第11話「鋼鉄スライム討伐の難関」
三好はギルドの受付で鋼鉄スライム討伐の依頼を引き受けようとした。しかし、依頼の条件には「最低四人のパーティーで受注可能」と書かれている。三好、グレース、マリアの三人では条件を満たしていない。
「どうにかならないですか?」と三好は受付嬢に食い下がる。
「この依頼は危険度が高いため、ギルド規定で四人以上のパーティーが必要です。安全を考えれば無理に受けるべきではありません」
受付嬢の言葉はもっともだった。しかし、三好はどうしてもこの依頼を受けたい。報酬が破格なのだ。これをこなせば、一気に資金を増やせるし、ランクアップへの足掛かりにもなる。
「せめて受けるだけでも……俺たちは慎重に行動しますし、無理そうならすぐに撤退します」
「うーん……」
受付嬢はしばらく考え込んだ後、ため息をついた。
「特例として許可します。ただし、依頼失敗による責任は自己負担でお願いします。もし逃げ出す場合はすぐにギルドへ報告してください」
「ありがとうございます!」
三好たちはギルドを出発し、鋼鉄スライムが出現する草原へ向かった。
目的地の草原に到着すると、既に何人かの冒険者が戦っていた。しかし、彼らの攻撃はまるで通じていなかった。
「くそっ、やっぱり硬すぎる!」
「逃げるぞ! こんなの倒せるわけがない!」
冒険者たちは次々と撤退していった。
「鋼鉄スライムって、思ってたより厄介そうですね……」とグレースが呟く。
三好たちは草原の奥へ進み、鋼鉄スライムを探した。しばらくすると、銀色に輝くスライムが地面に潜むようにして動いているのを発見する。
「いたぞ!」
三好は手にした鉄の剣を構え、グレースは短剣を握りしめる。マリアは後方で回復の準備をする。
「まずは奇襲をかけよう。正面からじゃ通じないなら、不意を突くしかない」
三好はグレースとアイコンタクトを交わし、一斉に斬りかかる。
しかし——
シュッ!
「なっ!?」
鋼鉄スライムは素早く跳躍し、三好たちの攻撃を回避した。
「そんなバカな!」
鋼鉄スライムは素早く動き、今度はカウンターのように三好とグレースに向かって体当たりを繰り出す。
「ぐっ……!」
三好は体当たりの衝撃で後ろに吹き飛ばされ、地面に転がった。グレースも軽く弾かれたが、何とか踏みとどまる。
「回復魔法!『ヒール』!」
マリアが三好に回復魔法をかける。
三好はゆっくりと立ち上がりながら、冷静に状況を分析する。
(こいつ、見た目の割に動きが速い……それに、俺とグレースだけじゃ攻撃が通らない。タンク役が必要だ)
三好は歯を食いしばった。
「……いったん撤退する!」
「えっ、でも……!」
「無理に続けても無駄だ。作戦を立て直そう」
マリアの回復を受けながら、三好たちは鋼鉄スライムとの距離を取り、町へと引き返した。
(四人必要なのには理由があるってことか……くそ、何とかしないと)
三好は新たな作戦を考えながら、ギルドへ戻るのだった。




