろす。グレースも短剣で素早く攻撃を仕掛けた。しかし、鋼鉄スライムはしぶとく動き続け、決定打にはならない。

「だったら、これで決める!」

 カオルがもう一度ウォーハンマーを振り下ろし、鋼鉄スライムを地面にめり込ませた。その瞬間、三好が全力で剣を突き立てる。

「うおおおおお!!」

 ズブリと鋭い音を立て、鋼鉄スライムの核心を貫いた。

「……やった!」

 ばらばらになった鋼鉄スライムの破片を見て、三好たちは勝利を確信した。

 しかし、その代償は大きかった。

「……俺の剣、折れた……」

 三好が手元を見ると、愛用していた鉄の剣が真っ二つに折れていた。

「うわぁ……」

「まあ、強敵を倒せたんだから、報酬で新しい剣を買えばいいさ」

 カオルが軽く肩をすくめて笑った。

「そ、そうだな……」

 こうして、三好たちは鋼鉄スライムの討伐に成功し、ギルドへ報告するために町へ戻ることとなった。討伐報酬は想像以上の大金だった。

「すごい……こんなにもらえるなんて!」

「これでしばらく生活には困らないね!」

 マリアも嬉しそうに微笑む。

 こうして、三好たちは新たな仲間を得て、一歩ずつ目標のBランクへと近づいていくのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ